私たちが2011年に作成した「インドネシアで人気のeコマースサイトリスト」は好評だった。しかし今や時は2013年、リストを更新すべき頃だろう。
最近インドネシアではいくつかのサイトが盛り上がったり、逆にもたつき気味になっているのを目にしてきた。この刷新されたリストで、インドネシアにおける新たなオンラインショッピングシーンを目にすることができるだろう。
1.Kaskus
最大のインドネシア語フォーラムサイトがKaskusだ。このサイトはメジャーなショッピングハブでもある。運営が危うい時期もあったが、いまだにインドネシアにおけるC2Cのeコマースプラットフォームとしては独り勝ちしている。サイトはモバイルアプリをリリースしたほか、デザインやユーザインターフェースも刷新した。
ユーザはKaskusで様々なものを販売することができる。そして彼らはほぼ間違いなくサイト内に買い手を見つけることができる。売り手の多くは稼ぐために毎日Kaskusのページを閲覧し、他のユーザのフォーラムのスレッドで自分たちの商品の投稿と宣伝をする。
同サイトが巨大なユーザベースの決済メソッドKasPayで収益を上げることについては顕著な成功を収めるには至っていない。しかし今後、Kaskus Marketplace機能がKasPayを主な決済システムとして使用できるよう見直されるかもしれない。
Alexaランキング:Kaskusは世界ランキング361位にランクされ、インドネシアでは9位。国内で2位にランクインしているインドネシアのニュースポータルサイトのDetikに唯一負けた。
2.TokoBagus
TokoBagusはC2Cにおけるもう一つのマーケットプレイスであり、インドネシアで一気にトップに躍り出た。ユーザは広告を無料で投稿でき、Tokobagus社もビデオ広告を至るところに積極的に掲載している。
TokoBagusは2012年に躍進しており、ベストユーザインターフェース部門やマーケット戦略部門などの非常に多くの部門で数々のeコマース賞を獲得した。また、当時のGoogle Zeitgeistによれば、インドネシアで2番目に検索されるブランドとなった。同年、TokoBagusの設立者は新たな事業開拓のためにビジネスを手放している。
Alexaランキング:TokoBagusは世界ランキングで891位につけており、国内のランキングでは15位となっている。
3.Berniaga
インドネシアのC2C市場におけるオンラインショッピングサイトの話になると、eコマースプラットフォームではBerniagaが第3位のように思われる。昨年5月、同社はサイト内に毎日1万5,000件の新たな広告が掲載されているとしている。Berniagaを所有するのはSingapore Press Holdingとノルウェイに拠点を置くSchibsted Classified Mediaである。
Alexaランキング:Berniagaは世界で1,728位であるが、国内でのランキングは人気があり、22位となっている。Alexaのランキングをもとに、インドネシアのeコマースサイトのトップ3を見てみると、TokoBagusがプロモーションに最も資金を費やしており、Berniagaはネット上で見かけることが最も少ないということになる。
ユーザインターフェースに関しては、商品の写真を見たければユーザは最初にリンクをクリックする必要があるという点で、Kaskusが最も使いにくいことが言える。またKaskusのユーザは時に、商品の写真を掲載していないことがある。これについてはKaskusマーケットプレイスが伸びてきているために、何か対応すべきだったのかもしれない。
最後に、C2Cプラットフォームで売買を行うなら、KaskusとTokoBagusの名前がBerniagaよりも先に思い浮かぶだろう。その理由として、Kaskusはすでにかなり有名であり、「agan(人に話しかける)」や「cekidot(見てみてよ)」といった独自の言葉がKaskus以外の場所でも多くの人々によって使われているからだろう。またTokoBagusはプロモーションにかなり多額の資金を費やしてきたことも挙げられる。
4.Multiply
Multiplyマーケットプレイスでは、ユーザは商品の広告やスレッド掲載するというよりはむしろ店を開くということが可能になる。この点では中国で大成功を収めているTaobaoに似ている。このサイトではまた時々、送料無料キャンペーンを行ったり、銀行振込やクレジットカードでの支払いなどユーザは支払い方法をいくつか選択できる。Multiplyではブログのプラットフォームを閉鎖し、2013年にはeコマースのみに特化してリブランディングする準備を進めている。
Alexaランキング:インドネシア国内ではMultiplyは47位、また国際的にも名が広まっており、フィリピンでは17位、インドでは170位にランクインされている。世界では705位である。
5.Bhinneka
Bhinnekaは電子機器の販売に特化したオンラインストアではインドネシアで最も大きいだろう。同社はインドネシアで最も古いオンラインストアの一つで、同ウェブサイトは1999年に開設された。はじめはB2Cマーケットプレイスとして始まっており、近年ではBursa Bhinnekaという名前でC2C市場に進出した。
ユーザは代引きかクレジットカードでの支払いを選択して商品を購入できる。ジャカルタ市内なら送料無料だ。
Alexaランキング:Bhinnekaは世界で3,978位であるが、国内でのランキングはかなり強く、54位となっている。
6.Lazada Indonesia
Lazada Indonesiaは現在、インドネシアにおいて最も急成長しているeコマース企業だろう。Lazada Indonesiaの設立は昨年であり、国内の人々をたちまち魅了し、短期間で市場を国内全土に広げた。同社の急成長要因の一部は、親会社のRocket Internetが集めた多額の投資資金由来の潤沢な資金を用いた積極的な戦略である。
