電通のスタートアップ支援「GRASSHOPPER」、2019年春版のデモデイを開催——参加11チーム、クリエイティブに磨きをかけたサービスを披露

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電通は27日、都内でスタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」第1期のデモデイを開催した。第1期は11月末にエントリが締め切られ、採択チームには年明けから3ヶ月間にわたり、クリエイティブ、ブランディング、UI/UX、PR、マーケティングを中心としたメンタリングが提供された。約60チームがエントリし、うち採択された11社がこの日のデモデイに臨んだ。

なお、登壇チームのうち、atta、SuperDuper、Payme の3チームについては、電通のスタートアップ向けコミュニケーションプロトタイピングサービス「TANTEKI」の支援を受けている。

デモデイでは審査員により最優秀チームが選ばれ、副賞として賞金100万円、Stockclip 有償アカウント1年分が贈られた。審査員を務めたのは次の方々。

  • 小笠原治氏(ABBALab)
  • 加藤貞顕氏(ピースオブケイク)
  • 鎌田和樹氏(UUUM)
  • 國光宏尚氏(gumi)
  • 千葉功太郎氏(個人投資家)
  • 手嶋浩己氏(XTech Ventures)
  • 溝口勇児氏(FiNC Technologies)

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【優勝】MUSCA

ムスカは、45年間1,100世代の選抜交配により品種改良されたイエバエを使い、生ゴミや畜産糞尿から飼料や肥料を作り出すスタートアップだ。生ゴミや畜産糞尿にイエバエの卵を合わせると、1週間ほどでイエバエの幼虫と幼虫排泄物となる。幼虫は動き回りながら、その周りにある有機物を分解しながら成長し、幼虫は飼料として、また幼虫排泄物は肥料して活用できる。微生物分解による方法と違い、発酵を伴わないので悪臭が出にくく、地球温暖化の原因となるガスも発生しない。

ムスカでは、1ユニットあたり1日100トンの飼料と肥料を作り出せる大型プラントを日本国内3,000ヶ所以上に設置、生産物を飼料会社や肥料会社に販売することで収益確保を狙う。2019年春にも実証実験を開始予定。この分野には、AgriProtein、Protix、Enterra Feed などの競合がいるが、あらゆる有機物に対応可能なイエバエを採用している点で差別化している。生ゴミや畜産糞尿投入後、1週間で完了できる廃棄物処理能力と飼料生産効率の高さが強みだそうだ。TechCrunch Tokyo 2018 で優勝

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【2位】Payme

給与の即日払サービス「PayMe」は、次の給与日が来るまでに生活費が不足したとき、以前なら身近な人や金融会社から借金するしか方法が無かったものを、給与を即日払できるようにしたマイクロファイナンスだ。Payme と契約した事業者は、従業員に給与の即日払機能を提供することができる。2017年7月のローンチから半年で100事業者と契約、現在ではその事業者数も250を超え、合計従業員数で6万人が利用できるようになった。流通金額は10億円以上だ。

給与受取に関わる自由度が増すことで、特に飲食業や小売業などで求人や従業員定着率向上への寄与が見られるという。CEO の後藤道輝氏は、もうやんカレーで導入されたことが報じられたところ、ゴーゴーカレーも導入してくれたと話し、会場の笑いを誘っていた。昨年10月には銀行口座を持っていなくても、セブンイレブンの ATM で即日給与引出ができるサービスを開始。今春には ミレニアルをターゲットとした Payme カードを発行し、各種福利厚生サービスを提供していくという。

これまでにエンジェルラウンドで5,200万円、プレシリーズAラウンドで4.5億円を調達。2018年の日経 FinTech が主催したピッチコンペティションで優勝している。

【3位】STUDIO

Web 制作の現場においてはデザイナーと開発の工程が完全に分離されており、それぞれの工程に使われるツールも分かれている。STUDIO はボックスのドラッグ・アンド・ドロップのみで Web デザインが作成でき、そのままコーディングなされる Web サイト作成ツールだ。テンプレートベースのサイトビルダーではないためデザインが画一的にならず、カスタムデザインにもコーディングの知識を必要としない。

昨年4月に正式リリースされ4万人が利用。ProductHunt で世界1位を獲得したことから、海外ユーザ割合が40%、海外82カ国から利用があり、過去1年間で STUDIO を使って制作された Web サイトは2,000を超えた。今後は動的コンテンツも取り扱えるよう拡張し、外部サービスと API 接続できるようにする予定。最終的には Form、CMS、CRM、Analytics、eCommerce などの機能包括を目指す。

