電通のスタートアップ支援「GRASSHOPPER」、2019年冬版のデモデイを開催——採択9チームがクリエイティブに磨きをかけたサービスを披露

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電通は29日、都内でスタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」第2期のデモデイを開催した。採択チームには年明けから3ヶ月間にわたり、クリエイティブ、ブランディング、UI/UX、PR、マーケティングを中心としたメンタリングが提供された。約90チームがエントリし、うち採択された9社がこの日のデモデイに臨んだ。

審査員を務めたのは次の方々。

  • 村田祐介氏(インキュベイトファンド)
  • 山中卓氏(i-nest capital)
  • 深山和彦氏(グローバル・ブレイン)
  • 田中広記氏(スクラムベンチャーズ)
  • 前田浩希氏(電通)
  • 笹本康太郎氏(電通ベンチャーズ)
  • 松尾秀実氏(電通)

【グランプリ】Funds by Crowdport

副賞:賞金100万円

社債は、企業にとって株式による資金調達よりもコストが安く使途についても柔軟であり、個人投資家にとっては株式相場に左右されず元本割れリスクが少ないなどのメリットがある。しかし、アメリカなどの企業と比べ、日本企業が社債を活用できている事例は著しく低い。これは、日本では上場企業の中でも投資適格の各付けを持つ企業が1割に満たない中、証券会社が投資適格も各付けを持たない企業の社債取扱について限定的であるなどの理由による。

Funds は、個人向け社債を代替するサービスだ。社債ではないが、社債に近い機能を提供でき、資産形成したい個人と資金調達したい企業をマッチングする。 株式市場と債券市場の間に空いているニッチエリアを攻めることで、株式ほどはリスクを取りたくないが、債券よりは高リターンを好む投資家に3%前後の固定利回りを提供する。これまでに約1万名が Funds で投資しており、運用残高は6.7億円までに成長。2026年までに運用残高1兆円の達成を目指す。

一般的な消費者に比べ、株主である消費者は当該銘柄の会社の商品を多く購入する傾向がある。その会社を応援したいという意識が働くためで、このような株主を「ファン株主」として上場企業は開拓しつつある。しかし、クラウドポートではこの機能を Funds で提供できると考え、GRASSHOPPER を通じて、Finance とファンマーケティングを掛け合わせた「FinCommunity」というコンセプトに行き着いた。

IVS 2019 Summer in 神戸 の「Launchpad」で優勝している。

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【第2位】【engawa KYOTO 賞】マテリアルズ・インフォマティクス by MI-6

副賞:日本とハワイを結ぶオンラインピッチイベント「Island Innovation Demo Day 2020(2020年5月29日)」にハワイからピッチ参加できる権利

日本の輸出産業で最大規模を占める素材分野において、研究開発の工程は、仮説に基づいた実験とその評価の繰り返しに依存しており、平均すると新素材の開発着手から実用化までには18年の歳月を要する。実験を進める方向性の決定などには、いわゆる〝経験と勘〟によるところが多いのも一因だ。MI-6 では、この工程に機械学習が得意とする認識+生成を取り入れることで、効率的な素材開発を可能にする。

MI-6 のクライアントの中では、例えば、キシダ化学が実施した次世代電解液の開発工程で、通常は数年以上に要するところを数ヶ月で発見に至るような実績が出ているという。今後は、AI を使った素材の合成装置も開発し、研究開発から素材生成までを一気通貫で as a service として提供できる体制を整えたい考え。GRASSHOPPER を通じて生み出されたマグネットワードは「世紀の発見を、偶然にしない」。

【第3位】OLTA by OLTA

OLTA は中小企業に特化したファクタリングサービスだ。大企業と違って、成長余力はあるのに資金が少ないことで頭を抱える中小企業は少なくない。OLTA では事務コストを圧縮しスピーディーなファクタリングサービスを提供するため、約20万社のデータに基づくAI(スコアリングモデル)を開発したことで、従来必要だった面談や書類提出などの手間を効率化したのが特徴。法人代表の本人確認と売却対象の請求書、全口座の直近7カ月入出金明細、昨年度決算書をオンライン提出することで24時間以内に審査・買取査定結果をメールで通知してくれる。