LazadaはAmazonに似たB2Cストアであり、多くの商品で定期的に割引を行っている。同社は近い未来、即日配達サービスを展開する予定だ。東南アジアにある他のLazada支店も急成長を遂げている。
Alexaランキング:1年も経たないうちに、Lazada Indonesiaは国内で53位にランクインした。グローバルランキングは4,374位。
7.Tokopedia
2009年にローンチされたC2CマーケットプレイスTokopedia(1)は、数年で大きな成長を遂げた。同社は、昨年8月に設立3周年を迎えた時、取引額が2011年の実績と比べて600%増加したことを私たちに語ってくれた。Tokopediaの価格帯表示機能は面白い。同じ商品が様々な価格で販売されているのを調べ、消費者が同サイトで1番安い価格のものを簡単に見つけられるようにしているからだ。
Alexaランキング:国内では68位、世界では5,199位にランクインしている。
8.Agoda
Agodaはアジア太平洋市場に特化したホテル予約サイトだ。ユーザは特定の街で宿泊できるホテルを検索することができ、ホテル名や、価格帯、ホテルの設備、星の数などによるフィルタ検索もできる。興味深いのは、他のサイトがAgodaよりも安い価格を提供している場合にユーザがそれを提示すると、Agodaは価格を合わせるか、それよりも安くして、最安値の料金を提供すると約束していることだ。
Alexaランキング:インドネシアでは78位、世界ではなんと566位にランクインしている。
9.Facebook
ちょっと待った、みなさんも疑問を持つかもしれない。そう、Facebookがソーシャルネットワークであることは私たちも十分に承知しているが、インドネシア人はFacebookを活用して商品も販売している。オンライン決済企業VeritransとテックブログDailySocialが行った調査によると、Facebookはインドネシア人がオンラインショッピングに活用している最も人気のサイトの1つで、実はトップの座をKaskusと分かち合っている。
インドネシアには4,700万人のFacebookユーザがいて、世界で4番目のFacebook大国だということを忘れないでほしい。LakuBgtやOnigiなどのスタートアップはこのチャンスを活用して、Facebook上で店舗を開設するためのサービスを提供している。決済もFacebookを通じて処理することができる。
Alexaランキング:私たちが話題にしているのはFacebookだ。同サイトはインドネシアでも世界でも第2位にランクインしている。
視点を2013年へ
もちろん、この他にもインドネシア市場のシェアを掴もうとする注目のeコマースサイトがある。Rakuten Belanja Indonesia(写真:左下)とBliBli(写真:右下)はディスカウントサービスと広告サービスでインドネシア市場に参入した大手サービスのうちの2つで、その各サービスの所有者をみれば大手であることは間違いない。
Rakuten Belanja Indonesiaは、日本の楽天とインドネシアのメディアグループ企業MNC Media Groupとの合弁事業で、BliBliはインドネシアで最も富のあるグループ会社Djarum Groupとインドネシア最大手の銀行の1つBCAによって支援されている。
インドネシアの日替わりクーポンサイトはどうだろう?GrouponのDisdusとLivingSocial(2)はそれぞれ195位と324位で、もちこたえている。AdaDiskonなど、依然として市場のシェア率を掴んでいるサイトもいくつかある。AdaDiskonはインドネシアで1,259位である。
資金が十分になければ、日替わりクーポン事業のクローンサイトをいきなり始めるのは良いアイデアではないだろう。だが、他との差別化を図ろうとするガッツのあるインドネシアスタートアップもいくつかあって、それぞれのビジネスモデルに工夫を凝らしている。 Uluyu(先頭グループから遅れをとっている)、Stilomo、Yotomoなどがその例だ。彼らのイノベーションによって、日替わりクーポンサービス業界に活気が戻ってくるだろうか?
個人的には、インドネシア市場には縦型のeコマースサイトが参入する余地がまだ残っていると思っている。フランスの食品オンラインショップRumahSegar(1)や、ベビー用品を販売するBilna(1)、ギフトショップのFlowerAdvisor、そしてRocket InternetのファッションオンラインストアZalora Indonesiaなど、多くのサービスがすでに参入している。日本のSukamartも最初のオンラインスーパーの一つとして参入し、インドネシア全土に配達サービスを提供している。
配達の課題を解決しようとするElokuやKirimなどの国内スタートアップが現れ、インドネシアのオンラインショッピングのインフラは徐々に向上している。iPayMu、Veritrans、Indomogなど、決済サービスを提供する将来有望なスタートアップも出てきている。だから、2013年は独自のeコマースビジネスを始めるにはよい年となるかもしれない。
1.情報開示:Tokopedia、RumahSegar、BilnaはEast Venturesが支援しているスタートアップで、East VenturesはTech in Asiaにも出資をしている。さらなる詳細は当社の倫理指針のページで。
2.情報アップデート(2月12日付):LivingSocialのサイトランキングが大きく後退したと間違った指摘をしてしまった。LivingSocialは今でも、インドネシアの有力な日替わりクーポンサイトだ。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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