同社は2017年10月、シードラウンドで D4V、大和企業投資、2名のエンジェル投資家から5,000万円を調達している。

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【4位】AERONEXT

AERONEXT は、次世代ドローン技術を開発するスタートアップだ。独自技術「4D Gravity」を使って、これまでに360°VR撮影用の「Next VR」、宅配専用の「Next DELIVERY」、インフラ点検や検査測量、警備、農業等に対応した「Next INDUSTRY」といった、ユースケースに最適化されたドローンを発表している。

ソフトウェアではなくハードウェア的なアプローチ、ドローンの機体を改善することで、飛行時の軸がぶれないなど安定性や高速飛行などの点で圧倒的な技術的優位性を獲得した。ユースケースのそれぞれの業界大手とジョイントベンチャーを作ることでスケールを図る。現在、マルチコプター技術を駆使した固定翼垂直離着陸機「Next VTOL」を開発中だ。

今年2月には、上空シェアリングサービス「sora:share」を展開するトルビズオンと提携し、Fukuoka Smart East 推進コンソーシアムで配送実証実験を行うことや、農業機械メーカーの小橋工業と提携し量産化を進めることを明らかにしている。中国進出に向け、今年6月には深圳市内に現地法人を開設予定。

B Dash Camp Fall 2018 in 福岡の Pitch Arena で優勝Infinity Ventures Summit 2018 Winter in 金沢の LaunchPad で優勝。昨年5月に、Drone Fund から資金調達したことが明らかになっている。

【5位】ノバルス

ノバルスは、電池出力コントロールや電池電圧・電流モニタリングを可能にする乾電池活用 IoT 電池ソリューション「MaBeee」を開発。MaBeee は乾電池の形状をした IoT デバイスで、ユーザは乾電池で稼働する製品に MaBeee を装着することで、スマートフォンから BLE(Bluetooth Low Energy)経由での操作が可能になる。

同社 CMO の山中享氏は、無線電力伝送が普及すれば、電池は残り容量が少なくなると、自動的に充電するような動作をさせることも可能になると語る。特に今年は見守り用途への応用にフォーカスしていて、例えば、MaBeee をテレビのリモコンに入れ、遠隔地に住む高齢の両親が、いつもと変わらない日常を送っているかどうかを知ることができる、などのユースケースを多く提案していきたい考えだ。

2020年には、電力線通信に対応した汎用モジュールをリリース予定。このモジュールを使うことで、IoT デバイスを開発する企業は通信機能部を自己開発する必要がなく、新たに技適マークを取得する必要もないため、開発プロセスの短縮とコストの圧縮につながる(従来の5分の1)。

Plug and Play Japan Batch 1 に採択され、Monozukuri Hardware Cup 2019Tech in Asia Tokyo 2018のピッチセッション「Arena」でファイナリストに選ばれている。2016年9月にニッセイ・キャピタルとみずほキャピタルから1.2億円を調達。、2017年9月にニッセイ・キャピタルから1億円を調達している。

edoga

edoga 創業者の米本大河氏は、かつてインドネシアで石炭取引のマーケットプレイスを展開、事業は順調に推移していたものの資本政策を誤り無一文となった。その時の経験を胸に、本番で失敗しないために、ビジネスパーソンに対して VR を使ったリハーサル環境「0回目の本番」が提供できるとした。

プレゼンターのアイトラッキング(観客への目配せ)、モーションキャプチャ(ダイナミズム)、声調(安定感)を計測することができ、プレゼンテーションの出来不出来を定量的かつ客観的に評価できる。プレゼンテーション会場の様子も再現できるので、本番で上がる心配を軽減できる。ライブの再現、記者会見や株主総会対応のリハーサルなどに応用できるという。

現在、ディレクターやデザイナーを募集している。Tokyo XR Startups 第4期から輩出。2018年7月、Tokyo XR Startups、ブレイクポイント、トレノケート、Psychic VR Lab から1,500万円を資金調達している。

atta(あった、旧称:WithTravel)

旅は好きだが、旅の手配が面倒、もっと安く賢く旅したいと思う人に、ビッグデータと AI で旅を代わりに探して提案する。Skyscanner で北アジア市場のマネジメントを務めた春山佳久氏が2018年3月に創業。TANTEKI の支援によって、より直感的に覚えやすい名前「atta(あった)」にリブランドした。

4,400空港のフライト情報、55万件のホテルや民泊情報、旅のきっかけとなる季節イベントやコンサートの情報など、毎日1億3,000万のデータポイントからデータを収集。一方、旅行者側からはホテルや宿を選ぶ基準や癖、旅の条件、いつ頃どの程度の費用で旅に出ようとしているかを学習する。今年4月から旅のオススメ機能、今夏に待つだけの旅予約サービスを開始予定。

同社は2018年6月にシードラウンドで B Dash Ventures から約6,000万円、今年3月にシリーズ A ラウンドでグローバル・ブレインから約2億円を資金調達している。