OLTA への累積申込金額は150億円を突破しているが、同社が独自に500人の中小企業経営者にヒアリングしたところ、ファイナンス手段として銀行融資は90%の人々に認知されているものの、ファクタリングは10%の人々にしか認知されていないことがわかったという。このことから、同社ではファクタリングの認知獲得が事業拡大の要と捉え、freee と連携した「請求書ファイナンス」や、地方金融機関と連携したファクタリングサービスの OEM 供給に注力。予期せぬ病気を治療してくれる「かかりつけ医」に準え、中小企業のキャッシュフローをヘルシーにするのを支援する存在になりたいとした。

2017年2月に開催された「資産運用ハッカソン」で taxy として最優秀賞を獲得。MUFG DIGITAL アクセラレータの第2期から輩出。今週、日本郵政キャピタルか2億円を調達し、累積調達金額はデットを含め32億円に達した。

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【第4位】Player! by ookami

ookami は2014年4月の設立。2015年4月にモバイルアプリ「Player!」を iOS 向けにリリースし、スポーツニュースの配信プラットフォームから、スポーツゲームをライブで伝え、ゲームの途中経過や結果とともに、同じゲームを実況観戦する他ユーザと思いをリアルタイム共有できるスポーツSNSへとピボットした。2015年12月には、App Store Best of 2015 を受賞、2016年にはグッドデザイン賞を受賞している。

ローンチから約4年半を経て、現在の月間訪問ユーザは約300万人。ユーザが自ら現地からスポーツをレポートできる環境を備え、現在では「番記者の民主化」というコンセプトを掲げた。こうすることで、テレビなどのマスメディアではカバーできないマイナースポーツ、草の根スポーツイベント、ローカルトーナメントなどもカバーできるようになる。年間16,000試合のスポーツのリアルタイムデータを配信し、今後は中小規模の大会の取扱、デジタルサイネージを使った街中の露出などで多様化を図る。

「東急アクセラレートプログラム」第3期から輩出。IVS 2017 Spring in 神戸「LAUNCHPAD」ファイナリスト。

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【第5位】SynchroLife by GINKAN

GINKAN は、AI とトークンエコノミーを用いた新しいグルメ SNS「SynchroLife(シンクロライフ)」を運営している。投稿情報の正確性や透明性をブロックチェーンのしくみを使って担保し、ユーザは投稿内容の評価に応じて、トークン「SynchroCoin」によって世界共通価値となるユニバーサルなインセンティブが得られる。4言語で155カ国・地域の飲食店に関する投稿に対応しており、現在20万件以上のレビューが掲載されており、全登録ユーザーのうち18%(他アプリでは3%程度)がレビューを投稿している。

8月には飲食店で会計金額の1〜5%(店舗設定でキャンペーン時最大20%)相当の SynchroCoin が受け取れる機能を追加。飲食店は、既存サービスにおける一般的な飲食店の広告出稿モデルと異なり、実際に来店した顧客の飲食代金の5%相当額を GINKAN に手数料として支払うだけで SynchroLife 上に広告掲載できる。仮想通貨を還元できる加盟店は、都内を中心に年内に1,000店舗の参加を目指す。SynchroLife の仮想通貨である SynchroCoin は LATOKEN に上場しており、Ethereum 建てで現在約2.2円相当(上場時の約5倍)で取引されている。

現在、シリーズ A ラウンドの資金調達の終盤を迎えており、来年以降に実施するとみられるシリーズ B ラウンドでは15億円の資金調達を目標に掲げている。MUFG DIGITALアクセラレータの第4期デモデイでグランプリを受賞、Plug and Play Japan のアクセラレータプログラム第1期デモデイでフィンテック部門優勝した。

Swipe Video by AMATELUS

一般的な動画はもとより、360°パノラマ動画であっても視点を切り替えることはできない。この種のサービスがまだあまり実用化されていないのは、受信側・閲覧側のデータ処理が非常に重いものになるためだ。自由視点映像を使ったスポーツ中継の事例は増えつつあるが、サーバ負荷やデータ量の問題から、視聴ユーザ各自が自由に視点を選ぶような体験は実現が難しく、5G 環境を前提としているものが多い。Amatelus の「Swipe Video」は、視点切替可能な動画を効率的に伝送し再生できる技術を開発した。

