HoloAshが事実上のピボット、クロマキーアプリ「weCall」でクリエイター同士のコラボ動画需要に照準

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「weCall」
Image credit: HoloAsh

2018年にはADHD(注意欠陥・多動性障害)に悩む人々の症状の緩和を試みる認知科学に基づいたホログラフィックインターフェイス「Holoash」、2021年には世界の10代マイノリティに向けたコミュニティアプリ「weBelong」を発表してきた HoloAsh が先月、新たなアプリをローンチした。背景にお気に入りの映像や画像を重ね、離れたユーザ同士が映り込む形でコラボ動画を作成できる「weCall」だ。グリーンバックを使わずクロマキー合成でき、〝コンシューマ向けの mmhmm〟と紹介もできるだろう。

Holoash も、weBelong も、コンセプトに対する市場評価は悪くなかったが、ビジネスとして利益を上げるには少しパイが小さ過ぎたようだ。weBelong のユーザの伸び悩みを前に、HoloAsh 代表取締役の岸慶紀(Yoshua Kishi)氏は、昨夏あたりから事業の新しい方向性を模索し始め、weCall に行き着いたという。weBelong のユーザに多かった若いマイノリティ(特に LGBTQ の人が多かった)には遠距離の友人関係が多く、彼らがそうした関係を維持するための手段を探していたことがきっかけだ。

Holoash 岸慶紀氏
Image credit: Masaru Ikeda

離れていながらも、友達を大切にする時間を大事にしたい、という声はよく聞いた。でも、思い出をシェアするためのツールとしては、Google Photos のような写真共有ツールしか思いつかなかった。

「Call」という名前に込めたように、weCall はユーザが相手をコールして、そのやりとりを面白おかしく動画に記録できるようにしたのが最初のコンセプト。当初は「遠距離デーティングのためのアプリ」と呼んでいたが、開発しているうちに動画クリエイターに向いていることがわかった。(岸氏)

「weCall」
Image credit: HoloAsh

weCall は現在 iOS のみで提供されているが、スマートフォンだけで手軽にクロマキー合成したコラボ動画を、離れたユーザ同士で作成できるのは面白い体験だ。撮影のために同じ場所で会う必要がないので、一人で YouTuber や TikToker する自信がない人でも、誰かの助けを乞いやすい。大阪人的発想で言えば、漫才やコントにも使えそうだ。岸氏は実際、インクルージョンジャパン取締役の吉沢康弘氏と実施したコラボ動画を TikTok に公開している

HoloAsh は昨年、weCall の開発着手に先立ち、Chatwork CEO の山本正喜氏、元 Discord CMO の Eros Resmini 氏をはじめ、日米の複数の個人投資家から資金調達したことを明らかにした。調達ラウンドや調達金額は開示されていない。今回の調達は HoloAsh にとって、2018年に実施したエンジェルラウンド、2021年に実施したプレシードラウンドに続くものだ。

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