創業メンバー集めを支援「ビズリーチ創業者ファンド」開始ーーたった1人で500人と面会、半年で経営陣を集めた方法

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2018.10.11

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写真左から:RevComm(レブコム)の會田武史氏、ビズリーチの南壮一郎氏

ニュースサマリ:人材、HRテクノロジー領域を手がけるビズリーチは10月11日、スタートアップ支援事業「ビズリーチ創業者ファンド」を開始すると発表した。シードやアーリー期(売上がない、もしくは黒字化していない段階)の企業が対象で、主にB2B市場を対象とした生産性向上テクノロジーや人工知能、ブロックチェーンなどの最先端技術を活用した事業にフォーカスする。

支援内容は採用戦略コンサルティングを中心に、ビズリーチが提供するリクルーティングサービスの1年間無償利用や出資などが含まれる。なお、資金についてはファンドを組成せず、事業会社として本体出資する。同社はこの1号出資案件として人工知能による電話営業サービス「MiiTel(ミーテル)」を展開するRevComm(レブコム)への支援も公表している。

話題のポイント:ビズリーチがスタートアップ支援を開始、ということで同社代表取締役の南壮一郎さんと今回支援先となったRevCommの會田武史さんにお話伺ってきました。會田さんは商社を経てスタートアップした29歳。学生時代に立ち上げたThinkAct」というコミュニティを通じて南さんと出会ってから数年来のお付き合いだそうです。

さて、今回ビズリーチが立ち上げた支援事業ですが、ファンドと言いながら本体投資であるスキームなどから考えて、メルカリが展開する「メルカリファンド」に近い話で「早くも事業多角化か」と取材に乗り込んだのですが、違った意味で驚きの内容でした。特に創業メンバーやマネジメント層に課題を持っているスタートアップの方は参考になる話かもしれません。

  • 支援先の會田さんは1人で起業、南さんにエンジェル投資を求める
  • 南さんは個人投資家になる意向なし、でもせっかくだから仕組み化を考える
  • 會田さんは半年で500人と会って4名の創業メンバーを集め、事業拡大中

ポイントは會田さんが取ったビズリーチの活用方法です。整理して共有します。

米国ファンドのプロリクルーターチームによる支援モデル

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RevCommが提供する人工知能による電話営業サービス「MiiTel(ミーテル)」

他国(特にシリコンバレー)のスタートアップ系の投資ファンドには、人材やバックオフィスなどを中心にチームとして支援する機能が存在すると聞きます。国内ではファンドマネージャーがハンズオンする例がまだまだ多いですが、より組織的、機能的になっているイメージですね。

今回ビズリーチが採用したモデルはこの中でも特に、プロリクルーター機能を中心に切り出して提供した、というと理解しやすいかもしれません。南さんは元々、外資系企業勤務や海外VCなどとのコミュニケーションを通じて、こういったスキームの存在を理解していました。

そういう意味で會田さんからの出資依頼は、国内ベンチャー投資の新しいモデルを考えるチャンスだったと言えます。早速、誰もメンバーがいない會田さんにツールを提供し、実際に創業メンバーが集められるかどうか試してもらったそうです。これが支援の始まりです。

知らない人に会いまくる創業メンバーの集め方

ここ10年ほど取材していて、創業メンバーの出会いエピソードで多いのは「友人」や「元いた会社の同僚」などです。気心知れて手軽な一方、スキルのミスマッチや離脱した際の再現性のなさから、スタートアップを困難たらしめる要因の1つになっていました。

會田さんは違います。徹底的にダイレクトリクルーティングのツールを使って、見たこともない人に会いまくったそうです。ただ、その会い方が非常にロジカルでした。

  • 事業ビジョンを言語化する
  • ビズリーチのレジュメで対象者を検索、マインドセットが会う人に毎日会いまくる
  • タレントプールを作って月次の勉強会を開催、事業を通じて何をしたいか伝える

このサイクルをずっと続けた結果、月次の勉強会に集まっていた10人ほどの候補者が徐々に減っていき、最終的に現在の創業メンバー4名が残るまでになったそうです。かかった期間は約半年で、出会った人数は500人。通常のサービスとしてビズリーチを使い、このフローを実行したら500万円ほどのコストになるという説明でした。

また、エンジニアリングについては全くの素人だった會田さんは、この「人に会ってビジョンを語る」という経験を通じてエンジニアとのコミュニケーション術も習得していったといいます。

なお、出会った人たちで多かったのは20代から30代前半の方で、ちょうど社会人として5年目を過ぎたあたり、なんらかのプロジェクトをマネジメントしたりコーディングしたものが公開された、といった経験をお持ちの方々だったそうです。

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再現性はあるのか、次に続く事例が課題

創業期というのは(特に外部の資本やプレッシャーを受けやすいスタートアップ)「ウェット」な人間味のある部分も必要と思う人も一定数いるでしょう。

一方でスタートアップはどれだけ打席に立てるか、という確率論的な側面も大きいです。1打席目に立ったメンバーがそのまま2回目、3回目のバットを振っても、スキルセットのミスマッチがあればそれは残念ながら時間の浪費になってしまいます。

そういう意味で、もし、會田さんが実施したフローがビズリーチの支援策として再現性のあるものになるのであれば、起業を考える人に大きな武器となることが考えられます。国内エコシステム全体で見ても、人の面がロジカルになれば、成功確率は高まります。

課題は次に続くチームです。南さんにこのスキームを他のベンチャーキャピタルが採用したい、と相談されたらどう考えるのか尋ねたところ「明確に考えていることはない」としつつ「共同出資のようなモデルもあるかもしれませんね」と可能性を含んだ回答をしていました。

資金が集まりやすい今、起業家に求められる大きな役割はチームづくりです。創業メンバーをこういった人材データベースから集めることができるようになったのは、国内エコシステムが成長した結果とも言えるかもしれません。

再現性があるかどうか、次の案件に注目してみたいと思います。

修正補足:記事初出時、出会った人数を3000名としていましたが、會田さんから500名の間違いと訂正依頼がありました。修正してお知らせさせていただきます。

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