
Image credit: Beyond Blocks
確固たる統計があるわけではないので、これは筆者の肌感に他ならないのだけれども、最近、バンコクにブロックチェーンスタートアップのハブが形成されつつあるように思える。バンコクのカオサン通りには世界中の旅人が集まり、情報が集まり、安売りの航空券を扱う旅行社が集まったため、ここがバックパッカーのメッカと化したわけだが、言うまでもなく現地のタイ人だけが佇むエリアではない。
カオサン通り同様、タイのスタートアップシーンもタイの地元起業家だけでなく、世界中の起業家を魅了し始めているようだ。数ヶ月に一度はタイを訪れているのだが、今月訪問したときには特にそのような印象を強く受けた。その一つのきっかけとなったのは、昨年12月にバンコク市内で開催された Beyond Blocks World Conference だろう。開催初回にして世界30カ国以上から総勢1,000名以上を集め、このイベントは成功裏に終了した。

Image credit: Masaru IKeda
そして、初めてとなる Beyond Blocks の東京イベントが4月4日と5日の両日、恵比寿のウエスティン東京で開催される。Beyond Blocks を率いるのは、仮想通貨取引所 Capdax の共同創業者でもある Saber Aria 氏と、THE BRIDGE のメディアパートナーでもある e27 や InnovFest UnBound といったスタートアップイベントでマネージャーを務めた Gabriel Yang 氏だ。二人は、東京で Beyond Blocks を開催する理由について、次のように述べている。
周辺諸国とは対照的に、日本はブロックチェーン関連の活動に承認を与え、新しい事業を生み出すイノベーションの波を生み出した。その結果、仮想通貨取引所、ICO、ブロックチェーンといった新しい機会が、日本をフィンテック分野におけるグローバルリーダーへと変えつつある。(Beyond Blocks プレスリリースから)

Image credit: Masaru Ikeda
Beyond Blocks の東京イベントを前に、2月28日には新宿 Donuts 本社で、東京のブロックチェーン業界関係者を集めたミートアップが開催された。会場には、4月4日のメインイベントでもスピーカーを務める、トークンエコノミーを活用した中国市場向けの調査研究プラットフォーム「Red Pulse」の創業者 Jonathan Ha 氏や、ブロックチェーンに詳しくない人でもトークンを発行できる資金調達プラットフォーム「Starbase」を運営する佐藤智陽氏らが招かれ、自身のサービスやブロックチェーンのもたらす可能性について、集まった数十名ほどの参加者に講演した。
日本では、投機マネーを中心としたビットコイン熱の高まりが目立ち、数ある仮想通貨取引所が堅調な成長を続ける一方で、ブロックチェーンを活用した新規ビジネスやサービスの出現はまだ皆無に等しい。ブロックチェーンがもたらす効用のひとつが国境を超えた自由なヒト・カネ・モノの流通なわけで、世界の人々がアクセスしやすい(居心地のよい)場所を作ることで、あらゆる街がブロックチェーンスタートアップのハブになる可能性を秘めている。
Beyond Blocks Tokyo Summit には、30人以上の業界エキスパートが一堂に会する予定だ。ブロックチェーン元年と言われる今年(ブロックチェーンのコンセプト自体の発祥は30年以上前に遡るが……)、日本にもここから新たな動きが生まれることを期待したい。
【情報開示】THE BRIDGE は、Beyond Blocks Tokyo Summit のメディアスポンサーを務めています。
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