インターンの平均賃金は6,000ドルーーシリコンバレー・サンフランシスコのインターン事情から見える社会問題・課題点まとめ

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Image by Rob Young

<ピックアップ記事>We may have underestimated the super-high salaries of Silicon Valley interns (in 1 graph)

シリコンバレー・サンフランシスコの有給インターンに支払われる給料に関しての記事を見つけたので、ピックアップ記事として紹介したいと思います。また今回は、アメリカにおける有給インターン、ボランティア、無給インターンの社会問題・課題点を中心に取り上げたいと思います。

記事ではシリコンバレーまたはサンフランシスコに拠点を持つ主要企業のインターン賃金を載せています。各々の企業のインターン平均賃金と手当金の2種類を載せていましたので下記をご参照ください。また比較対象としてサンフランシスコエリアの平均も書かれていたので併せてご覧ください。

ちなみにここでの手当金は、各企業によって内容は異なりますが、例えば1500ドル相当の家賃やラップトップの支給などを含むそうです。

<見方>

企業名 : 平均賃金 + 手当金

<シリコンバレーエリア>

  • Facebook : 6213ドル + 1000ドル
  • Google : 5969ドル + 2000ドル
  • Apple : 5723ドル + 3500ドル
  • Quora : 8250ドル + 1500ドル
  • Upthere : 6400ドル + 900ドル

<サンフランシスコエリア>

  • Pinterest : 7500ドル + 1500ドル
  • Dropbox : 8500ドル + 500ドル
  • Square : 7500ドル + 1500ドル
  • Zynga : 8000ドル

※サンフランシスコ平均賃金は3333ドル

上記の一覧から見ると、ほとんどの企業が手当金を抜いた平均賃金だけで6000ドルをインターンに支払っていることが分かります。

これほどインターンの賃金が高いのには2つの理由が挙げられそうです。1つは、生活費が高いこと。このデータではシリコンバレーにあるサニーベールエリアの平均アパート家賃は2014年9月時点で2781ドルとあります。またこちらのデータでは、サンフランシスコエリアは9月時点で3413ドル。

シェアハウスなどに住めばもっと安く住みますが、家賃以外に光熱費や食費込みで言うと、生活費は最低でも1500ドルほどはいくでしょう。しかし、中心街やオフィスにアクセスのいい部屋に住みたい場合は生活費で2000ドル以上いくことが考えられます。いずれにしても、インターンに高額な手当を渡して、安い部屋探しや高騰する家賃支払いなどのリスクを軽減し、より優秀な人材を誘致するという企業側の思惑が見て取れます。

2つ目は、企業による優秀な人材の囲い込み。有望なインターンが他の会社に引き抜かれず、そのまま正社員になってもらいたいという考えを各社持っているようです。故に、囲い込みのためにインターン賃金や待遇が競り上がっていると考えられます。

ここで注目すべき点は、高額な有給インターン雇用のしわ寄せが、会社を取り巻く環境に来ているいる点です。Facebookの送迎車のドライバーとして朝と夜の勤務をしている方を具体例として挙げてみましょう。

Facebookが雇用している社員送迎車のドライバーは兼職を止められていて、かつ朝の業務が終わった10:45amから夜の業務が始まる15:45pmまでは車内で休息を強いられている労働環境だそう。また、1日約9時間業務で時給18ドルを与えられている状態。これはインターンがもらう時給の約半額。記事でドライバーが述べていますが、時給18ドルでは到底シリコンバレーではかなり切り詰めた生活しかできず、かつ仕事の関係上、家族との時間もほとんど持てないのだとか。

このような待遇を嫌う人に、「嫌ならやめればいいのでは」と言い放つのは簡単でしょう。しかし明らかに企業側の都合によって悪い待遇を受けている労働者がいるのは事実ですし、シリコンバレー・サンフランシスコでこの労働条件格差は社会問題化しています。今後、大企業として果たすべき企業倫理を以ってこの問題に対処する必要があると言えるかもしれません。

ここまで、高額有給インターンの雇用が引き起こす社会問題を見てきましたが、ボランティアと無給インターンにおける課題・問題点も挙げてみようと思います。

そもそもアメリカにおけるボランティアと無給インターンの定義とはなんでしょうか。こちらに簡潔にまとまってますが、ボランティアとは慈善事業や人道支援目的のものを指すとのこと。一方無給インターンの定義は、アメリカ労働局が定義している基準によれば主に4つ挙げられます。

  • 1. インターンを育てるという名目のもと、スケジュールが組まれている
  • 2. インターン中にしっかりとした「経験」が得られるもの
  • 3. 正社員が行う業務(主に雑務)をインターンが代わりにやるべきでない
  • 4. 雇用主はインターンから即座に得られるような労働力・貢献力を期待してはいけない

上記の定義に反する企業が多く、ボランティアと無給インターンに関して大きく2つ問題が発生していることが伺えます。1つ目の問題は、実際の現場ではただの安価な労働力として使われている。2つ目の問題は、正社員が行う雑務を、無給インターンが得られる「経験」という名目で行わせ、それでよしとしていることです。

上記の問題絡みで、企業への処罰例を2つ挙げます。1つは、こちらで特集されているように、今年の9月にはカリフォルニアのワイナリー工場がボランティアに雑務だけをやらせて11万ドルの罰金が課せられています。

また、2つ目はニューヨーク州が、映像会社であるFox Searchlight Picturesを罰したケース。このケースでは、Foxがインターン生2人に対してインターン教育に即していないただの雑務(電話受けやゴミ捨て)だけを行わせて、それをインターン業務としていたため罰せられたそう。

自分を含め、シリコンバレー・サンフランシスコにある種の憧れを持って海外からやって来る人が多くいると、こちらにいると多々感じます。そのような人達が往々にして無給でもいいからどうしてもこちらで働きたいと思い、やってくる事も理解できます。しかし残念なことに、それを利用して安価な労働力としてボランティアやインターンを雇うケースが、さきほどの例に挙げたようにいくつか見受けられます。

働く側の実情は残酷です。こちらのインフォグラフィック上のデータによると、61.4%の無給インターンは生活費を稼ぐために別の仕事をする必要な状態にあり、65%の無給インターン生は生活費援助を親に頼らざるを得ないとのこと。

しっかりとしたキャリアを積もうと、大金をはたいて、かつ親の支援まで得てシリコンバレー・サンフランシスコにせっかくやって来ても、結局は会社や上司から育ててもらえず、かつただの安価な労働力としてボランティア・無給インターンが扱われているという実情に企業は目を向ける必要がそろそろあるでしょう。

企業側は、ボランティア・インターン生を雇ってほんとうにこの子のためになるのか、しっかりと育てられるのであろうかという、雇われる側のスタンスに立って採用する必要があるのかもしれません。

このように、有給のみならず、ボランティアと無給インターンの扱いに関しても社会問題化していることが伺えます。

ここまでアメリカにおける有給インターン、ボランティア、無給インターンにおける社会問題・課題点を紹介してきました。いずれにしても企業側の倫理感が問われる内容でした。これからは企業の持つ実績や知名度以上に、企業倫理の立場から会社・職業を選んでもよさそうです。

Via VentureBeat