【追記あり】リブセンスがファッションECのwajaを4億円で買収、子会社化

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左からwaja代表取締役会長の小安光司氏、リブセンス代表取締役の村上太一氏、waja代表取締役社長の村田高宗氏

インターネットメディア事業を展開するリブセンスは3月25日、フルフィルメント型ECを運営するwajaの発行済株式の71.7%を取得し、子会社化することを発表した。(リンク先はPDF)買収にかかった金額は総額4億円となる。3月25日の取締役会での決議を経て、4月3日に譲渡が実施される。

本件の詳細については15時30分から同社代表取締役の村上太一氏から会見があるのでそちらでお伝えする。

3月26日追記

まず、今回の買収概要だが、主要株主であったアント・キャピタル・パートナーズやサンブリッジコーポレーション、WMパートーナーズ(それぞれが組成する傘下の投資組合)らに割当てしていた株式の移管(買収)が主となり、waja代表取締役会長の小安光司氏、同代表取締役社長の村田高宗氏についてはそのまま株式を保有して経営にあたる。

wajaの創業は2003年5月、直近の業績は売上が4億5600万円、営業利益は1100万円となっている。リブセンスとしての企業買収は初となり、wajaの業績は2015年12月期第2四半期(4月、6月期)から連結対象に入ることとなった。

ちなみに昨年9月にリブセンスが出資しているアラタナは今日、同日にスタートトゥデイの傘下入りするなど、同社の中期戦略におけるM&A、外部投資の結果が色濃く反映される1日となっていた。

waja_ワジャ_海外ファッション通販サイト

wajaについて少し説明をしよう。

wajaは60カ国、3000人のバイヤーが現地で仕入れた商品を販売するいわゆるC2Cで取り扱いブランドは2300。同社はその他にアウトレットのReasonなど別タイトルも運営している。同サービスの特徴としてはC2CでありながらAmazonやZOZOTOWINのようなフルフィルメントを独自で運営しているところにある。

具体的にはバイヤーが一括して商品を送るとwajaが検品、写真撮影など販売に関わる一連の作業を実施し、委託という形でユーザーに届ける。結果的に偽物や返品、個人情報などのトラブルが少なく、また注文してから商品が届くまでのタイムラグも通常の国内ECと遜色がない。村上氏は実際に使ったところ、注文した翌日に届いたと話していた。

wajaビジネスモデル

越境ECであるという点も注目される。同社の説明(※)によると、日本における越境EC(日米中3カ国における日本からの購入)市場は2020年には最大で8,942億円に拡大するという予想もある。また、wajaが主に取り扱うファッション関連の国内EC市場は2014年度予想で前年比25.8%増の1兆512億円と伸びしろの大きな市場だ。

一方でwajaは創業からやや時間が経っていることもあり、ここ最近盛り上がりを見せるフリマアプリなどのC2C市場とはやや毛色が違う。

例えばスマートフォン対応などの状況について聞いたが、確かにトラフィックなどのアクセスベースではスマートフォンからの流入が半分に到達しているものの、最適化にはまだ検討の余地が残っているという話だった。

村上氏も「(開発への積極的な関与について)今回のデューデリではまだしっかりと(wajaの開発陣を)見れていない。選択肢としてはある」とするなど、同社が得意とするSEOや広告のノウハウがwajaの拡大に大きく貢献できるとシナジーを強調していた。

リブセンスというとどうしても求人サービスなどの印象が強いが、上場後はすでに事業も拡大路線に入っており、特に市場規模の大きいEC分野への参入は必至だったように思う。また、今回の買収は話を総合するとwajaの既存株主(主にベンチャーキャピタル)の都合が大きく、また経営陣も株式を保有し続けるなど「移管・業務提携」の色合いが濃い。会見中にwajaとしてのIPO(株式公開)はあるのか、という質問にほぼ即答で「ある」と回答していたのもその印象を強めている。

最後に、この分野で先行するBUYMAを運営するエニグモが、導線としてのキュレーションメディア「4meee!(運営はロケットベンチャー)」を買収したことが記憶に新しく、同社のM&A戦略上こういったメディアの買収もあるのかと尋ねたが、現時点では「議論はされてるが、考えてません」(村上氏)ということだった。

※出所:矢野経済研究所「ファッション・インテリア・雑貨EC 市場に関する調査結果2014」 および経済産業省「平成25 年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引 に関する市場調査) 」

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