LG AI Research（LG AI 연구원）が、韓国初のオープンソース AI モデル「Exaone 3.0」を発表した。これにより、韓国はアメリカのテック大手、中国や中東の新興プレイヤーが支配する競争の激しいグローバル AI 市場に参入することとなった。

78億のパラメータを持つこのモデルは、韓国語と英語のタスクの両方に優れており、AI 研究を加速し、韓国における堅固な AI エコシステムの構築に貢献することを目指している。この動きは、従来は家電製品で知られていた LG にとって、AI イノベーションの最前線に位置づけられる戦略的シフトを示している。Exaone 3.0をオープンソース化することで、LG は技術力を誇示するだけでなく、クラウドコンピューティングと AI サービスにおける新たな収益源の基盤を潜在的に築いている。

中国や中東のプレーヤーとの対決

Exaone 3.0は、中国の Alibaba（阿里巴巴）による「Qwen（通義千問）」や UAE（アラブ首長国連邦）の「Falcon」など、すでに混雑しているオープンソース AI モデルの分野に参入する。6月に大幅なアップデートを受けた Qwen は、9万社以上の企業クライアントを獲得し、Hugging Face などのプラットフォームでパフォーマンスランキングのトップに立ち、Meta の「Llama 3.1」や Microsoft の「Phi-3」を上回っている。

同様に、UAE の Technology Innovation Institute は5月に110億パラメータモデルの「Falcon 2」をリリースし、いくつかのベンチマークで Meta の Llama 3 を上回るパフォーマンスを示したと主張している。これらの動向は、AI における世界的な競争の激化を示しており、アメリカ以外の国々が大きな進展を遂げていることを強調している。アジアや中東からのこれらのモデルの出現は、AI 分野における西洋の優位性という概念に挑戦する、AI 業界の変化を浮き彫りにしている。

オープンソース戦略で、クラウドコンピューティングと AI イノベーションを推進

LG のアプローチは、オープンソース AI をクラウドビジネスの成長と商業化の加速に利用している Alibaba のような中国企業のアプローチを反映している。この戦略は二重の目的を果たしている。コミュニティの貢献を通じて AI モデルを迅速に改良し改善することを可能にする一方で、クラウドサービスの潜在的な顧客基盤を創出することもできる。強力なオープンソースモデルを提供することで、LG はデベロッパーや企業をプラットフォーム上でアプリケーションを構築するよう引き付け、より広範な AI およびクラウドインフラの採用を促進する可能性がある。

Exaone 3.0は効率性が向上しており、LG は前モデルと比較して推論時間が56％短縮、メモリ使用量が35％減少、運用コストが72％削減されたと主張している。これらの改善は、効率性が企業のコスト削減や消費者のユーザ体験の向上に直接つながる競争の激しい AI 業界において重要である。このモデルは、特許、コード、数学、化学に関連する6,000万件のプロフェッショナルデータで訓練されており、年末までに様々な分野で1億件に拡大する計画があり、LG が多用途で堅牢な AI システムを作成することへのコミットメントを示している。

韓国の世界市場への参戦

LG のオープンソース AI への参入は、AI 業界を再形成し、OpenAI、Microsoft、Google のような資金力のあるプレイヤーの支配に対する代替案を提供する可能性がある。また、韓国がグローバルな規模で競争できる最先端の AI モデルを作成する能力を示している。この発展は、テクノロジーイノベーションで知られる韓国にとって特に重要であり、これまでオープンソース AI の分野では比較的静かだった。

Exaone 3.0の成功は広範な影響を持つ可能性がある。LG にとっては、AI とクラウドサービスへの多角化の成功を意味し、新たな収益源を開く可能性がある。韓国にとっては、グローバル AI 舞台への大胆な一歩を表し、国際的な人材と投資を引き付ける可能性がある。より広い観点では、Exaone 3.0 のようなオープンソースモデルの普及は、先進的な AI 技術へのアクセスを民主化し、業界や地域を超えてイノベーションを促進する可能性がある。

AI 競争が激化する中、Exaone 3.0 の影響力の真の指標は、その技術仕様だけでなく、その能力を活用する開発者、研究者、企業の繁栄するエコシステムを触媒する能力にある。今後数ヶ月は、LG の野心的な賭けが成功するかどうかを決定する上で重要となり、その過程でグローバル AI 業界を再形成する可能性がある。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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