スマホ内蔵の単眼カメラだけで、ユーザの手の動きをVRの中に挿入できる「ManoMotion」がSDKを公開

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バーチャルリアリティ(仮想現実=VR)は、まるで別世界にいるような気分にさせてくれる。しかし、手を使ってみると、すぐにその錯覚は壊れる。ManoMotion は画像処理技術(computer vision)を使って、手やジェスチャーをアニメーションのシーンにリアルタイムで挿入できる、低コストな方法を開発した。

同社は今日(原文掲載日:6月1日)、開発者とユーザー向けに、VR、AR(拡張現実)、MR(複合現実)のアニメーションアプリにジェスチャーを組み込めるよう、ソフトウェア開発キット(SDK)を発表した。

スウェーデンのストックホルムを拠点とする ManoMotion の CEO Daniel Carlman 氏が、私にテクノロジーのデモを見せてくれた。彼のスマートフォンの単眼二次元カメラは彼の手の動きを検出し、ゲームエンジンの Unity で構築されたアニメーションにその動きを挿入することができた。このような効果は、多視点カメラ、深度カメラ、モーションキャプチャスタジオなどの他の技術でも実現できるが、これらの技術は高価であり、一方、ManoMotion は低予算で VR 上に「手の存在」を実現する。

Carlman 氏はインタビューの中で、次のように語った。

VR 空間の中に手を伸ばし、そこにあるオブジェクトを操作してほしい。これはより優れたユーザーインターフェースの足掛かりだ。VR には最終的に、音声・視線追跡・ジェスチャーのインターフェースが必要になると考えている。

深度を追跡したり、動的なジェスチャー(スワイプ、クリック、タップ、握る、放すなど)なども扱ったりすることができ、CPU・メモリ・バッテリーなどは省エネルギー設計だ。ジェスチャーを起こしてから、それが VR に反映されるまでのレイテンシーは10ミリ秒以下で、iPhone 6S の処理電力の30%程度しか必要としない。

競合と比べて見ると、Leap Motion の技術は 3D センサーを使っている。Oculus Rift や HTC Vive のような VR ヘッドセットでは、手にコントローラを握る必要があるので、指の動きを完全に捕捉することはできない。

何かを握っていたり、押していたりすれば、それを検知することができる。深度については、センチメートルレベルの精度がある。我々は、他の代替手段で必要になるコストの一部だけで、これを実現することができると考えている。(Carlman 氏)

これまで、ManoMotion は1対1で顧客と協業してきた。(今回リリースされた)新しい SDK により、はるかに多くの開発者が技術を使いこなせるようになるだろう。ManoMotion は SDK をフリーミアムモデルで提供しており、異なる顧客のニーズに合わせ複数の階層を用意している。

ManoMotion を使えば、VR / AR / MR 空間の中で自分の手を見たり、オブジェクトを移動したりすることができ、右手か左手でオブジェクトを操作することができる。また、指を広げている、ピンチしている、特定のオブジェクトを指しているかどうかを認識する。スワイプやクリックなどの動的なジェスチャも検出できる。つまり、指を使ってボタンを押したり、VR アプリでレバーを引いたりすることができる。ManoMotion は iOS と Android の両方をサポートしており、Unity 用のプラグインが付属している。

現在14人の従業員を擁する ManoMotion は、2015年の設立。本社はストックホルムにあり、カリフォルニア州パロアルトにオフィスを構える。こののチームは、最小の技術的要件のもと、正確な方法で手のジェスチャーを測定するという目標から事業を始めた。同社は、カリフォルニア州サンタクララで開催中の Augmented World Expo で SDK をリリースした。Carlman 氏は、最初のアプリがまもなく登場するだろうと話した。

ManoMotion はこれまでに200万ドルを調達している。共同創業者には Carlman 氏のほか、CTO の Shahrouz Yousefi 氏や、同社のアドバイザーで KTH Royal Institute of Technology(スウェーデン王立工科大学)の 教授 Haibo Li 氏らが名を連ねる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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