ケニア拠点のアグリテック、金融から生産支援まで支援する「Apollo Agriculture」

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Apollo Agriculture

ピックアップ:Out in the field with the farmers

ニュースサマリー:ケニア発AgriTechスタートアップ「Apollo Agriculture」は5月19日、シリーズAにて4000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはAnthemis Exponential Venturesが参加した。また、 既存投資家のAccion Venture LabやNewid Capitalなども同ラウンドに参加している。

重要なポイント:2016年に設立したApollo Agricultureは、ケニアの小規模農家を対象に、機械学習や衛星画像、リモートセンシングなどを活用した統合的な農業支援サービスを提供する。ナイロビに拠点を置き100人以上を雇用、4000万以上の農家にサービスを提供している。

詳細:Apollo Agricultureの特徴は大きく分けて2つある。1点目は様々なテクノロジー駆使して農業におけるサービスアップデートを図っている点。

  • 現地で普及しているモバイル決済「M-PESA」のほか機械学習、衛星データ、リモートセンシングなどの技術を活用した独自のアプリ・プラットフォームを提供。
  • 機械学習による独自の与信判断やリモートセンシングによる農場の査定により、これまで融資を受けることのできなかった小規模農家でも融資を受けることが可能に。
  • 農家からの返済は状況に応じた柔軟な返済条件のもと、収穫後にM-PESAのモバイル決済を使用して行われる。

2点目は、小規模農家の収益最大化にフォーカスした生産席向上の統合的支援を実施している。

  • 融資だけを行うのではなく保険や農具、音声ガイダンスなど、農家の収益最大化を目的として、そのために必要な全てをパッケージ化して提供。
  • サービスのサポートや問題点の聞き取りを行うために実際に農家を訪問することを主な業務とする多数のスタッフやコールセンターを設置。テクノロジー主導のサービスを提供する一方で、顧客との直接的な対話も重視ししている。

背景:ケニアの小規模農家では生産性を今よりも上げるために何をするべきか、そのために必要な事が何であるかといった事が分かっていないケースが多い。

アフリカでは現在でも農業の生産性が非常に低いが、適切な生産性向上を図れば現在よりも2~3倍の穀物を収穫出来る可能性があるとされる。創業者の1人Pollak氏は、スタンフォード大学で工学を学んだ後、大規模農家の生産性向上に取り組む仕事をしていた際に、アフリカにおける農業生産性の低さに衝撃を受け、Apolloの創業を決意した。

執筆:椛澤かおり/編集:増渕大志

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