口コミ数は100万件超、住む前から住んだ後のリアルな生活が想像できる「マンションノート」

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マンション比較の口コミサイト「マンションノート」。「世の中に、誰にとってもパーフェクトなマンションはない。また魅力が1つもないマンションもない」と話すのは、マンションノートを運営するRENGA代表の藤井真人さん。

立ち上げから2年弱が立った現在、マンションノートのユニークユーザー数は月間50万人。また、今年11月には、これまでのYahoo不動産やエキサイトに加えて、新たにSUUMOにも一部口コミの提供を開始しました。前回の取材から1年ほど経った今の状況について、藤井さんにお話を伺いました。

断念したマンション購入がサービス誕生のきっかけ

共同創業したエニグモを辞めた後、新卒で入社した博報堂に一時戻り、当時から様々な事業アイディアを構想して会社に提案していたという藤井さん。

「以前から生活の基盤に近いサービスをやりたいと考えていました。衣食住の中でも『失敗した時の後悔が一番大きい』のが住まいだと思いました。金額が高額ですし、仮に賃貸だったとしても、1度契約すれば年単位で縛られ、また365日影響を受けるものですから」

そう考えていた方向性が、マンションノートという口コミサイトの形になったのは、マンション購入を検討した時の藤井さんご自身の体験がきっかけでした。

不動産会社と物件を見に行くことを繰り返す中で感じた違和感の一つが、物件の「良いこと」ばかりが聞こえてくること。ところが、他の不動産会社が紹介する物件に関しては、悪く言うこともあり、何を信用すればいいのかわからない。個人の検討者と、不動産会社の間にある情報格差の大きさを実感しました。

マンション購入という人生の一大イベントが、こんなに「見えない」不安なものでいいのか。「住む前に、住んだ後の日常生活をもっとリアルに想像できるようにならないのか?」。そんな疑問へのソリューションとして誕生したのが、マンションノートだったのです。

サイトの成長と共に機能し始めたCGM

審査項目が100件以上存在するマンションノートの口コミ。それを1件ずつ目視して掲載し、現在では100万件を大幅に上回る口コミが集まっています。口コミは、必ず「いい点」と「気になる」点をセットにして投稿してもらうことで、藤井さんが目指す「住む前に、住んだ後の日常生活を想像できる」サービスが実現しています。

より確信を持って、安心してマンションを選んでもらうためには、口コミの信憑性が第一。マンションノートでは、そのためにいくつか実践していることが。例えば、基準を満たした良質レビュアーさんに、自主的な活動として自分が住むマンションの口コミを一緒に確認してもらうこと。スタッフが現地に赴き、時には家の中を見せてもらうこともあるそう。

「口コミで、いいことも悪いことも知れるだけでなく、古い情報や誤った情報がないように事実確認を出来る限り徹底していきたいと考えています。『コンビニがなくて不便』と書かれていても、実は最近近所にできた、なんてこともありえます。そこは時間や手間を惜しまずに、今後もさらに強化していきたいと考えています」

また、口コミが次々に集まり、サービスが成長するにつれて、マンションの住人だけでなく、業者やオーナーなども、情報の鮮度と正確性を保つことに意義を感じて貢献してくれることでCGMが機能するようになってきています。

東大と共同開発のアルゴリズムや、独自のABテストツール

目視の口コミ確認は、きっと気が遠くなりそうな作業量のはず。そこにリソースをかけて しっかり見る一方で、ユーザーに見えない内側の部分でシステム化できる部分は可能な限りしています。

その一つが、独自開発したABテストのツール。もともとは既存のソフトウェアを使っていたものの、カスタマイズのニーズが高まり、機械学習型のバンディットアルゴリズムを採用したツールを開発しました。日々複雑なABテストを実践していて、同時に50パターン近く試すこともあるのだと言います。

こうして効率的にABテストを実施することで、「UIのトレンドを追ったものより、シンプルなメニューバーの方がコンバージョンに寄与する」や、「『口コミ投稿しませんか?』といったストレートな訴えかけより、実利的な情報を記載した方がコンバージョンが高まる」といったラーニングが日々生まれています。

また、東大と共同開発しているのが、「☆」によるマンションの総合評価を導くための、スコアリングのアルゴリズム。第三者データ、周辺エリアのデータ、またユーザーによる口コミなどを組み合わせて、耐震レベルや最寄り駅からの時間、公園までの距離といった数十項目のデータを集積して算出することで、ユーザーにとってわかりやすい1つの評価軸を設けています。

能力の高さ以上に、熱意があることを重視

新卒で博報堂に入社し、その後、30歳近くでエニグモを創業し、現在はマンションノートの立ち上げに挑戦する藤井さん。会社員や創業など様々な経験を経て思う、チーム作りにおいて大切なことを聞いてみました。

「自分に何ができて、何ができないのかを明確に理解することが重要だと思っています。1人で大きな社会課題を解決することはできません。得意分野が異なるメンバーが集まることで、チームが強くなります。実生活の課題を解決するサービスを作るためには、ビジョンや志を共有した、末永く一緒に仕事ができる仲間が必要です。ですから、能力の高さ以上に、熱意や想いがあること、チームの結束力を大切にしています」

そんな方針もあって、RENGAのチームには、最初からインキュベーションのオフィスに入るという選択肢はなかったそう。同じ方向を向いた仲間たちと、できるだけ集中して自分たちのカルチャーを濃くしたかったからです。

「人に胸を張っておすすめできる、社会に役立つサービスを作りたいと思っています。変な口コミが10,000件 増えるなら、良質な口コミ100件でいい。そうでないと、マンションノートを始めた意味がありません。少しずつ、そのコミュニティが出来始めているので、今後も、空気のいい場所にしていくために頑張ります」