Google Pixel 9シリーズ発表ーー割り込み会話にも対応した AI アシスタント「Gemini Live」

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発表された新 Pixel シリーズ(9 things to know about Pixel 9 cameras by Google)

Google は8月13日(日本時間の14日午前2時)に開催した「Made by Google 2024」にて新しい Pixel シリーズを発表した。このラインナップには Pixel 9、 Pixel 9 Pro 、 Pixel 9 Pro XL 、そして折り畳み型の Pixel 9 Pro Fold が含まれている。 Pixel 9 Pro と Pro XL は、それぞれ6.3インチと6.8インチの「Super Actua」ディスプレイを採用している。これらのディスプレイは120 Hz のリフレッシュレートを持ち、最大2,000ニットの輝度を誇る。

スペックに目を向けると、新しい Tensor G4 プロセッサを搭載し、16 GB の RAM 、そして128 GB 、256 GB 、512 GB 、1 TB のストレージオプションを提供している。バッテリー容量は Pixel 9 Pro が最小4,558 mAh (公称4,700 mAh )、 Pixel 9 Pro XL が最小4,942 mAh (公称5,060 mAh )となっている。急速充電にも対応しており、45 W の充電器を使用した場合、30分で0%から70%まで充電可能だという。

Pixel 9 Pro と Pixel 9 Pro XL のビデオは20倍のスーパーズーム機能がついた(9 things to know about Pixel 9 cameras by Google)

特に大幅に強化されたのがカメラシステムだ。メインカメラは50 MP 、ウルトラワイドカメラは48 MP 、そして新しく改良された48 MP の5倍望遠レンズを搭載している。フロントカメラは前モデルの10.5 MP から42 MP へと大幅にアップグレードされ、103度の視野角を持つ。

ラインナップ唯一の折りたたみモデルである Pixel 9 Pro Fold は2代目となり、内部ディスプレイは前モデルの7.6インチから8インチへと拡大された。これにより、折りたたみ式スマートフォン市場で最大級のディスプレイを持つモデルの仲間入りをした。

スマートウォッチ部門では、 Google Pixel Watch 3 が発表された。41 mm と45 mm の2サイズで展開され、前モデルよりも画面サイズが拡大している。 併せて新しい Pixel Buds Pro 2 も同時に発表された。

割り込み会話にも対応した AI アシスタント「Gemini Live」

注目はやはり AI アシスタント「Gemini」をはじめとする各種 AI 機能の数々だろう。今回発表された Gemini Live は人間らしい自然な会話が可能な音声 AI アシスタントで、従来の AI アシスタントとは異なり、ユーザの割り込みにも柔軟に対応できる。例えば、天気予報を聞いている途中でも、ユーザが質問を挟むことができ、 Gemini はそれに応じて会話の流れを変更できる。

Google の公式ブログ記事によると、 Gemini は文字、画像、音声など、多様な形式でのコミュニケーションが可能だ。また、 Google アプリや Android システムと深く統合されており、スマートフォンの様々な機能をシームレスにコントロールできる。

カメラ機能においても、 AI の活用が顕著だ。「Add Me」機能は、2枚の写真を合成して1枚のグループショットを作成できる。例えば、観光地で誰かが写真を撮る必要がある場合、この機能を使えば全員が写った写真を簡単に作成できる。「Reimagine」機能は、テキストプロンプトを使って写真の一部を変更できる。ユーザは特定の領域を選択し、そこに追加したい要素や変更点をテキストで指示するだけで、 AI が写真を変更する。

「Add Me」機能で手軽に写真合成ができる(9 things to know about Pixel 9 cameras by Google)

「Autoframe」機能は、写真の構図を自動的に最適化する。例えば、被写体が画面の端に寄っている場合、 AI が適切な位置に移動させる。「Zoom Enhance」機能は、写真をズームした際の画質を向上させる。これにより、遠くの建物や小さな文字なども、より鮮明に見ることができるようになった。これらの AI 機能は、ユーザの日常的なスマートフォン使用体験を大きく向上させる可能性がある一方、 AI による画像生成や編集が容易になることで、デジタル画像の信頼性や真正性に関する新たな課題も生まれる可能性がある。

その他の新機能と改善点

AIによる補完でより正確な天気情報を提供(14 new things you can do with Pixel thanks to AI by Google)

Pixel 9シリーズでは、日常生活をより便利にする多くの新機能が導入された。 Google 公式ブログによると、新しい Pixel Weather アプリでは、 AI を活用してより正確で詳細な天気予報を提供する。従来の数値データだけでなく、雨の開始時間や終了時間など、より具体的な情報を提供する。さらに、 Gemini Nano を使用してユーザのニーズに合わせたカスタム天気レポートを生成する機能も追加された。

Google Keep でのリスト作成支援機能も新たに追加された。ユーザは Gemini に対して、例えば「4人家族の週間食料品リスト」や「キャンプ旅行の ToDo リスト」などを作成するよう依頼できる。 AI がコンテキストを理解し、適切なリストを生成する。

