不動産テックスタートアップのターミナル、おとり広告検知ソリューション「trueper」を提供開始——「アパマンショップ」などに導入

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Image Credit: Benjamin James Real Estate’s Blog

東京を拠点とする RealEstateTech(不動産+情報技術)のスタートアップであるターミナルは20日、不動産広告における、おとり広告検知ソリューション「trueper(トゥルーパー)」をローンチしたと発表した。同時に、賃貸住宅大手 Apaman Network が運営する情報サイト「アパマンショップ」に採用されたことを明らかにした。

trueper はターミナルが昨年2月に、不動産情報のコンテンツ・フィルタリング・ソリューション「data terminal」としてリリースしていたものをさらにエンハンスしたものだ。不動産事業者から掲載依頼された物件情報について、賃貸不動産情報サイトが情報公開前の段階で、本当に賃貸に出されている可能性が高いかどうか、部屋が実在するかどうかなどの照合検知を可能にする。

具体的にどのような技術や方法論を用いて照合検知しているかについては、以前書いた data terminal に関する記述を参考にしてほしい。日本には、市場に出回る賃貸不動産物件が1,800万件存在するが、現在、ターミナルが保有する物件情報は1,000万件ほど。同社はさらに関係企業との情報連携を強化し、物件情報の保有件数を7割程度以上にまで高めたいとしている。

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昨今、首都圏不動産公正取引委員会(首都圏だけを管轄しているというよりは、全国各地域の不動産公正取引委員会のガイドラインを束ねる役割も持っているようだ)らの働きかけにより、賃貸不動産情報サイトにおける運用ルールが強化されつつある。仮に、真実ではない物件情報がサイトに掲載された場合、その物件情報を掲出した不動産事業者は、日本国内の他のサイトにおいても掲載が許可されなくなる。必然的に、賃貸不動産情報サイト側も、物件情報の掲出前のスクリーニングを厳格化する運用が迫られており、trueper はその作業を効率化し、リスクを最小化する効能をもたらす。

前回の記事にも書いたように、data terminal が提供する機能は、Eコマースにおける不正防止などにも効果が期待できる。ターミナルでは、後払いサービスや個人間売買サービスなど、いくつかのオンラインサービス事業者とも、data terminal の活用によって、どの程度不正防止に役立つかを実験中とのことだった。あるコマース事業者では、不達となってしまう本人宛の配送について、data terminal の導入により20%から3%へと劇的な改善を見せたケースもあるそうだ。

ターミナルではこれまでに、エンジェル投資家や海外の不動産系 CVC などから出資を受けている。出資額、出資比率、出資者の名前などについては開示されていない。

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