ニュースが株価に影響するかを予測する「兜予報」がアプリを公開——マネックス等からシリーズA調達も完了

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フィンテック・スタートアップの財産ネットは17日、材料視される経済ニュースが株価に影響するかどうかを即座に教えてくれる「兜予報」のモバイルアプリを公開した。iOS 向けに iTunes AppStore からダウンロードできる。Android 版は開発中で、後日公開される見込みだ。

これとあわせて、財産ネットはシリーズAラウンドで、マネックスベンチャーズフリービットインベストメント早稲田インベストメントから資金調達したことも明らかにした。調達金額については開示されていない。

兜予報は、株価の上下が気になるデイトレーダー向けのサービスで、材料視されるニュースが報道されてから、30分程度の間に株価に影響を与えるかどうかを予測してくれるアプリだ。ニュースが発せられてから株価に影響を与えるまでには一定のタイムラグがあるが、この時間を使って、兜予報ではネットワーク内の経済アナリストに投票してもらい、兜予報ユーザであるデイトレーダーに、保有銘柄の売り・買い・見送りを直感的な表現で提案してくれる。財産ネットの代表取締役である荻野調氏によれば、「トレーダー個人の予測確度はどんなに研ぎすぎましても6割が限度、それをアナリストの投票という集団知を活用することで最高81%(兜予報の実績値)まで引き上げられる」のだという。

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FINOLAB で、財産ネットの荻野氏(左)から説明を聞く、きんゆう女子。のお二人。

財産ネットは、今回の資金調達先のグループ企業でもあるマネックス証券をはじめ、複数の証券会社への兜予報アプリからのつなぎこみを開発中。いずれは兜予報アプリから直接株式の売買が可能となるが、今回リリースしたのは、フリー版と呼ばれるシミュレーションモードのみを搭載したものだ。「株式投資に興味はあるものの、実際に投資デビューにはまだちょっと」という投資家志望者に対し、バーチャルマネーでの模擬投資機会を提供し、兜予報の予測に基づいた銘柄売買により、腕試しができるというわけだ。兜予報はユーザには無料で提供されるが、将来的には、証券会社に対する見込客の送客で売上を確保する計画だ。この分野においては、株価情報サービスの QUICK の出資を受ける K-ZONE が実際の株価を使ったシミュレーションゲームのトレダビを展開している。

今回リリースされたシミュレーションモードのみを搭載したフリー版と、実際に証券会社への売買注文ができるようになる本番版では、利用されている株価データが異なる。これはリアルタイムの株価データは東京証券取引所が権利を保有していて、その利用には費用が発生するためで、本番版ではリアルタイム株価が採用されるのに対し、フリー版では市場から20分以上遅れた株価をもとに、ユーザがシミュレーションモードを楽しむことになる。

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投資家志望者の参入ハードルを下げる観点から、財産ネットでは平日の昼間に「兜予報 ランチタイム配信」という20分間程度の番組を生放送している。兜予報の投票ネットワークに参加している経済アナリストらを招いて、株式や経済にまだ詳しくない人を対象に情報を発信しており、兜予報にユーザを集める効果的なコンテンツとして機能しているようだ。

財産ネットは、ソニーで事業立ち上げを経験後、VC で投資や事業育成に従事、2015年までグリーで事業開発部長やグリーリユースの社長を務めた荻野調氏が創業。現在は、東京・大手町の FINOLAB を拠点に活動している。

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5月16日放送の「兜予報 ランチタイム配信」から。

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