環境ビジネスの世界起業家コンペティション「Climate Launchpad」、今年から日本予選も開催へ

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Image credit: Climate Launchpad

SDGs(持続可能な開発目標)に関するニュースを多く目にするようになった。おそらく、SDGs 達成の2030年までの10年間の最初の年だということは大きい。これと並行し ESG 投資(社会的責任投資)の動向にも変化が出てきている。以前は ESG 投資と言えば上場株式を中心としたものだったが、500 Startups のようにスタートアップ投資でも ESG を謳う VC が現れ始めた。先月大型調達を発表したクラウドクレジットのようにスタートアップが ESG 投資の仕組みを提供する例、GLIN のような新ファンドの誕生も記憶に新しい。

17ある SDGs の目標のうち13番目には「気候変動に具体的な対策を(Take urgent action to combat climate change and its impacts)」がある。気候変動にかかわる問題をイノベーションで解決することを促す組織は世界に多く存在するが、その中でも特に世界的に認知度を高めつつあるのが、EU の独立機関である欧州イノベーション・技術機構(EIT)の知識・イノベーション共同体(KIC)である「EIT Climate-KIC」だ。

EIT Climate-KIC は、2014年から年に一度の頻度でグローバルな環境に特化したスタートアップコンペティション「Climate Launchpad」を開催している。昨年は、56ヶ国から各国予選を勝ち抜いたファイナリスト68チームが参加していて、近年では、脱炭素技術を持つチームや、工業廃水などから油分を回収し燃料を作り出すチームなどの入賞が目立つ。日本からこれまでに入賞したチームは無いが、先日紹介した沖縄に活動拠点を置く EF POLYMER がインド選出のチームとして2019年に炭素技術賞に輝いている。

<参考文献>

Climate Launchpad のその生い立ちから、参加のエントリは例年、専らヨーロッパやアフリカ各国、インドからが例多いようだが、今年から日本事務局が立ち上がり、日本予選の開催とファイナリストの世界本選への送り出しが始まるようだ。5月14日の参加申込最終締切を前に、5月8日には Zoom を使った参加説明会が開催される。参加者条件は、起業前か起業から1年未満で、実質的な売上がなく、これまでに投資を受けた金額が20万ユーロ(約2,620万円)以下であること。募集テーマは次の通りだ。

  • Adaptation and Resilience
  • Circular Economies
  • Urban Solutions
  • Clean Energy
  • Sustainable Mobility
  • Food Systems

事務局発表のカレンダーに沿えば、参加者からのエントリを受けて、日本予選は今年6月〜8月に開催。また、世界予選は、10月下旬に EIT Climate-KIC の活動拠点があるオランダ・アムステルダムか、オンラインで開催される予定。参加者には業界専門家からのトレーニングの機会が提供されるほか、優勝者への1万ユーロ(約131万円)を筆頭に、各入賞者には賞金が提供されるほか、希望に応じて、世界のエンジェル投資家やシード VC らの紹介が行われる。

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