
Walmart が、ブルックリンを拠点とする配送スタートアップの Parcel を買収した。小売大手の Walmart によるテック系スタートアップの買収は、この14か月で6件目となる(*注)。
取引条件は公表されていないが、買収手続きは9月29日に完了した。
2013年に設立された Parcel は、e コマース企業が注文された商品を宅配するサービスをサポートするよう設計された「ラストマイル」配送プラットフォーム。荷物の配達は24時間体制、予め決められた2時間単位で、注文翌日もしくは当日に行われる。

ここ数年、オンライン・オフラインの小売店による競争は興味深い進展を見せている。Amazon は食品や日用品といった家庭用品へ進出した後、オーガニックスーパーマーケットチェーンの Whole Foods を137億米ドルで買収すると発表して、Walmart など従来型小売店との競争に挑むこととなった。
Walmart の方も、e コマースでの信頼性を強める動きを進めているが、ここでも買収が戦略の中核にある。同社は昨年8月、オンライン小売の Jet.com を30億米ドルで現金にて買収すると認めたのを皮切りに、オンラインアパレル小売の Shoebuy を7,000万米ドル、アウトドア小売の Moosejaw を5,100万米ドル、女性向けオンラインファッション小売の ModCloth を金額非公表で、さらには男性用アパレルブランドの Bonobos を3億1,000万米ドルで買収している。
Parcel がニューヨークで設立されたのは2014年だが、それ以降、他の地域へは進出していない。シードラウンドで200万米ドルを調達したにすぎないスタートアップのため、Walmart が Parcel に多額の資金を投じたとは考えにくい。実際、同社のコメントによると、買収金額は「今年実施した案件よりも少額」なもので、最大でも5,000万米ドル、実際はもっと少ないと思われる。
Walmart が Parcel を買収して手にしたものに関しては、Walmart と Jet から提供される「生鮮・冷凍食品」から「雑貨」に至るまでを対象に、ニューヨークでラストマイル配送を行うために Parcel のプラットフォームを活用することを同社が計画していることからすれば、特に驚く話ではないだろう。
しかしながら、Walmart はどうやら Parcel の既存顧客へのサービスも引き続き提供していきたいようだ。Walmart は次のようにブログに投稿している。
Parcel は、複数の食材事業者、食料品店、e コマース企業と提携しており、この2年間で100万回以上も食事を配達してきました。そのため当面は、Parcel が既存顧客にサービスを引き続き提供し、顧客ベースを拡大してもらう計画です。
(注*)以前の投稿で Walmart は過去14か月に Parcel を含む5件の買収を実施と記載していたが、実際には Parcel は6件目だった。今回の更新では、同社が3月に実施した ModCloth の買収実績を追加している。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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