技術者不足に苦しむプラスチック成形業界を、デジタルの力でディスラプトする台湾Moldintel(智穎智能)

August Ting(丁郁宏)氏、John Chang 氏(張詠翔)氏、YW Chen(陳毓維)氏
Image credit: Moldintel(智穎智能)

Grand View Research によると、2021年に590億米ドルと評価された世界のプラスチック市場は、年平均成長率(CAGR)3.7%で810億米ドル相当の規模に達すると推定されている。

2020年に設立された Moldintel(智穎智能)は、プラスチック射出成形(プラスチック樹脂を加熱溶融し、金型に射出することで成形品を形作る成形法)業界向けにエンジニアリングデータソリューションを提供している。彼らは成形データソリューションを用いて成形の生産性を急上昇させ、誰よりもプラスチック業界をディスラプトしている。

スマート射出成形ソリューション

Moldintel は、プラスチック業界をデジタル時代に突入させるクラウドベースの製造サービスを提供する。
Image credit: Moldintel(智穎智能)

プラスチックは、建築製品のシーリング材から医療機器のインスリンペンに至るまで、私たちが毎日使う製品に使われている。プラスチックの市場規模が持続的に拡大しているにもかかわらず、プラスチック産業は昔ながらの伝統的な方法で運営されている。製造機械を操作するには、手作業による設定と長年の経験が必要で、将来の技術者不足を招いている。人材不足の結果、歩留まりが悪くなる。悪循環が続いているのだ。

プラスチック製造業界では、デジタルトランスフォーメーション(DX)が急務であり、そこで Moldintel がその役割を担っている。Moldintel が提供するクラウドベースの製造サービスは、クロスプラットフォームの活用、他の管理システムとの柔軟なデータ交換、データセキュリティのためのハイブリッドクラウドを特徴としている。

スマート射出成形技術では、現場の担当者がデータの計算に従ってパラメータ設定を調整することができる。Moldintel のテストによると、スマート射出成形技術は、4回動かすだけで完璧な金型を完成させ、不良損失のコストを50%から80%削減することができる。アルゴリズムに接続すれば、機械システムは手動で管理することなく、スマートに動作することができる。さらに、システムは生産中のノウハウを蓄積し、スマートな判断でユーザの競争力を高めることができる。

その結果、ERP に搭載されたシステムでは、工場で3年間のエンジニアリング経験を持つスーパーバイザーと比較して、試行時間を最大50%、頻度を最大60%削減することができる。

30年にわたりプラスチック研究に携わってきたメンバーも

プラスチック関連の研究と産業で長年の経験を持ち、チーム自体がプラスチックのノウハウの達人である。
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Moldintel は古株が運営している。Moldintel の顧問である SC Chen 氏は、中原基督教大学機械工学科の教授で、プラスチックの分野で30年以上の経験がある。彼の教え子は、Compal Electronics(仁宝電腦工業)や Pegatron(和碩連合科技)など、主にプラスチック産業に携わっている。Moldintel の共同設立者である John Chang 氏(張詠翔)氏、YW Chen(陳毓維)氏、August Ting(丁郁宏)氏の3人は、いずれも SC Chen 教授の博士課程の学生で、Chang 氏は200番目の学生である。このネットワークは、Moldintelに コラボレーションと拡大のための豊富な機会を提供している。

プラスチック関連の研究と産業で長年の経験を積んだチーム自体が、プラスチックに関するノウハウの達人であり、すべての人のためのスマートシステムを構築している。射出成形のノウハウと AI を組み込んだ Moldintel システムは、あらゆるブランド、あらゆるタイプの射出成形機、あらゆる材料に対応する。チームはマスターデータベースを構築し、混合材料のインデックスを検出して記録し、それに応じてマシンの動作について提案を与えることができる。また、システムは機械の条件や性能を考慮して、セッティングを調整する。

パンを作るようなものだ。適切なレシピが必要なだけだ。(Chang 氏)

ちょうどいいシステムがあれば、工場は金型を射出する効率を高め、労働力を大幅に削減することができる。一方、AI は製造過程で学習し続け、実践的な知識を蓄積していく。その結果、工場は機械を長期的に使用することで、より多くの利益を得ることができるのだ。

Image credit: Moldintel(智穎智能)

しかも、人間の頭脳に代わって、工場内だけでデータを保存するシステムだ。(Chang 氏)

業界内の人材不足を考慮し、Moldintel は機械設定と技能継承に大いに役立つマスターシステムを考え出す。AIが学習したデータはエンジンルームにとどまり、企業の競争力を鍬入れする。

パンデミックの中で設立された Moldintel は、業界全体の変革を目指す

Moldinel は、東南アジアでも試行錯誤を続けている。
Image credit: Moldintel(智穎智能)

業界が悲惨に思えれば思えるほど、その変革は急務だ。(Chang 氏)

プラスチック市場は成長している、逆に今、業界は頭脳流出に苦しんでいる、重労働の仕事を引き受け、何年もかけて技術を習得しようとする人が少なくなってきている。Moldintel のソリューションは、この業界の DX を支援する。

Moldintel にとって市場の需要は非常に大きい。射出成形機の大手メーカーをチャネルパートナーとして、協業している。射出成形機を購入した後でもサービスを利用できるように、産業用 PC にソリューションを組み込んでいる。

Moldintel は東南アジアでも試行錯誤を続けている。研究段階では、インドネシア工業省が第4次産業革命の仕様と計画を求めていることから、同省と密接な関係を築いている。また、Moldintel はベトナムに支社を持つチャネルパートナーも持っている。

パンデミックの中、Moldintel はプラスチック産業に変化をもたらし、スマートなソリューションでビジネスを変革するために立ち上げられた。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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