中国は「AIパトロール」で違法駐輪をなくす

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実際の写真(左)とセグメンテーション検出結果(右) Credit : SenseTime

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ニュースサマリ:中国で顔認識技術を手掛けるSenseTime(商湯)は6月、同社の提供するスマートシティOS「SenseTime Foundry」により、中国の都市AIパトロールが始まっていることを公表している。

重要なポイント:中国で都市問題となっている路上での自転車の違法駐輪・家庭ごみ・人混みの検出において、SenseTimeの画像認識技術を用いたAIによるインテリジェントパトロールが貢献している。正しい位置に駐輪されているか、路上にごみがあるか、混雑しているか等もカメラと同社が強みにする画像認識により検出し市の管理者に警告する仕組みが推進され、都市問題の早期解決及び都市管理のコスト削減に繋がっている。

詳細:都市におけるごみの識別は、従来の認識対象(顔、乗り物等)に比べ、境界線や定義が曖昧かつカテゴリ等も非常に多く、技術的に高い課題を抱えていた。SenseTimeのComputer Vision分析プラットフォームであるSenseFoundryは、一般的な家庭ごみの検出精度が向上しており、誤認識における手作業も減らすなど効率化に貢献している。

  • 上海市長寧区の江蘇路では、620台のカメラとComputer Visionにより、違法駐輪等の自動検出後の報告及び対応、課題の事後検証と対応完了までSenseTime Foundryで実施し大幅なコスト削減に貢献している。
  • 10万の道路におけるデータソース、1,000億レベルの非構造化の特徴と構造化された情報を融合的に処理し、都市における多様なシーンを検出・分析することができる。
  • SenseTime Foundryの5つの特徴として「all-city, all-weather, all-intelligence, all-open, and meta-security」を掲げている。
  • SenseTimeは今後もスマートシティ運用システムを統合していき、人間集約型から人間とコンピュータの相互作用型へ、そして経験判断からデータ分析へと、スマートシティ変革を推進するとしている。

背景:2017年に中国政府は「次世代AI発展計画」を発布し、国家プロジェクトとして代表的なAI技術を抱える5社、Baidu・Alibaba・Tencent・iFlytek・SenseTimeを指名し、補助金や許認可等の手厚い支援を行っている。顔認識技術を始めとするComputer Visionの領域でSenseTimeは顔認識技術だけでなく、スマートシティの推進において一役を担っている。

執筆:國本知里/編集:平野武士・岩切絹代

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