Tencent(騰訊)のコンソーシアムが、ソフトバンクからSupercell株式の最大84%を取得へ——評価額は102億ドルに

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数ヶ月に及んだ駆け引きの末、中国のテック巨人 Tencent(騰訊)は、同社が設立するコンソーシアムが Clash of Clans の開発元 Supercell 株式の多数をソフトバンクから取得することを確認した。

2016の第3四半期にクローズされる予定のこの取引で、Supercell の評価額は102億ドルに上る見込みだ。Supercell は、今後も独立した経営を継続し、今後も本社はフィンランドに置くとしている。

Tencent の 社長である Martin Lau(劉熾平)氏は、次のようにステートメントで述べている。

Supercell は、そのクリエイティビティ、プレーヤーエクスペリエンス、ユニークなカルチャーで知られる会社だ。これらの要素が、世界で爆発的な人気を獲得するイノベイティブなモバイルゲームの開発を可能にしてきた。

Tencent は、大手ゲーム企業と長期的な戦略提携を築くことに傾倒している。Supercell が、我々のゲームパートナーの世界ネットワークに加わってくれることは喜ばしい。彼らの独立性を保持しながら強みを伸ばすことで、よりエキサイティングなゲームエクスペリエンスを世界中のプレーヤーに届けられるだろう。Supercell がそのユニークなカルチャーを守ることでルーツに忠実でい続けることは、Tencent にとっても重要であり、彼らはフィンランドに本社を置き続けることになる。

2010年にヘルシンキで設立された Supercell は、これまでに一連のモバイルゲームをローンチし、数十億ドルの売上を上げる企業に成長した。今年初めには、Hay Day、Clash of Clans、Boom Beach、Clash Royale という既存の4つのゲームのデイリーアクティブユーザ数の合計で1億人を超えている。

日本の通信企業でインターネット巨人のソフトバンクは2013年、Supercell の株式51%を15億ドルで購入したが、それから2年間で Supercell の株式は22%値上がりした。この時点で VentureBeat は Supercell の評価額が約55億ドルであったとの情報を把握しており、最近の報告によれば、Supercell は今回の買収までに評価額が90億ドル以上にまで高騰しているとされていた。つまり、現在の Supercell の評価額は100億ドルを上回っており、同社はこの記録に達したヨーロッパで初めてのテックスタートアップになる。

今回の Tencent による買収を受けて、ソフトバンクは Supercell の株式を一切保有しないことになるが、Supercell のすべての社員は Supercell の株主となっており、Tencent に株式が売却されることに伴って「新しい長期的なインセンティブプラン」に参加することになる。Supercell 買収のために作られるコンソーシアムは現在、完全に Tencent の支配下にあるが、Tencent は自らが50%の議決権を行使できる状況を保持しながらも、このコンソーシアムに参加してくれる他の投資家と協議を進めている。

ソフトバンクには、大きくなった価値資産(Supercell の株式)を転換すべきであるとの、投資家からのプレッシャーが高まりつつあった。今日の Tencent による Supercell 買収からまもなくして、ソフトバンク社長の Nikesh Arora 氏が退任するとのニュースが明らかになった。

Tencent はビデオゲームに不案内なわけではなく、4年前に支配権を獲得したロサンゼルスを拠点とするゲーム開発会社で Leauge of Legends の開発元 Riot Games の株式を昨年100%取得している。

モバイルゲーム市場は売上ベースで昨年350億ドルに達しており、2016年は総額およそ1,000億ドル市場といわれるPC ゲーム市場を、モバイルゲームが上回る最初の年になると期待されている。これは、Tencent が Supercell 買収に舵を切った理由を考える上でヒントになるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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