もしベトナムのメッセージアプリ市場がそのシェアを競ってヒートアップしていたとしたら、ベトナム発のサービスはどこになるだろう?実は先日、Zaloがモバイルメッセージアプリ(Android版、iOS版、Symbian版)の大規模なアップデートをリリースし、FacebookとZing Meをマーケティングで引き離している。
今回のアップデートで同アプリの動きははるかに早くなり、VIPマイクロブログ機能を加え、アプリを不安定にしていた多くのバグを修正して、遂にRetina対応アプリのアイコンを付け加えた。ベトナムにも遂に、海外発のアプリ——KakaoTalk、WeChat、Line、Whatsapp、Viberなど—— と張り合えるような国産プロダクトができたと私は思っている。
確かに、Zaloは他のサービスほど洗練されていない。スタンプの中には他のサービスと比べて可愛くないものもあるし、ゲーム機能やモバイル決済機能もない。だが、同アプリのベータ版がリリースされたのが昨年8月で、その後初めて正式にリリースされたのが11月なのだから、もう少し時間が必要だと思う。
第1区からバイクを走らせること30分、私はZaloチームに会うためにVNG本社を訪れた。同チームには、1つのフロアが丸ごと与えられている。プロジェクトリーダーのVuong Quang Khai氏と会って話し始めると、すぐに理由が分かった。
「Zaloは『Zing』と『Alo(ベトナム語で“もしもし”という意味)』を組み合わせたものです。VNGが以前につけたブランドの名前をすべて見てみると、Zing Mp3、Zing Me、Zing Gameなど、当社は常にZingという言葉をそのまま前面に押し出してきました。Zingはウェブサービスを連想させます。ですから、Zaloはそこから1歩離れたのです。
実は、Zaloという名前に決まる前は、Zing Talkになる予定でした。ですが、その名前は使わないことに決めました。すべてを新しくしようと思ったのです。私たちは昨年、前進するには『モバイルファースト』という戦略が非常に重要だと判断しました。
ベトナムのモバイル市場は大きく、Facebookが参入しつつあるものの、まだFacebookの独占状態ではありません。Zaloという名前は、古いものを脱ぎ捨てて、何か新しいものに力強く立ち向かって行くことを象徴しています。」
スタッフの数多さはこのリニューアルを反映している。Appleのように、同チームはZaloを構築するため、Zing Meなどの他のプロジェクトチームからスタッフを引き抜いた。
「多くのユーザから、『Zing Meがしばらくアップデートされていないのはなぜか?』と聞かれました。それは、私たちが全力でZaloに取り組んでいるからなのです。」
ある意味、ZaloがVNGの新たな顔ということもできるだろう。Zaloチームには約80人のスタッフがいる。エンジニアが40人で、ビジネス開発、マーケティング、デザイン、バックエンド・サポートの部門がある。エンジニアのスタッフが多いのは、ビジネスを拡大し、モバイル事業に特化して取り組もうとしているからだとKhai氏は語る。また、モバイルメッセージアプリの機能でZaloチームが1番力を入れていることについて、同氏は次のように説明している。
「モバイルメッセージアプリには、『コミュニケーション』『ソーシャル』『エンターテイメント』という3つの主な要素があります。各アプリにはそれぞれ強みがあります。Viberは無料通話とSMSを使ったコミュニケーション機能を得意にしています。Lineはエンターテイメントに強く、KakaoTalkはソーシャル性に長けています。
Zaloに関しては、私たちはコミュニケーションを前面に出したいと思います。それは、コミュニケーションがユーザにとって1番重要な要素だと私たちは考えているからです。コミュニケーションの要素がしっかりと確立してから、他の機能に取りかかるつもりです。」
Zaloでゲームが提供されるようになるのも時間の問題で、おそらくそんなに時間はかからないだろう。そもそも、VNGは「Vina Gaming」という意味で、同社はゲーム業界に深いルーツを持っている。VNGは現在、ゲームを制作するゲームスタジオ5社を所有していて、そのなかには、人気タイトルSkygardenなどのモバイルゲームをテストしているスタジオもある。
2013年1月末現在で、Zaloには50万人を超えるユーザがいる。一方、VNGのソーシャルメディアプラットフォームZing Meのユーザ数は800万人。だが、Zing Meがターゲットにしているのはティーンエイジャーで、Zaloは20~30代というもっと幅広いユーザ層に目を向けている。
Zaloのコミュニケーション要素についてもっと話をすると、Zaloにも、恋愛やイベント、教育というような特定のトピックについて話をするグループチャット機能がある。明らかにベトナムで人気のフォーラム機能に後戻りしているようだが、これは海外のアプリでは主要な機能ではない。
ベトナム人のデザイナーチームにより、同アプリにはベトナム市場専用のスタンプがたくさんある。WeChatと同じように、Zaloにも近くにいる人を見つける検索機能や、マイクロブログを通じてセレブや友達をフォローする機能もある。そして、もちろん、写真機能も。写真機能のないアプリは21世紀の世の中では生き残れないからだ。
Zaloの最新のアップデートにより、同アプリが2013年にはベトナムのモバイルユーザにとって非常に魅力的なサービスになることは予測がつく。
ZaloアプリのiOS版、Android版、Symbian版のダウンロードはこちらから。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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