〈東京スタートアップ・オフィスツアー〉渋谷の真ん中に生まれたエンジニアのための極上空間「dots.(ドッツ)」(ビデオインタビュー)

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本稿は、「東京スタートアップ・オフィスツアー」シリーズの一部だ。

常に新しいトレンドが生まれる渋谷の街というのは意外に古く、一本路地に入れば、築数十年以上の古い雑居ビルが所狭しとひしめき合っている。ビットバレーの中心地である渋谷で産声をあげたスタートアップの多くが、会社の成長と共に、恵比寿や代々木など隣接する街に移転してゆく背景には、そんな渋谷ならではのオフィス事情も影響しているようだ。

渋谷にはコワーキング・スペースやミーティング・スペースも少なくないが、収容人数の大きな場所を見つけるのは難しい。少々大きめのイベントを開催するなら、大企業の会議室を拝借することもできるだろうが、その多くは、管理の行き届いた近代的なオフィスビルに入居しているので、外来者の自由な入退館は難しいというデメリットもある。

今月1日、渋谷のファイヤー通りと公園通りの交差点近くにオープンしたイベント&コミュニティスペース「dots.(ドッツ)」を訪れると、まず驚くのはその広さと見通しの良さだ。126平米という広さにもかかわらず、フロアには視界を遮る柱が見当たらない。新しい工法で建てられたビルに特徴的な無柱空間というヤツだ。着席ベースで200〜250名程度が収容でき、講義の際には、最後列の人でさえ講師と直接アイコンタクトすることができるだろう。

dots. のプロデューサーを務める鳴釜優子氏に、この場所を作った理由を聞くことができた。

エンジニアのためのイベント情報サービス dots. を立ち上げてから、1年以上にわたって、月に2〜4本程度、イベントをやってきた。企業のセミナールームを借りて運営してきたが、借りるための交渉に始まり、設営・片付け・入場者のセキュリティ管理など、何かと大変だった。そこで、自分でイベントスペースを作ることにした。

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dots. はコワーキング・スペースとしての機能に加え、平日夜や週末にはエンジニア向けのハンズオンによる勉強会も数多く開かれており、大画面のスクリーンが多数設置されているので、参加者はフロアのどこにいても、講師が説明するコードを見ながら自ら作業もできるように設計されている。

経験的に、エンジニアの勉強会をやる会場を選ぶ上で、最低でも150人は入れないと困るのだが、dots. では200人以上が入れる。さらに、dots. の特徴としては、勉強会をするイベント・スペースとコワーキングのスペースがつながっているので、例えば、事前に勉強会に申し込んでまで参加する気にはならないが、dots. でコワーキングしている人が、隣でやっている勉強会に興味を持って、飛び込みでカジュアルに勉強会に参加する、ということが可能になる。

ここから、良質なインプットとアウトプットが繰り返されていくようにしたい。

鳴釜氏や、コミュニティ・マネージャーを務める小沢宏美氏らが、1年以上にわたってイベントを運営してきた中で得たネットワークやノウハウ蓄積をもとに、さまざまなイベントをシリーズ化して提供する試みも始められている。有名企業の CTO と食事・対談しながら話が聞ける「CTOランチ会」、iOS・HTML5・ビッグデータ・アンドロイドなど各技術分野のトップランナーがティップスを共有する「Allstars」などだ。

他人事ながら渋谷の一等地に贅沢な空間を作る以上、dots. の商売の皮算用も気になるところだが、500円/時か2,500円/日で使えるコワーキング・スペースとしての機能以外に、メディアとしての機能を持つ dots. との連携により、企業の人材採用、IT企業のブランディングを意図したセミナー、ITベンダーの営業拡販のための展示会開催、さらにスポンサー企業の動画掲出やタイアップ商品の陳列などで、ブレイクイーブンにたどり着くのを目指すとのこと。

ちなみに、8月末まではキャンペーン期間中のため、コワーキング・スペースの利用料は無料となっている。渋谷にお立ち寄りの際はぜひ。

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コワーキング・スペースで自由に作業する人々。奥では、コンテナ型仮想化技術「Docker」のハンズオン勉強会が行われていた。
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さまざまな種類のコーヒーが100円で飲める。
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受付にはオリジナル・グッズも充実。
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入口横には、今月のイベント・スケジュールが書かれている。キレイな字だと思ったら、プロデューサー鳴釜氏の母上の直筆だとか。

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