
Image credit: TechNode/Coco Gao
中国の配車プラットフォーム「Didi Chuxing(滴滴出行)」は10日、IPO を申請した。同社はニューヨーク証券取引所か NASDAQ のいずれかで取引する予定だ。
重要視すべき理由:Didi の時価総額は620億米ドルで、世界で最も価値の高いユニコーンの5つのうちの1つだ。同社の上場は、今年最大の IPO の一つとなる可能性がある。
- 北京を拠点とするこのスタートアップは、世界最大のモビリティプラットフォームでもあり、同社の目論見書によると、2021年3月31日までの3カ月間の月間アクティブユーザ数(MAU)は約1億5,600万人となっている。ちなみに、Uber の同時期の MAU は9,800万人だった。
詳細:Didi の IPO 申請では、新型コロナウイルス感染拡大の影響から素早く回復したことが強調されている。3月31日に終了した3ヶ月間の純利益は1億9,600万人民元(約33.6億円)で、前年同期の約40億人民元(約685億円)の純損失から改善された。
- Didi の今年の第1四半期の売上高は422億人民元(約7,230億円)で、2020年の同時期の数字と比べて倍増している。2020年の収益は1,417億人民元(約2.4兆円)で107億人民元(約1,830億円)の赤字となった。
- Didi は、IPOで得た資金の30%を国際展開の資金に充てる予定だ。提出書類によると、同社はさらに30%を電気自動車や自律走行などの技術開発に充てる意向だという。
- Didi は、運営コストを削減するために電気自動車(EV)への取り組みを強化している。昨年11月には、中国の自動車メーカー BYD(比亜迪)と共同で初のEV「D1」を発表した。また、先月には GAC(広州汽車集団)と提携し、自動運転車の開発を進めている。
- Didi は資金調達額を明らかにしていないが、申請書にはプレイスホルダー金額として1億米ドルを記載している。
背景:Didi は、今後3年間の急速な拡大計画の一環として、海外市場への進出と新しいバーティカル分野への積極的な参入を進めている。
- 中国のモビリティ大手 Didi は、ロシアでのデビューから3ヵ月後の11月に、ニュージーランドのオークランドで配車サービスを開始した。また、西ヨーロッパにも目を向けており、イギリス、フランス、ドイツへの参入を目指していると報じられている。
- 中国国内では、Didi は、食料品配達や物流用ミニバンサービスに進出し、事業の多角化を進めている。1月には、ミニバンサービスのために15億米ドルの資金調達を行ったと報じられている。早ければ来年にも、食料品配送サービスを別の上場企業としてスピンオフさせる予定だ。
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