Ginco

ブロックチェーンスタートアップ Ginco CEO の森川夢佑斗氏は、ブロックチェーンがまだ世の中に恩恵をもたらしきれていないのは、事業者にとってはインフラが未整備であること、生活者(消費者)にとってはインターフェイスが未整備であることが理由であると説明。この問題を解決するために、Ginco はインフラとして BaaS の Ginco Nodes を、インターフェイスとしてウォレットアプリの Ginco Wallet を提供しているとした。

Ginco Nodes を使うことで、事業者はサービスをスクラッチ開発した場合に比べ、運用コストを3分の1、開発期間を4分の1にまで短縮できるという。現在15社がテスト導入中だ。昨年4月にローンチした Ginco Wallet は、昨年4月のローンチ以来、ダウンロード数5万件以上、80億円以上相当の金額が流通しているという。森川氏は、現在の GAFA が未来を作ることに挑んだインフラとインターフェイスの事業者だったことを踏まえ、GINCO が将来、ブロックチェーン分野の GAFA 的存在になれる可能性を示唆した。

同社は昨年1月、シードラウンドでグローバル・ブレインから1.5億円を調達している。

Laboratik

Laboratik は、社内チャットツールをモニタし、自然言語処理技術によりチームワークを見える化するツール「We.(ウィー)」を開発している(以前のバージョンは、「A;(エー)」の名前で知られていた)。働くことにまつわる負の要素を解決するため、組織や人材のデータを分析するピープルアナリティクスにフォーカス。独自スコアリングにより、チームのエンゲージメント状況を把握したり、社員毎にレポート観測したりできる環境を提供する。

強みとなるのは、これまでに蓄積された約1,500万件分のコミュニケーションデータ。このデータを精緻なインサイトを導き出すことができる We. は現在、15社に導入されている。組織マネコメントコンサルティングの識学とは、同社の理論に基づいたビジネスチャット向けのアナリティクスを開発中だ。We. は現在では Slack とのみ接続できるが、今後、Microsoft Teams や Facebook Workplace との接続も計画している。ピープルアナリティクスの第一人者である Ben Waber 氏が今春アドバイザーに就任予定。

昨年4月に、Archetype Ventures、みずほキャピタル、エルテスキャピタル、Zeroth AI、その他個人からシードラウンドで8,000万円を調達している。B Dash Camp 2017 Summer in 札幌「Arena」ファイナリスト、IVS 2017 Fall in 金沢 LaunchPad ファイナリスト、Plug and Play Japan アクセラレータプログラム第0期デモデイで Global Startup Award 受賞。

Super Duper

Super Duper は、昨年末に開催されたソニー・ミュージックエンタテインメントのアクセラレータ「ENTX」で HeY というサービスを紹介していたが、今回紹介された Satisfood はこれをエンハンスしたもののようだ。チャット型 AI レストランメニューと位置づけ、モバイルアプリが外国人に飲食店でおすすめメニューを提案する UX を提供する。

飲食店では外国人向けに翻訳されたメニューを用意しているが、食べ物に対するベースとなる知識が日本人とは異なるため、どの料理を食べていいかわからない。例えば、本来コハダが有名な寿司屋なのに、外国人の客はサーモンばかり食べて帰ってしまう、ということが起きるという。言語障壁の解決だけでは難しい食の課題を、対話のやりとりによる発見から美味体験へと繋げ、ユーザを満足に導く。

2018年6月から(HeY の頃からと思われる)サービスを開始し、現在202店舗で導入済。メニューの提案、特定の食べ物と飲み物の食べ合わせ提案などの需要は万国共通との信念から、ベトナムでの実証実験を実施済で、今夏にはアメリカでの実証実験を計画している。

クラウドリアルティ

クラウドリアルティ が解決しようとしているのは、日本の不動産市場におけるロングテールで、全ての個人がアクセスできる普遍的な市場を作ることだ。資金調達コストの高さや、従来からの硬直的な審査や評価基準のために、適切な資金調達や供給手段を提供することを目指す。

クラウドリアルティ CEO の鬼頭武嗣氏は、同社が取り組んでいる事柄をプロジェクト、プラットフォーム、プロトコルの3つのレイヤーに分解して説明。プロジェクトでは不動産クラウドファンディングにより、起案者と出資者の間の溝を埋める、プラットフォームでは、法規制をハックしながらデジタル版の投資銀行機能(低コストの証券化スキーム)の構築、プロトコルでは客観的な審査や評価によらない、当事者同士の合意で済むという秩序の醸成に注力しているという。

クラウドリアルティは2014年12月の設立。MUFG DIGITAL アクセラレータの第2期デモデイで優勝。2015年11月にグローバル・ブレインからシード資金を(数千万円程度とみられる)、2016年12月に SBI FinTech ファンドから2,000万円を、2017年11月から12月にかけて発表したシリーズ A ラウンドでは5.8億円を調達している。

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