
Image credit: Masaru Ikeda
本稿は、RISE 2018 の取材の一部である。過去の RISE に関する記事はこちらから。
「Paidy(ペイディー)翌月払い」を提供する Paidy は12日、シリーズ C ラウンド総額5,500万ドルを調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターは伊藤忠商事が務め、伊藤忠商事傘下のポケットカード、ゴールドマン・サックスと、名称非開示の事業会社1社が参加した。伊藤忠商事の引受額は、4,200万ドル(約76%)に上ることが明らかになっている。
これは、Paidy(以前は、エクスチェンジコーポレーションまたは ExCo)にとって、2014年7月に実施したシリーズ A ラウンド(3.3億円を調達)、2015年5月に実施したシリーズ A ラウンドのフォローオン(500万ドルを調達)、2016年8月に実施したシリーズ B ラウンド(1,500万ドル)、2017年7月に実施した三菱東京 UFJ 銀行(現在の三菱 UFJ 銀行)と資本業務提携に続くものだ。これまでの調達金額総額は8,083万ドル。
Paidy は、メリルリンチやゴールドマンサックスなどで業務経験のある Russell Cummer 氏らの手により2008年に設立(当時は、エクスチェンジコーポレーション=ExCo)。P2P 金融(ソーシャルレンディング)サービスの「AQUSH(アクシュ)」で事業を始め、2014年に Paidy をローンチした。その後、Paidy の運営は ExCo から事業会社の Paidy に移行している。2018年6月末現在のアカウント数は140万口座超。

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Paidy はクレジットカードが無くても、ケータイのショートメールサービス(SMS)や自動音声による認証コード発行で本人確認が実施され、オンライン購入実施後に、コンビニエンスストアや銀行振込で事後支払できるしくみだ。オンライン事業者にとってはクレジットカードを保持していない消費者を顧客として取り込める上、実際に資金移動は受注時に Paidy からの入金が確定するため売掛リスクが生じない。顧客にとっては、商品が届いてから入金ができるという点で E コマースにおいても安心感が得られる。
今回の調達を受けて、Paidy は伊藤忠商事の持分法適用会社となる。伊藤忠商事は、傘下にコンビニチェーン、カフェチェーンなど多数の小売チェーン事業を抱えており、Paidy ではこれらの店頭でのクレジットカードに依存しない与信決済や対面決済のしくみを開発すると考えられる。また、関係者によれば、タブレットを使った小売店舗向け決済サービスとの提携なども模索しているようだ。
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