10年で倍増するアフリカ外貨取引ーーYC卒業生「VertoFX」はアフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)の波に乗れるか

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ピックアップVertoFX raises $2M for its African and EM currency trading platform

ニュースサマリー:新興国市場に特化した外貨マーケットプレイス「VertoFX」がシードラウンドにて210万ドルの資金調達を公表している。リード投資家はAccelarated Digital Venturesが務めた。同社は、アフリカを中心とした新興国に本拠地を置く企業に国際支払いを提供するフィンテック企業。Y Combinatorが実施しているアクセラレータープログラムの卒業生でもある。

同社創業者のOla Oyetayo氏は元々ナイジェリアの銀行に勤めていたバックグラウンドを持つ。そんな同氏によれば、アフリカ大陸では小規模・中規模企業による国際取引が年間4000億ドル発生しているが、テクノロジーを駆使したフィンテックサービスが用いられることはまだまだ多くなく、SWIFTを利用した従来手法の国際送金が取られることが主だという。現在同プラットフォームでは19カ国の通貨に対応しており、米ドルや日本円も含まれている。

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SWIFT

話題のポイント:Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication(SWIFT)が、アフリカ大陸における国際取引に関するデータを公開しています。それによれば、2007年から比較して取引高は2017年で212%増を記録し、アフリカにおけるビジネス機会の増加、逆に言えば世界からのアフリカに対する注目が着実に進んでいることが伺えます。

ではそれらの資金はどの地域に流れているのか。同じくSWIFTが調査したデータによれば、基本はユーロを軸とした国家へ向けた取引であることが分かります。また、もちろんアフリカ国内間での外貨取引も活発で、APACへ向けた取引実績も数多くあります。

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SWIFT

さて、そんな中アフリカでは国内市場で大きな動きが起きています。アフリカ国内における貿易を活性化させようと、アフリカ連合(AU)加盟国により関税を最小限に留める自由貿易圏となる「アフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)」が設立されることが決定的になりました。

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World Economic Forum

上図は世界経済フォーラムが公開したアフリカ大陸の国家におけるGDP比率を表したもので、自由貿易に参加か否かを色別に表しています(現在はナイジェリアは自由貿易協定に署名済み)。

現在アフリカでは、共通通貨を生み出そうとする取り組み「ECO」などの動きも見られますが、少なくとも現時点では各国ごとの通貨をベースに取引を行うのが一般的です。上図のGDPを比較しても分かる通り、共通通貨が難しい根本的にな理由にはアフリカといって一括りにすることはできない経済格差があることも起因しているようです。

最大のGDPを誇るナイジェリアが約4兆ドルを誇っているのに対し、最下層のサントメ&プリンシペでは4億ドルにとどまっています。

ただ、AfCFTAによって国内でも商用取引が活発化され、更に外国資本が参入してくればアフリカ通貨の世界におけるプレゼンスも向上することは確実です。その需要を裏付けるかのように、「VertoFX」によれば、既に同プラットフォームでは700万ドルほどの取引ボリュームを記録しており、アフリカにおける外貨の流動性の高まりが感じられるようになっています。

同社は現在、外貨マーケットプレイスをサービスの主体としていますが、今後アフリカの各銀行・政府機関と共同でプロジェクトを進めていく可能性はさらに高まりそうです。

 

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