同社の技術では、ユーザが視聴しているアングルの映像のみを送出することが可能で、4G 環境で Web ブラウザのみで再生が可能。特許取得後はスポーツやエンターテイメントでのユースケースに事業分野を拡大している。視聴者が自由に視点をスイッチできる Switching Free をテーマに掲げており、GRASHOPPER への参加を通じて「Broadcast から Peoplecast へ」という言葉を生み出した。同時に複数ユーザが撮影した多視点映像を集めることで、さまざまなものをホログラム化できる世界も展望する。

Plug and Play Japan アクセラレータプログラム第2期共創型アクセラレータ「Supernova(現在の StarBurst)」第2回から輩出。

SIRU+ by SIRUTAS

シルタスは、買い物から健康を目指すスマホアプリ「SIRU+」を開発するヘルスケアスタートアップだ。同社は、今ある生活を大きく変えずに、最適な選択肢の提供をテーマに掲げている。栄養管理のために、ユーザに何を食べたかを入力させることを求めたり、受け入れられない行動変容を求めるのは難しい。そこで、SIRU+ ではスーパーマーケットの決済カードなどと連携し、得られた買い物履歴から栄養素のデータに変換する仕組みを開発した。

ユーザの属性、栄養状態、POS データ、嗜好を取得できるため、ユーザに対してはその人に合った選択肢(例えば、タンパク質を摂取しやすい食材を使いつつ、そのユーザが好みそうな料理をレコメンドするなど)を提示可能。ユーザは無料で利用できるが、流通小売に対してはデータの提供が可能、また、食品メーカーに対してはアプリ上での広告機会やデータ分析の提供が可能。アプリからのレコメンドの結果、ユーザがどのようなオフライン購買をしているかも把握できることから、流通小売は適切な施策を検討しやすくなる。

CODE Meee ONE by CODE Meee

CODE Meee ONE は、ストレス課題に応じて最適な香りを作成、サブスクリプション購入できるアロマサービス。典型的な香水や芳香剤などとは異なり、精神状態や気分を改善するメンタルヘルスケア機能に特化した製品。コアターゲットは30代の男性ビジネスパーソンだ。ユーザはサイトから自分のプロフィールのほか、改善したい精神状態やストレス課題、気分を上げたいなど理想のイメージを投入すると、3,000種類以上の調合レシピの中から最適なアロマが3種類提案される。

CODE Meee では、C 向けの CODE Meee ONE に加え、B 向けのサービス開発も始めた。香りによってコンディションを最大化する「ソリューション・フレグランス」ではオフィスやスクールをはじめとする環境での健康奨励や従業員満足度向上、記憶を香りと共に消費者に定着する「ブランディング・フレグランス」では、映画の忘れられないシーンの効果向上や音楽のアーティストライブへの導入などで協業を図る。B 向けにはデータを使ったビジネスも拡大してく計画だ。

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Twidy by WFrontier

WFrontier が提供する「Twidy 」は、アメリカの Instacart のような買い物代行を提供するプラットフォーム。注文をするユーザをリクエスタと位置づけ、サービスは店舗で商品をピッキングしてくれるピッキングサポーター、その品物を家まで届けてくれるドライビングサポーターで構成される。注文から最短1時間で商品が届くのが特徴。2018年9月に東京・渋谷のライフ渋谷東店のみでサービスだが、既に渋谷区では同区人口の1.8%が Twidy のユーザになっているという。

利用ユーザの8割は買い物に外出しづらい小さい子供のいるママであり、スーパーを中心に半径2キロにリクエスタが2,000人以上いればサービスが黒字化できることがわかったという。この条件に倣って、今年9月にはサミット三田店、サミット深沢店でサービスを開始。12月2日には、島忠・ホームズ中野本店でサービスを開始予定。スーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストアを中心に商圏を拡大する計画。GRASSHOPPER を通じて、「ママに、ゆとりを。」というマグネットワードを生み出した。

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