Amazonの未来にとって、なぜAWSが重要なのか?

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The Amazon Web Services booth at the AWS Public Sector Symposium 2015 conference.
(Image Credit: Amazon Web Services Facebook page)

Amazon Web Services(AWS)は、企業のアプリケーションを運用するパブリッククラウドの中で自分たちが依然として支配的存在であることを再び証明した。しかしそれだけでなく、本日(原文掲載日:7月23日)行われた投資家との電話会議で経営陣が触れていたように、Amazon 自身もAWSのヘビーユーザである。Amazonのクラウドが大きくなればなるほど、Amazon.com も儲かる仕組みだ。

Amazon.comにとってのAWSは、Walmart、Flipkart、eBay や新参企業 Jet.com を含めたeコマースの競合他社に競り勝つために使えるターボチャージャーだと思うとわかりやすい。

結果から見れば、2006年8月24日の Elastic Compute Cloud(EC2)のベータ版に始まった Amazon によるAWSの導入は、天才的な一手だったと言えそうだ。

「あなたもAmazonで実証済みのコンピューティング環境を利用できるようになるのです」とAmazonは語った。言い換えれば、Amazon.comが利用しているインフラストラクチャーをデベロッパーが活用できるようになるという点が強調されていた。

あっという間に9年が経ち、今や AWS が年商60億米ドルの事業であることは世間の知るところである。クラウドの顧客は累計100万を超えるに至った。

このビジネス規模を活用して、AWS はコンピューティング、ストレージ、インフラストラクチャーを他のテクノロジー企業にはなし得ない規模で購入・投資することができ、また頻繁な値下げや迅速な機能追加、折に触れて新地域への事業拡大が可能となっている。こうした新しいニュースは既存顧客の満足度を維持し、新規顧客を引きつけている。

Amazon.com はAWSの顧客が活用しているのと同じ効率性を活かすことができる。パブリッククラウドの分野でAWSに最も近い競合(Google、MicrosoftとおそらくIBM)は Amazon.com と eコマース分野で競合していない。長期的な観点では、Amazon は Alibaba(阿里巴巴)に注意するべきだが、Alibaba の Aliyun Cloud(阿里雲)はアメリカに参入したばかりである。

一つ注目すべき点はロボティックスである。現在 Amazon は小売り事業の配送センターでロボットを使っている。Amazon が AWS のデータセンターのさまざまな作業にロボットを利用する実験を始めることもあり得る。ロボットも Amazon が競合優位を保つ一助となるだろう。

Amazon は、クラウドの分野ではファーストムーバーであったことを誇りにしてよい。AWS は9年かけて成熟したものだ。他のeコマース企業が今からクラウドを構築し始めて AWS に追いつこうとしても難しいだろう。とはいえ、Amazon がその状態にあぐらをかくことはないだろう。同社は毎年何十億ドルと AWS に投資している。そのような投資を Amazon が続ける限り、eコマース事業は利益を生み続けるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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