Boston Dynamicsとロボット近未来:「バク宙」できるAtlas(アトラス)は未来のロボット(3/4)

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Image Credit: Boston Dynamics

※編集部注:本稿はVentureBeat編集部によるBoston Dynamicsトップ・インタビューのつづき(前回はこちらから

Atlas(アトラス)はやはり未来のロボット

やはり最も話題になったロボットはBoston DynamicsのAtlasだろう。彼らはアイデアを試すという役割を果たしている。ここで何かの技術が実証されると、既存のロボットに搭載されたり、全く別のロボットに生まれ変わったりする。

Atlasは2本の足を持つ人型ロボットで、一方のHandleには車輪があり、この上半身の動きとバランスを取る技術はAtlasが開発した機能を反映させたものになる。このチームは、Atlasのすべての油圧装置のために、独自のバルブと高性能制御システムも開発している。このノウハウは現在市販されているものの性能を上回る、新たなHandle用の空気圧式グリッパーの開発に使われたりしている。

一方、Playter氏はこのAtlas「そのもの」の商業化について現状をこう語る。

「Atlasまだ商業化を想定していません。ソフトウェアとハードウェアの設計の両方において、最先端の技術を進歩させる意欲的なロボットであり続けています。なのでAtlasはまだ数台しかないのです。研究開発のモチベーションを高めるためにこのロボットを使っており、人々は明らかにヒューマノイドに注目していますから、それが面白さにつながっているのだと思います。Atlasは複雑なロボットですし、従来の技術にはない、あらゆる自由度に対応する技術を開発しなければなりません」(Playter氏)。

Atlasのチームは最近、ビヘイビアソフトウェアのオーサリングをより迅速に実施するための作業をしたらしい。これによって今まで6カ月かかっていたコーディングが、高度な最適化ツールのおかげで数日でできるようになったそうだ。

「これらのツールはすべてのマシンで利用できるようになります。なので開発のモチベーションを高めるためにAtlasを利用しています。しかしアトラスは高価で複雑すぎてすぐの商品化は無理でしょうね」(Playter氏)。

分担されたチーム

Boston Dynamicsの内部では多くのことが実施されている。では、どこに力を入れているのだろうか。Playter氏は、チームの規模という観点からこう回答している。

「Spotチームは100~110人程度。Handleチームは約7割、Atlasチームは約2割の規模でやっています。Atlasは実は小さな研究チームであり、興味深い行動やパフォーマンスを生み出すために必要なクリティカルマスのようなものです。Handleは製品の発売準備をしているので急速に成長しています。Spotと似たような軌跡をたどっていますね」(Playter氏)。

Boston Dynamicsはロボットの試作に20~30人程度の人員を必要とする。Playter氏はHandleチームが向こう2年程度でSpotチームと同じくらいの規模に 成長すると見ているようだ。その段階で「収益性を達成できるかどうかは、その製品がスケールアップできるかどうかにかかっている」とPlayter氏は言う。

「そこに大きなチャンスがあり、そのロボットの販売の成長にもつながると思います。私は、そこに到達するまでに2つの製品を成功させることができると期待しています。うまくいけば、ご質問のあった3つ目の製品を作り始めることができるでしょう」(Playter氏)。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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