Panda TV(熊猫直播)、シリーズBラウンドで10億人民元(約160億円)を調達——eスポーツ中継からエンタメ系番組への転換が意味するもの

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上海を拠点とするゲームストリーミングサイトの Panda TV(熊猫直播)は、Industrial Innovation Capital Management(興証資本)がリードするシリーズ B ラウンドで10億人民元(約160億円)を調達したというニュースが業界で話題になっている。

これは、中国で2番目の大富豪 Wang Jianlin(王健林、Wanda Group=万達集団会長)氏の一人息子である Wang Sicong(王思聰)氏がライブストリーミングサービスを提供する同社を2年前に設立して以降、最大の調達金額だ。これまで同社は、2015年11月に数百万人民元(数千万円程度)のエンジェルラウンドに続き、数千万人民元(数億円程度)に及ぶ規模のシリーズ A および A+ ラウンドを終えている

Panda TV は自社をオンラインエンターテイメントのライブストリーミングプラットフォームと位置づけ、e スポーツのライブ中継に特化しており、8,000万人の月間アクティブユーザ、15万人のアクティブプレゼンターがいるとしている。

ライブストリーミングサービスの同社が e スポーツからシフトし、今回調達した資金をエンターテイメントプログラム、バラエティー番組などを対象とする幅広いエンターテイメントプラットフォーム構築に使うとも推測されている。その背景には、e スポーツトーナメントのロイヤルティーやスター級の出演者への支払い(有名出演者に支払う契約ボーナスは数千万人民元=数億円程度ともいわれる)、コンテンツ配信ネットワーク料(毎月2,000万人民元=約3.2億円ほど)に関連する費用があまりにも高いために、e スポーツがお金を浪費する事業になってしまったという事情がある。

これだけの大がかりな投資がなされるのは、中国で e スポーツセクターが過熱しているからだ。調査会社 iResearch(艾瑞諮詢)によると、2016年における中国の e スポーツゲーマーの数は1億1,700万人にのぼり、市場規模は400億人民元(約6,500億円)に達するという。また、今後数年間この市場はさらなる成長が予想されており、これほどの魅力を持つ同市場にはさらに資金が注ぎ込まれていくことだろう。

昨年における世界のeスポーツ分野で最高のプレイヤーは中国出身者で、以下アメリカ、韓国が続いたとドイツの金融日刊紙 Handelsblatt が伝えている

現在、e スポーツのイベントが行われるのはスタジアムに限定されず、専用テレビチャンネルでの放映やウェブサイトでのストリーミングもある。Tencent(騰訊)Alibaba(阿里巴巴) といったテック大手企業も繁栄が続くこの事業に賭けており、多額の資金をこのセクターに投じているところだ。

地方政府の中には、e スポーツのコンテストの主催や、大企業と協力したeスポーツの産業パーク建設に熱心なところもある。その狙いは、新興セクターへの関わりを通じた歳入の増加だ。昨年9月に中国の教育省は、4年制大学やカレッジで認められている教育プログラムに、e スポーツやマネジメントを含む13の新たな専攻分野を承認した

そして、ブームに沸くこのセクターに注目しているのは Wang Sicong 氏に限らない。ポップ歌手の Jay Chou(周杰倫)も、e スポーツに特化したネットカフェブランドをオープンした。台湾ポップミュージック界のスーパースターである彼は1,800万人民元(約2.9億円)を投じて中国南部の深圳にネットカフェをオープンし、現地メディアが e スポーツの実験をしている同氏を報道している。

e スポーツは、中国でよく視聴されている3つのライブストリーミング分野の1つだ。他の2つは、エンターテイメント系、コンテンツ系(教育、ビジネス、eコマース、スポーツ、ソーシャルネットワークなどに関連するライブストリーミングプラットフォーム)である。

中国において2016年はライブストリーミングの当たり年だったが、この業界のターニングポイントは2017年に訪れるかもしれない。企業が実施する資金調達ラウンドに関しては、Douyu TV(斗魚斗電視)の役員が、この業界における高いバーンレートに言及しながら、B ラウンドまで生き残れるライブストリーミングのプラットフォームはほとんどない、とかつてロイターに語っている。

Tencent が支援する Douyu は e スポーツのライブストリーミング業界ではトップレベルの企業となった。同社は2016年に22億人民元(約357億円)を調達し、時価総額は12億米ドル(約1,335億円)を超えた

「金が世界を動かす」という諺がある。最終的に競争の激しいこの業界ジャングルの中で高笑いをするのは、Douyu TV や Panda TV といった資金の潤沢なプレイヤーだけになるとみられている。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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