Oculus Rift第2世代やSCEの試作機など活気づくVRヘッドマウントディスプレイ業界


サンフランシスコで毎年3月頃に開催される国際的なゲーム開発者向けイベント「Game Developers Conference(GDC)」。毎年最先端のゲーム技術が披露される本イベントにおいて、今回「GDC 2014」の話題の中心となったのは2つのVRヘッドマウントディスプレイだった。

 高解像度化や赤外線センサー、低遅延や低残像感などスペック向上「DK2」

VRヘッドマウントディスプレイの火付け役ともなったOculus VRは、同社のヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」第2世代となる「Rift Development Kit 2(DK2)」を発表。あくまで開発者向けの開発キットながら、350ドルという低価格でプレオーダーが始まっている。初期出荷は2014年7月となる見込み。

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DK2では前モデルと比べて大幅なスペック向上がなされており、ディスプレイ解像度は前モデルの1280×720ドットから1920×1080ドット(片目あたり960×1080ドット)へと高解像度化。

さらに有機ELディスプレイを採用したことで、動きが激しくなりがちなVRヘッドマウントディスプレイに起きやすい残像感を低減できるとしている。

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赤外線センサーによる位置検出機能も新たに搭載。6軸センサーで頭の動きを検知するだけでなく、専用の赤外線カメラを利用してDK2の赤外線センサーを検知することで頭の位置を確認することができる。このほか、「Latency Tester」という遅延を低減するための機能も搭載された。

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PS4対応のVRヘッドマウントディスプレイ「Project Morpheus」

正統進化といえるOculus Riftの第2世代モデルに対し、GDCの期間中に突如発表されて話題を集めたのがSony Computer Entertainment(SCE)の「Project Morpheus」。ソニーは2014 International CESの場でも、同社のヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T3」を改良したVRヘッドマウントディスプレイをデモ展示していたが、今回発表されたProject Morpheusは、既存の製品とは異なる全く新しいヘッドマウントディスプレイだ。

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1920×1080ドットのディスプレイに、加速度センサーとジャイロセンサーによる頭部の動き検出といった基本的なスペックはDK2に近いが、最大の特徴は周辺機器との連携だ。PS4向けカメラ「PlayStation Camera」を利用し、DK2と同様に外部機器による頭部の位置検出が可能。

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また、リモコン型のPS3/PS4用コントローラ「PlayStation Move」を利用することで、映像中にプレイヤーの手や剣といった武器を再現。ゲーム中で剣を使ったアクションを実現できる。

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音響面でもSCE独自の3Dオーディオ技術を搭載。前後左入の音はもちろん、上空を旋回するヘリの音、階下から迫ってくる足下の音といった上下の音に関しても、頭部の向きにあわせてリアルタイムに変化することが可能だという。

なお、Project Morpheusは現時点では試作機の段階であり、製品としての発表は来年以降になる見込み。価格についても現在は発表されていないデモンストレーションとしての位置付けになる。

市場投入で先行するOculus Rift、PS4プラットフォームが武器のProject Morpheus

DCにおける注目の的となった2つのVRヘッドマウントディスプレイだが、DK2は開発者キットという段階ながらも7月には入手できるという点が強み。

「DK1」という名称がつけられた前モデルも含め、Oculus Riftに対応したゲーム環境は着々と整いつつあり、DK2が入手できる7月以降はますますこの勢いが加速されるだろう。

一方のProject Morpheusは頭部の動きや位置検出だけでなく、PS Moveを利用した手の動きも取り入れることでより広いVRを実現できる点が特徴。現時点では具体的な発売時期は未定ではあるものの、発売から約3カ月半で600万台を販売したPS4というプラットフォームを持つことも強みだろう。

VRヘッドマウントディスプレイは業界や開発者の中では注目の存在とはいえ、まだまだ一般ユーザーからすると縁遠い。しかし今回発表のDK2やProject Morpheusは、VRヘッドマウントディスプレイの可能性をさらに広げる存在と言えるだろう。9月には東京ゲームショウの開催も控えており、そこまでにOculus RiftとProject Morpheusがどのような進化を遂げているか注目だ。

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