超人気商品を”半値以下で提供”の恐怖ーーAmazonのコピー戦略を紐解く「3つの視点」

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ピックアップ: Facebook may copy your app, but Amazon will copy your shoe

ニュースサマリー: 9月19日、Amazonが自社シューズ特化のプライベートブランド(以下PB)「206 Collective」にて、人気シューズメーカー「Allbirds」の商品に限りなく似せたと思われるシューズを発表したと報じられた。

Allbirdsは2015年にサンフランシスコで創業。累計調達額は7,700万ドル超に上り、D2Cスタートアップとしては名の通った企業である。ウール素材の優れたデザインと履き心地が人気の靴を販売する。

今回発表されたAmazon商品は素材もウール、デザインもAllbirdsのものと酷似している。唯一の違いは値段。Allbirds製が95ドルである一方、Amazonは45ドルからの展開となっており半値以下で販売されている。

Amazonがあらゆる取引データを分析し、売れ筋商品を真似たPBを立ち上げる手法は2、3年前から急速な広がりを見せている。本件も同様の流れから商品化に至ったと見られる。

なお、Allbirdsは自社商品のコピーキャットに対して著作権侵害の法的侵害を訴える動きを過去にとっていることから、Amazonを訴える可能性も示唆されている。

Amazonが持つ3つのコピー戦略軸

話題のポイント: ソフトフェア領域ではFacebookが、ハードウェア領域ではAmazonがコピー量産機になっている印象が否めません。

FacebookがSnapchatのストーリーズ機能をコピーして長く経ちます。しかし、それ以降も多角化の手を緩めていません。米国版メルカリ「Letgo」を模したP2Pマーケットプレイス、最近ではマッチングサービスにまで手を伸ばしています。

各市場領域で生き残った先行スタートアップを参考にしながらキャッチアップすることで、効率的にユーザー体験を最低限担保されたサービスを乱立させる戦略と言えます。

AmazonはFacebookが行なっているソフトウェア領域におけるコピー戦略をハードウェア領域で行なっていると言えるでしょう。同社が持つ競合優位性は3つほど挙げられます。

1つはビックデータ。Amazonマーケットプレイスで「Allbirds」と検索すると大量のコピー商品が結果表示されます。これは市場がAllbirdsの安価商品を望んでいる証拠でもあります。

こうしたデータに加えて、各セラーが投入したレビューを参考にしながら、どういった点がウケているのか・ウケていないのか定性分析することで商品開発の精度を高めることが可能となります。データドリブンなアプローチによりPB立ち上げの効率化を図れます。

2つ目は規模の経済。Amazonの製造網はスタートアップの比ではありません。大量のスロットを生産することで販売当初から低価格を実現できます。Allbirdsが苦労してたどり着いた「ウール素材」という解はすでに持っているため、あとは仕入れ業者や製造プロセスを調整するだけ。

最後は訴訟前提の事業拡大。Amazonの巨額資本を元に、コピー元メーカーから訴訟をされたとしても対抗できるリソースを割きます。徹底的に対抗することで、訴訟費用以上の利益確保を狙う考えです。

たとえばUberやAirbnbが大型資金調達を繰り返していた際の戦略は、市区町村から法律違反を指摘されたり、自社プラットフォーム上で訴訟問題が発生しても対応できる盤石な資金を調達し、訴訟前提での成長を作ることでした。

このように市場トップの座に立つGAFA勢が後続を許さない、もしくは買収するほどでもないが自社事業拡大に繋がるサービス・商品を展開する戦略が一般的になりつつあります。

特にユニットエコノミクスが見えたシリーズA以降の起業家たちは「GAFAが真似したらどうするの?」という質問に明確に答える必要性が高まりつつあるので注意すべき動きでしょう。

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