スマホ中毒時代の家族像「デジタルウェルビーイング」が形作る親子の絆とは?

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Image by Nicki Dugan Pogue

2018年6月に開催された、Appleの開発者会議WWDC。同イベントで発表されたiOS12には、スマホ中毒対策の機能が追加・強化されています。たとえば各アプリに対してどのくらいの時間を費やしているかを数値表示する機能スクリーンタイムの導入が代表的です。

スクリーンタイムの発表を通じて、Appleが子供のスマホ中毒問題を注視しているという強いメッセージを感じます。たとえアプリの利用時間が制限されることで開発企業が収益機会を失うリスクやデメリットが生じようとも、ユーザーの健康意識を取り戻すことの方が大切ということでしょう。

各社が躍起となるデジタルウェルビーイング

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先述したAppleの事例だけでなくGoogleもスマホ中毒対策の手を打ってきました。

2018年5月に開催された開発者会議Google I/Oでは「デジタルウェルビーイング」という標語が発表されています。デジタル端末の利用と健全な生活のバランスを取ることをコンセプトに、今後アプリの利用時間の可視化機能を実装する予定です。

一方、ウェアラブル端末を開発するFitbitは「Fitbit Ace」を発表。同端末は子供向けのウェアラブルIoTで、運動量や睡眠活動データをトラッキングします。両親は子供の活動データをアプリで手軽に確認でき、たとえばアクティビティ量が少なければ子供が部屋にこもっていないかという判断材料になります。

FitbitはAppleやGoogleとは違い、スマホ中毒を直接解決する製品は開発していませンが、アクティビティデータ収集の切り口から子供をもっとアウトドア志向にさせる導線作りに徹することで課題解決を図ろうとしています。

ここまで大手IT企業の事例を紹介してきましたが、2018年6月に200万ドルを資金調達をした子供のスマホ中毒を解決するスタートアップ「Facemetrics」も見逃せません。

同社はAIを使って子供のスマホ利用時間をトラッキング。ゲーミフィケーションの仕組みを採用しており、たとえばKindleなどで読書や勉強をすればするほど子供はリワードがもらえます。一方、ゲームや動画ストリーミング配信サービスの利用時間が一定数超えると、強制的にエンタメ系アプリの利用が制限され、読書や勉強アプリの利用画面へ強制的に移行されます。

親は子供がデジタルデバイス上でどのくらい勉強や読書をしたのか細かくトラッキングできるほか、特徴的なのは端末搭載のカメラを通じて子供の表情をAIで解析も可能になっています。どのくらいコンテンツに没入しているかを数値化して適切なタイミングで学習アプリへ移行する仕組みを構築し、エンタメコンテンツに過度に集中し過ぎない線引きをAIの活用によって実現しているのです。

親のスマホ中毒に打ち手なし。デジタル時代の家族の絆とは?

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Image by Caitlin Childs

このように子供の場合は両親がデジタル端末の利用状況を監視できる体制があるため、非常にコントロールしやすい環境が整っているといえます。また、子供をしっかりと教育するのは親の役目であるといった責任感もスマホ中毒対策向けサービスの利用を促進させています。

しかし子供のスマホ中毒にのみ焦点が当てられているのが現状であり、徐々に社会問題視されている親のスマホ中毒に対しての抜本的な解決策は提案されていません。

Reutersの記事によると、48%の親が家族との時間を過ごしている間に3回以上スマホを眺めて気を散漫させているといいます。たとえば公園へ子供と一緒に遊びにった際、親がスマホをいじって子供は砂場で一人寂しく遊んでいるといった状況が挙げられます。

またBusiness Insiderの記事では、スマホ中毒の責任は誰にあるのかという質問を2,200名の成人に投げかけ、74%がユーザーの責任であるという結果を掲載しています。スマホ中毒の責任がユーザー自身にあるとすると、親の中毒問題の解決は非常にハードルが高いかもしれません。

結局親のスマホ中毒の姿勢が変えられない限り、家族とのコミュニケーションが希薄となり、子供のスマホ利用に対する姿勢も変わらないでしょう。親の背中をみて育つ子供に悪影響を及ぼしかねない図式です。

デジタルウェルビーイングが叫ばれるなか、家族にとって健全なデジタル生活とは一体何なのか?という問題を考えた際、子供だけでなく親のスマホ中毒を解決する対策が求められるはずです。加えて、親が子供のデジタル端末の利用状況を手軽に確認できるデジタル時代における監視生活のなか、どのような親子の絆を描くべきなのかを考える時期に来ていると考えます。

今後、単にスマホ中毒を解決するサービスを利用するだけでなく、デジタル時代の家族像を俯瞰して考える必要性が増してくるかもしれません。

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