Taobao(淘宝)とのサービスが再開される中、eコマースプラットフォームのEZBuyがプレシリーズCラウンドで1,800万米ドルを調達

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Image credit: Pixabay

シンガポールの e コマースウェブサイト EZBuy はプレシリーズ C ラウンドで1,760万米ドルを調達したと本日(5月24日)発表した。この資金は Ventech(銀泰資本)、Sky9(雲九資本)、IDG、Vision Knight Capital(嘉御基金)、そして China Growth Capital(華創資本)といった中国で強い存在感を放つ新旧投資家からもたらされた。

EZBuy はユーザが中国やアメリカ、台湾、韓国のような海外のオンラインマーケットプレイスで買い物ができるよう手助けするものである。EZBuy は仲買人として機能する。プラットフォーム上でユーザの代理として販売業者と接触、商品を購入し、発送手続きから輸入、配送まで全て行ってくれる。

これは代購(代理購入)というコンセプトの新たな形態である。代購は国外の商品を求める中国 e コマース利用者に非常に人気の習慣だ。EZBuy 自身もかつては65代購として知られていた。

同スタートアップはこの資金で「信頼性が高くローカライズされたサービスをより早く顧客に提供」し、東南アジア内外の多くの国々に拡張する計画である。

共同設立者で CEO の He Jian 氏によると、その計画には商品の配送時間の短縮や国境を越えて買い物をした顧客のリスクの軽減が含まれるという。EZBuy の拡張計画の詳細については明かされなかったが、「現在複数のパートナーと協議中である」とした。

今回のラウンドに参加した投資家の多くは、2016年初頭に同社が実施した2,000万米ドルのシリーズ B ラウンドに参加していた。He Jian 氏によると、アクティブユーザ数は現在300万人以上だという。

複数のマーケットプレイス取引でバランスを図る

昨年末、Alibaba(阿里巴巴)が所有するマーケットプレイス Taobao(淘宝)との諍いで EZBuy はニュースの見出しを飾った。Alibaba は EZBuy が Taobao から購入するために多くのアカウントを作成する「ダフ屋」のようなことをしていると非難した。

これにより EZBuy ユーザからの注文が大量に未処理として残ることになった。特にこれが起きたのは独身の日、他のアジア諸国にも波及している中国最大のオンラインショッピングイベントの日間近のことであったためだ。

12月に EZBuy は遅れていた注文は全て処理が完了したと述べ、また同社は Taobao へのサービスを一時停止すると発表した。JD(京東)や Mogujie(蘑菇街)のような他の中国マーケットプレイスとの取引は続行するとも述べた。

He Jian 氏はその後「サービスは再開し通常通りに戻りました」と話す。現時点では確かに EZBuy に Taobao が表示されているのを見ることができる。

これが浮かび上がらせるのは EZBuy のようなサイトが直面するリスク、つまり依存している海外のマーケットプレイスに切り捨てられたりビジネス運が左右されたりするかもしれないというリスクである。Alibaba が買収した Lazada を通じて人々にリーチする Taobao のようなマーケットプレイスのケースでは特に懸念となりうる。

パートナーを多様化することがおそらく解決策となると Burda Investments のプリンシパル Albert Shyy 氏は考えている。

同氏はこう述べる。

e コマースの「成功要因」としては、多様なオプションがあるときがビジネスモデルは最も堅固です。そういうときはユーザや顧客への価値命題は増加し、1つのプラットフォームへの依存リスクは減少しますから。

サイトの中にはただ外国のネットショップとつながることを越えて、商品に幅をもたせることもできるようになる場合もあると同氏は付け加える。

よく売れる商品を直接あるいは自社ブランドで扱うこともできます。複数のプラットフォームにまたがっているために非常に豊かなデータセットにアクセスできるはずですから。

Gartner のリサーチディレクター Adrian Lee 氏は、複数のマーケットプレイスを利用しても EZBuy のようなスタートアップにとってのリスクを完全に排除できるわけではないと警告する。

同氏は次のように述べる。

この追加資金によって、業務のコアとしてのロジスティクスやフルフィルメント能力の拡張は東南アジア全体で可能となるでしょう。EZBuy がフルフィルメントを素早く充実させるかビジネスモデルを修正するかしなければ、12ヶ月から18ヶ月の間に余剰性の真のリスクに直面することになるでしょう。Alibaba Group が東南アジアでの拡大を続けていますから。

Taobao は多くのシンガポール人が EZBuy や競合スタートアップの SGShopOopsPeeka のようなサードパーティサービスを通じて買い物をする人気のサイトである。昨年 Lazada が Taobao へのアクセスを提供し始めた。

Peeka の共同設立者 Mark Xu 氏は、より安価で幅広い品揃えを持つ中国のマーケットプレイスで買い物をするユーザが今後増えていくだろうと Tech in Asia に語った。

SGShop はシンガポール、マレーシア、ミャンマーでサービスを展開しており、毎月の取引量は着実に増加していると COO の Lai Xin 氏は述べている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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