家主と借り手がインスタで互いを知り不安を解消、Tinderのような短期賃貸マッチング「Kiki」が全米進出

Instagram で家主と借主をマッチングするサービス「Kiki」を通じて、2022年から2023年5月までに約5,000人が家を貸すことに成功し、家主らの総額約350万米ドルの家賃節約に貢献した。
Image credit: Kiki

出張、帰省、海外旅行など、家を借りている人は家を留守にすることがあっても家賃を支払わなければならない。短期間でも部屋を必要とする人に部屋を貸そうと思ったことはないだろうか。しかし、見ず知らずの人に気兼ねなく部屋を使わせる方法は、なかなか乗り越えるのが難しい精神的ハードルだ。

ニュージーランドのスタートアップ Kiki(旧 EasyRent)は、ソーシャルネットワークのモデルでこれを解決しようとしている。出会い系のようなインターフェイスで両者をマッチングさせ、両者の Instagram を連絡手段とすることで、適切な家主や借り主を見つけ、不正な人物を排除することを期待している。

高い家賃から起業を思いつく

Kiki は Airbnb とは異なり、人々が家賃を払う際に失うお金を節約する手助けをすることを目的としています。(創業者の Thomas Smith 氏)

Smith 氏は2018年、1ヶ月から6ヶ月までの短期賃貸を設定できるオンライン賃貸プラットフォーム Kiki を設立し、学生コミュニティが休暇中に短期賃貸を必要とする他のインターンや駐在員に部屋を貸し出すことを可能にした。

ニュージーランドに留学していた Smith 氏は、友人たちが高い家賃に苦しんでいることを知り、慎重に計算した結果、学期休暇中も家賃を支払う必要があり、家賃に3,000米ドル近くをムダにしていることがわかった。一方では、インターンシップなどの理由で1年未満で契約できるフラットが必要な人がいるにもかかわらず、それに適当な短期賃貸が見つからなかった。

Smith 氏は、双方にニーズがある問題は互いに補完し合うことができると考えている。以前 Airbnb を利用した経験から、Smith 氏は Airbnb の閑散期が、家を短期間だけ借りる必要のある学生の需要の時期とほぼ一致することを発見した。また、ニュージーランドの賃貸契約法では、借主は元の家主の同意を得た上で別の人に家を転貸し、第二の家主となる権利を有するが、この場合、第二の家主は家の維持と損害賠償をする必要がある。

法律と需要を検討した結果、Smith 氏はこの問題を変えるべく、150人以上の Airbnb ホストに転貸を依頼することにした。その結果、ホストのほとんどが物件の価値を最大化するため、1年未満の短期賃貸を快諾してくれた。

Smith 氏(写真右)と、 創業2年後に参画した Jack Montgomerie 氏(左)、Alexander Nicholson 氏(中央)
Smith 氏の LinkedIn から

Instagram でマッチング、家主が滞在ルールを設定

Kiki は、家を留守にしている間、賃貸物件が空室のまま家賃で損をしたくない人たちのためにオンラインプラットフォームを提供している。短期間だけオンラインで部屋を貸し出す手助けすることで、1部屋あたり家賃の10%を料金として徴収する。

見知らぬ人に部屋を貸すことに懐疑的な人が多いのですが、私たちは出会い系アプリのように、好き嫌いや好みが似ている家主と借り手をマッチングすることで、この問題を解決することができるのです。(Smith 氏)

事実、Kiki が借り主と家主をマッチングする方法は Tinder のそれに似ており、家主は借主を選び、「あなたの趣味は何ですか?」「あなたの友人はあなたをどのように表現しますか?」といった質問をすることができる。また、入居可能な最低年齢や禁煙者など、理想の入居者の条件を設定することで、お互いに適した環境・相手を探すことができる。

マッチングが成立すると、家主と借り手はお互いの動画を見た上で契約に進むことができる。Kiki は、家主が見知らぬ人を安心して家に泊めることができ、借り手も安心して短期滞在できるようにしたいと考えている。

Kiki のマッチングプラットフォームは現在、Web サイトから Instagram に移行しており、 Kiki に参加したい借り手や家主は、最低でも一定のフォロワー数と自撮り写真の含まれる Instagram の個人アカウントを持っている必要がある。

これらのルールは主に、家主と借り手がオープンなソーシャルネットワークを通じて、お互いの生活をより深く知ることができるようにするためであり、悪意のある嫌がらせをするユーザが現れるのを防ぐためのものです。(Smith 氏)

Blackbird Ventures のリードで600万米ドルをシード調達、全米展開へ

Kiki は年々成長しており、設立から2年後には、共同設立者兼ソフトウェアエンジニアとして Jack Montgomerie 氏を、また、プラットフォームの普及と Kiki をより多くの人々に拡大するために Alexander Nicholson 氏を採用した。また、同社は2023年、600万米ドルを調達してシードラウンドをクローズした。このラウンドでは Blackbird Ventures が450万米ドルを出資しリードした。Blackbird Ventures によるシード出資としては2番目に大きな金額である。

このラウンドの後、 Kiki はアメリカに焦点を移し、ニュージーランドとオーストラリアでの事業を停止すると発表したが、現時点で事業停止についての正式な説明は無い。新たに調達した資金は、ボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコなどアメリカ上位10都市への進出を目標に、今秋ニューヨークで Kiki をサービス再開するために使われる。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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