GBの年次イベントで、7社がピッチバトルに登壇——個人向け社債代替サービスの「Funds」、XRサービス提供のSynamon、ライバーが入賞

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本稿は、Global Brain Alliance Forum 2019 の取材の一部。

グローバル・ブレインは6日、都内で年次イベント「Global Brain Alliance Forum 2019」を開催している。この中で開催された「Pitch Battle」ではスタートアップ7社がピッチで凌ぎを削った。

Pitch Battle で審査員を務めたのは次の方々。

  • 有安伸宏氏(起業家・エンジェル投資家)
  • 千葉功太郎氏(個人投資家、Drone Fund 代表パートナー)
  • 佐藤裕介氏(ヘイ 代表取締役社長)
  • 杉山全功氏(日活 社外取締役)
  • 中川綾太郎氏(newn CEO)

【審査員賞】Funds by Crowdport

社債は、企業にとって株式による資金調達よりもコストが安く使途についても柔軟であり、個人投資家にとっては株式相場に左右されず元本割れリスクが少ないなどのメリットがある。しかし、アメリカなどの企業と比べ、日本企業が社債を活用できている事例は著しく低い。これは、日本では上場企業の中でも投資適格の各付けを持つ企業が1割に満たない中、証券会社が投資適格も各付けを持たない企業の社債取扱について限定的であるなどの理由による。

クラウドポートFunds は、個人向け社債を代替するサービスだ。社債ではないが、社債に近い機能を提供でき、資産形成したい個人と資金調達したい企業をマッチングする。 株式市場と債券市場の間に空いているニッチエリアを攻めることで、株式ほどはリスクを取りたくないが、債券よりは高リターンを好む投資家に3%前後の固定利回りを提供する。これまでに約1.5万名が Funds で投資しており、2026年までに運用残高1兆円の達成を目指す。

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【GBAF 賞】Neutrans Biz by Synamon

Synamon が提供する VR サービス「Neutrans Biz」は、ビジネスに特化して VR でしかできないコミュニケーション環境を提供する。具体的には、なかなか会えない人に会える機会を作ったり、過去の空間を再現したりできるメリットがあるという。

KDDI ∞ Labo 第12期から輩出。KDDI Open Innovation Fund 3号(KDDI とグローバル・ブレインが運営)と三井不動産の 31 Ventures のファンドから出資を受けている。今年3月には、KDDI らからシリーズ A ラウンドで2.4億円を調達した。

KDDI や Roland Belger のほか、不動産会社とのアバターを使ったバーチャルオフィスの開発、鉄道会社との顧客向けサービス開発、メーカーとの次世代ロボットの開発などで協業している。

【オーディエンス賞】Live-R by LiveStreamers

無料動画の視聴が可処分時間の消費の多くを占めるようになる中、若年層においてはその傾向が顕著だ。アーカイブ動画のプラットフォームにおいては YouTube が独占している中、配信および視聴の両方でエンゲージメントが高いライブ動画においてはプラットフォームは複数に分散している。

ライバーでは50社以上のライブ動画プラットフォームと提携、また、その中の筆頭とも言えるツイキャスでは上位10人が同社契約のライバーによって独占されているという。今年5月、グローバル・ブレインや KDDI などから3億円を調達している

Autify by Autify

グローバルでもテスト工程に要するコストは年間120兆円、実に全体工数の73%が人に依存している。開発サイクルが高速化する中で、71%のチームが週一回以上でリリースを図りたいとしている。92%がアジャイル開発を実施しているが、週一回以上でリリースすることを妨げているのはテスト工程だ。

Autify は、AI を用いたソフトウェアテスト自動化プラットフォーム「Autify」を開発・提供。コーディングの必要がなく、Web アプリケーションの検証作業を自動化できるため、非エンジニアでも手軽にテストを実施できる。テスト工程の自動化により、開発サイクルの高速化と品質保証の担保に同時に対応できるようにする。

利益を生み出している B2B ビジネスに特化したアクセラレータ「Alchemist Accelerator」に日本人起業家として初めて採択。今年10月には、シードラウンドで複数の VC や個人投資家から250万米ドルを調達した。10月の正式ローンチから2ヶ月で MRR 400万円を達成、2026年までに ARR 100億円を目指している。

Findy 転職 / Findy Freelance by Findy

Findy では、登録したエンジニアが連携した GitHub アカウントを解析することで、エンジニアの転職や案件探しの最適化を図るプラットフォーム。日本国内在住のエンジニア約15万人の公開レポジトリを AI 解析し、「開発言語別の偏差値化」を実現。この情報をもとに、正社員向けの転職支援サービス「Findy 転職」とフリーランス・副業エンジニアと企業をマッチングする「Findy Freelance」を提供している。

最近のトレンドとして、SI-er など製造業や小売業など非 IT 産業の大手企業も自らエンジニア採用するようになっており、これがFindy を使う企業の追い風となっている。エンジニアによるエンジニア向けのイベントによってユーザの獲得に成功しており、サービス開始から2年間でハイスキルエンジニアを中心に約2万人が登録している。日本のエンジニア人口が80〜100万人、ハイスキルエンジニアに限れば10万人とされる中、高いシェアを獲得しているという。今年6月、グローバル・ブレインから2億円を調達している。

AI コンサルティングサービス by Ridge-i

Ridge-i は、AI コンサルティングサービスを提供。先端技術においては、技術者がオタク化、事業開発担当者がバズワードに走りがちな中で、Ridge-i はその両者間のギャップを埋めることに注力している。企業が AI を現業のどの部分に適用すればいいかわからないとする悩みを、どの AI 技術がどういった部分に得意かの説明を含め、技術の正しい共通理解や醸成から実際の導入までを一気通貫で提供する。

ユースケースとして、NHK で放送された白黒映像をカラー化する AI 技術、船橋市のゴミ焼却処理施設で使われている AI技術(ゴミの質を認識し、運転員が監視せずに済む完全自動運転が占める率を高める)、JAXA 解析依頼された衛星写真から土砂災害のあった地点を検出する AI 技術などを紹介。

今年4月、INCJ、荏原製作所、リコー、グローバル・ブレインなどから総額7.5億円を調達している。

GenKan by KOSKA

KOSKA(コスカ)は製造業向け原価管理自動化サービス「GenKan(ゲンカン)」を開発・提供。製造企業のマシンやラインにカメラ、加速センサー、重量センサーなどを取り付け、そこから得られるデータを元に製造原価の可視化を行う。

国内30〜40社が導入しており、うち5〜6社が正式採用しているとのこと。今年1月には、500 Startups Japanから3,000万円を資金調達している。

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