スクリーンショットからの情報抽出機能も注目に値する。新しい Pixel Screenshots 機能を使用すると、過去に撮影したスクリーンショットから必要な情報を簡単に見つけ出すことができる。例えば、旅行先のドアコードを撮影したスクリーンショットを、到着時に素早く見つけ出すことができる。

通話内容の要約と保存を行う Call Notes 機能も導入された。この機能を有効にすると、通話終了後に会話の要約と全文トランスクリプトが自動的に生成される。重要な約束の時間や電話番号などを後から確認したい場合に便利だ。

Pixel Watch 3 では、睡眠検出と就寝モードの自動オン/ オフ機能が追加された。機械学習を使用して睡眠を自動検出し、就寝モードを有効にする。これにより、バッテリーを節約し、通知や常時表示ディスプレイをオフにして、睡眠を妨げないようにする。

また、高精度な心拍数トラッキングとランニングフォーム分析機能も追加された。新しい高度なモーションセンシングと機械学習を組み合わせることで、ステップのケイデンス、ストライドの長さと高さ、接地時間など、ランニングフォームの包括的な分析を提供する。

さらに、 Pixel Watch 3 には脈拍消失検出機能も搭載された。これは、心臓が突然停止した際に脈拍消失イベントを検出する機能で、緊急時に重要な役割を果たす可能性がある。

Pixel Buds Pro 2 では、新しい Tensor A1 チップにより、ノイズキャンセリング性能が前世代の2倍に向上した。環境に応じて1秒間に最大300万回の適応を行い、より効果的にノイズを遮断する。また、ハンズフリーで Gemini アシスタントを利用できるようになり、スマートフォンを取り出すことなく、様々な情報検索や操作が可能になった。

これらの新機能と改善点は、ユーザの日常生活をより便利で効率的にすることを目指している。特に、 AI と機械学習技術を活用することで、ユーザの行動や環境に応じて自動的に最適化される点が特徴的だ。

プライバシーとセキュリティへの配慮

新しい AI 機能の導入に伴い、プライバシーとセキュリティへの懸念も高まっている。しかし、 Google はこれらの問題に対して積極的に取り組んでいる。 WSJ のインタビューによると、 Google の Android 責任者 Rick Osterloh 氏は、個人データの取り扱いについて明確な方針を示している。

Osterloh 氏は、ユーザの個人データ(通話、テキストメッセージ、メール、カレンダー予定など)が Google の AI モデルのトレーニングに使用されないことを明言した。これは、ユーザのプライバシーを尊重し、個人情報の不適切な利用を防ぐための重要な方針だ。

特に注目すべきは、新しく導入された Call Notes 機能のプライバシー保護措置だ。この機能は完全にデバイス上で動作し、会話の内容がクラウドにアップロードされることはない。これにより、センシティブな会話内容が外部に漏洩するリスクを最小限に抑えている。

また、 Gemini Live などの AI 機能においても、ユーザのプライバシーを保護するための措置が講じられている。例えば、音声認識や自然言語処理の多くをデバイス上で行うことで、個人情報を含む可能性のあるデータをクラウドに送信する必要性を減らしている。

セキュリティ面では、 Pixel 9シリーズに搭載された新しい Tensor G4 チップが重要な役割を果たしている。このチップは、高度な暗号化と安全なデータ処理を可能にし、デバイスのセキュリティを強化している。

さらに、 Google は Pixel 9シリーズに対して7年間の OS アップデートとセキュリティアップデートを保証している。これにより、長期にわたってデバイスのセキュリティを維持し、最新の脅威から保護することが可能になる。

価格と発売日

Pixel 9シリーズの価格設定と発売日については Pixel 9 Pro は999ドル(日本の Google ストアでは 159,900円)から、 Pixel 9 Pro XL は1,099ドル(同177,900円)からの価格設定となっている。これらのモデルは国内も8月22日から販売が開始される予定だ。一方、折りたたみ式モデルである Pixel 9 Pro Fold は、より高価格帯に位置づけられている。価格は1,799ドル(同257,500円)からとなっており、9月4日に発売予定だ。

全モデルには Google One AI プレミアムプランの1年間無料サブスクリプション(日本国内は6カ月無料)が付属する。このプランには、 Gemini Advanced の利用権、 Gmail や Docs での Gemini 機能の利用、そして2 TB の Google クラウドストレージが含まれている。これは、ユーザが Pixel デバイスの高度な AI 機能を最大限に活用できるようにするための施策と言える。

Pixel Watch 3 の価格については、41 mm の Wi-Fi モデルが349ドル、 LTE モデルが449ドルとなっている。45 mm モデルは、 Wi-Fi が399ドル、 LTE が499ドルだ。カラーバリエーションは、マットブラック、ポリッシュドシルバー、シャンパンゴールドのアルミニウムケースが用意されている。45 mm モデルでは、ゴールドの代わりにより控えめなグリーンのマットヘーゼルアルミニウムケースが選択できる。Pixel Buds Pro 2 の価格は明らかにされていないが、前モデルと同程度か、若干高めの価格設定になると予想される。

via 9to5google、TechCrunch、Wall Street Journal、Wired

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