旅行中のお部屋を「即現金化」するLeavy.co、そのカラクリを考えてみた

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Image Credit: Leavy.co

ピックアップ:Leavy.co, the app for millennials who want to rent out their room while travelling, discloses $14M funding

ニュースサマリー:パリに拠点を置くトラベルスタートアップ「Leavy.co」は26日、シードラウンドにて1,400万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はPrime Venturesが務めた。Index Venturesも同ラウンドに参加している。

Leavy.coは旅行者が旅に出ている間、自宅またはアパートメントを短期賃貸として貸し出せるプラットフォームを提供している。利用者は宿泊者とやり取りする必要なく、プラットフォーム上からオンデマンドで物件を探すことができる。鍵の受け渡しなどは該当地域の物件管理を担当するオンデマンド・ホストが代行する。

最大の特徴は、部屋を貸し出すオーナーの報酬受け取りまでの早さにある。同社では物件をリスティングした時点で代金が支払われる。そのため、貸し出すユーザーは旅に出る前に資金を手元に置くことが出来る。また、結果的に予約者が獲得できなかった場合でも、通常の金額がそのまま支払われる。価格自体は需要と供給に従った、ダイナミックプライシングによって設定される。

話題のポイント:Leavy.coのコンセプトは「旅するミレニアルを増やすこと」。しかし旅をするために多額の借金を背負っていては元も子もありません。このギャップを埋めるために「旅をしながら稼ぐ」手段としてLeavy.coのアイデアに行き着いたと同社のホームページで語られています。

たしかに旅をする = 普段住んでいる家が空くため、その部屋を民泊化する手段は真っ先に思いつくマネタイズ方法です。とはいえ、信頼できる友人がいるなら別ですが、貸し出すとなればトラブル対応に備えてその場にできるだけ居合わせたり、細かくやり取りをしなければならない煩雑さがありました。

そこでLeavy.coでは、アプリ内コミュニティーで気軽に「Hosts on Demand(ローカルホスト)」を募集する仕組みを作りました。オーナーはホストに諸対応を安心して任せられるため、思い立った際に気軽にリスティングできるサービス設計になっています。

また、ユーザー層にも特徴があります。Leavy.coのユーザー数は6万5000人を超え、そのうち60%がミレニアル世代の女性であるとのこと。Airbnbやその他民泊プラットフォームでは、家族が所有する自宅の一室やそもそも投機目的の部屋が主流ですが、若い女性向けの物件が出揃うことで、差別化が生まれていることが予想されます。

さて、2017年に創業したLeavy.coがたった約2年間でユーザー数6万を超えるまでに成長を遂げた理由として、冒頭で紹介した前払いシステムが挙げられます。

これ、一体どういう仕組みなのでしょうか。

上述通り、同社では物件の貸し出しの有無に関わらず、ダイナミックプライシングによって設定される価格をオーナー側へ支払う契約になっています。当たり前ですが、オーナーに対して予約者が付かずに一定額を支払い続ければ、ただ損失が積み重なるだけの仕組みです。

CEOのChaouachi氏もTechCrunchのインタビューにて「もし宿泊者を獲得できなければすべてのリスクは我々が請け負うこととなります」と語っています。裏を返せばリスティングされればほぼ確実に宿泊者が集まるという仮説で運営をしているわけです。

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Image Credit: Leavy.co

ここからは筆者の仮説です。

上図に記した305ユーロは、仮にフランス・パリにて12月23日から27日までの5日間、シングルベッドの部屋を貸し出した場合にオーナーが受け取れる金額です。旅に出ている間、1日当たり、約60ユーロ(日本円で7200円)ほど受け取れるので、旅費の足しにはなりそうです。

Leavy.coが利益を生み出すためには上記金額より高値で市場に出す必要があります。失敗すれば100%の不利益です。さてここで競合となるAirbnbのリスティングを見てみましょう。

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Image Credit: Airbnb

同じ条件におけるAirbnbのリスティング価格帯は安くて1日100ドルほどです。そうです、Leavy.coの方がざっくり40%ほどのディスカウントになっています。オーナー目線でいえば、Airbnbに高値でリスティングしても利用者が現れなければ利益はゼロですから、割安でもリスクフリーで貸し出しせるLeavy.coは魅力です。

また、空室率の問題もあります。

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D.C. Policy Center

上図はアメリカ・ワシントンD.C.におけるデータになりますが、Airbnbにおける月間貸し出し率を現したデータです。NPO法人であるD.C. Policy Centerによれば、ワシントンD.C.におけるAirbnbの貸出率はほとんどが年間20日以下であり、数多くが9日以内の宿泊であることがわかっています(同データにおけるAirbnbの物件はすべて貸し切り物件、つまりLeavy.coが提供する「家」と同じ条件。)

つまり短期滞在の物件は人気なのですね。空いていない可能性が高い。

一方、Leavy.coは一つの場所を連泊前提で利用できるため、断片的に滞在場所を変えるリスクが低く抑えられます。こういった空き状況とプライシングのデータを使い、適切な提示額を導き出すことで利用客のマッチング成功率を100%に近づけているのではと考えます。

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Image Credit: Leavy.co

 

またアプリ内ではコミュニティー通貨として「Leavy Coin」を導入し、写真投稿など、ユーザーが自身の住む町に関わることでコインを獲得できます。こうしたGoogle Mapsのローカルアドバイザーのようなエコシステムを独自に設計している点も特徴でしょう。

加えて、モバイル決済「Leavy Pay」も様々な店舗で利用でき、一つのアプリ内でコイン獲得から決済機能までを実装しています。また、オンデマンドのローカルホストとしてお金を稼ぐことも可能です。

このように、コミュニティー形成と決済機能を両立させることで、自宅を民泊サービスに掲載する機会がなかったユーザーでも継続して利用できる仕様を目指しているのではないかと思います。様々な収益ポイントを設定することで「せっかく旅にいくんだったらリスティングするか」というユーザー行動を導くことができるかもしれません。

ローカルに根付きながらお金を稼げる、もしくはローカルを抜け出して遠くに旅行をしながらでも稼げる、こういった新たな経済圏のアイデアは日本でも参考になるのではないでしょうか。

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