スタートアップが大手ブランドと提携して学んだ8つの教訓

Tech in Asia by Tech in Asia on 2013.4.19

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Simon Newstead氏は現在、FrenzooのCEOで、以前はJuniper Networks社の新興テクノロジー部門アジア太平洋地区の責任者だった。同氏は、スタートアップのエンジェル投資家で、スタートアップとゲームに関する記事も執筆している。Newstead氏をフォローしたい人は、同氏のブログもしくはTwitterで。


「もしあなたがスタートアップを手がけているなら、大手ブランンドとの提携に魅力を感じるだろう。」

ひょっとしたら、あなたはこのように考えているかもしれない。数か月で提携話を締結し、名声を得て、提携契約を承認し、プレス、成長、新たなチャンス、そしてもっと多くのことが待っている、「この提携が決まれば、自分たちに明るい光が射すはずだ。」と。だが、いつもそうなるとは限らない、ということには気付かない。

現実はというと、こうした場合にスタートアップが有利な立場を確保することは非常に難しい。そして、契約書に署名することも同様に非常に困難だ。それから、双方にとって本当に価値のある素晴らしい提携を結ぶのは、難しい課題であるということ。そして、提携に関わるすべてのことを、貴重な資金を誤って無駄にしたり、脱線したりすることなく実行しなければならない。

成功例と失敗例

昨年、私のスタートアップはいくつかの大手ブランドと協業した。失敗したケースは1つで、貴重なサイクルを無駄にしてしまった。いくつかのケースはそれよりも良い結果となった。その中には、大手メディアのCondé Nastと提携して新しいゲームタイトル「Teen Vogue Me Girl」に取り組んで成功した例もある。このゲームタイトルは数か月に及ぶ懸命な取り組みを経てローンチされた。

それでは、以下に私たちが学んだ8つの教訓を紹介しよう。

教訓その1:プレスは予期せぬボーナス

もし、プレス活用の主な目的が自分のスタートアップのダウンロード数、ユーザ数、収益を伸ばすことにつながる評判を得ることなら、失望を味わうことになるだろう。

例えばWiredなどの主要なメディアで取り上げられたとしても、数字が伸びるのは一時的なことだ(私たちはそれが実際に起こるのを見てきた)。ある友人は一流のセレブを起用して彼自身の新しいスタートアップを紹介してもらったにもかかわらず、期待していたよりもはるかに少ないユーザしか獲得できなかった。

プロジェクトのために派手な宣伝キャンペーンをローンチしたが、1年後にはそのプロジェクトが失敗するというケースは皆も覚えているだろう。だが、宣伝をしなくても成功したケースもある。私たちが開発した新しいゲームはほんの少しのメディアにしか取り上げられなかったが、それでも今も順調に成長している。

プレスは資金調達などのその他のことに役立つが、提携はかなりリスクが高く、これらの目標を試み達成するには多くの経営資源を必要とする方法だ。

プレスは絶対に必要なものではなく、予期せぬボーナスだ。プレスを予期せぬボーナスとして考えてみてほしい。つまり、ボーナスがなくても心配はいらない。ちゃんとしたプロジェクトなら、プレスの力を借りなくても成長するのだから。

教訓その2:機会費用は許容範囲か?

大企業と提携してプロジェクトを遂行することは、思っている以上に時間がかかる。しかも、はるかに長い時間だ。私たちのプロジェクトはローンチするまでに6か月近くかかったが、これはまだ早い方だ。

大手ブランドは、様々な利害関係者からプロダクト開発の承認を得て、プロダクトなどに関するマーケティングや法的事柄の見直しをし、そして終わりのないプロセスの一新後退を繰り返さなければならない。

もしあなたが小さなスタートアップを運営していて、自分の「主要」ビジネスの勢いを維持する傍らで、大手ブランドのために新たなアプリを作ることができると考えているなら、もう一度考えてみてほしい。

おそらく、人をさらに雇ったり、すでに持っているものを再形成するか、もしくは持っている技術をプラットフォームに変えようとしなければならなくなるだろう。さもなければ、このプロジェクト、つまり「これがあなたのスタートアップ」と言われるものを受け入れ、自分が優先しているプロジェクトをおそらくずっと遅らせ続けなければならなくなる。

最終的に失敗してしまった私たちのプロジェクトは、私たちにとって失敗して良かったものとなった。一緒に取り組んでいたブランドは有名で、多くの人が取り組みたいと思うブランドだったが、十分な戦略的メリットがないまま、自分たちの当初の軌道から大きく逸脱しようとしていた(機会費用が高かったというわけだ)。

教訓その3:適切なパートナーと提携を

大企業で、関心を示して商談の約束をしてくれるグループを見つけるのは簡単かもしれないが、それらが頓挫してしまうこともある。特定のグループと多くの時間を割く前に、次のようなことを訊いてみよう。

そのグループの要求とビジネスの目的は何だろう?

      ・予算はあるのか?
      ・関連ビジネス組織から賛同を得ているのか?
      ・同じようなプロジェクトを実施したことがあるのか?
      ・将来のプロジェクト契約にサインをするのは誰か?
      ・このプロジェクトを遂行するための経営資源はあるのか?

私たちの場合、プロジェクト実績を多く持つイノベーションプロダクトのグループを見つけることができた。そのグループは様々なConde Nastブランドや、新しいプロジェクトを支援したいというブランドから賛同を得ていた。それが、すべての始まりだった。

教訓その4:前もって自分自身の範囲を明確にする

リーンスタートアップの世界では、私たちは反復作業を行って現実を目標に適合させていくのだが、こういうプロセスを毎週方針の変わるブランドと一緒にすると混乱を招くことになる。

例えば、「あっ、顧客にウェブだけでなくアプリでもクーポン券が渡せるようなモジュールを加えることができる?」という悪気のない小さなリクエストが雪だるま式に増えることもある。

良い点もあれば悪い点もあるが、提供できるもののリストを作って同意を得て、早い段階で文書化するのが良いと私は思う。だが、最初からそれをどうやって「適切に」行うのか?

良い方法は、うまくいくと証明されたものを採用する(私たちの場合は、自分たちの最初のゲームの開発者に基づいて新しいゲームを開発した)か、成功する可能性を確実に高くするために最初に顧客開発および計画をする、のどちらかだが、これは難しい比較検討だ。

教訓その5:超大手企業を活用する

大企業にはいろいろなプロセスや伝統的なシステムがあり、動きが遅い。一方、スタートアップは何でも素早く決定して行動していく。では、どうすればいいのか?

自然と思いつくのが、大企業のやり方を自分たちの仕事のやり方やペースに合わせるよう仕向けることかもしれない。でもこれは、フラストレーションにつながる可能性が高い。しかも自分たちの側にだ。

そうする代わりに、彼らの仕事のやり方を採用し、大手企業に正しい方向を示してくれるよう促し、プロセスの全行程で彼らに指導権を持たせよう。

例えば、私たちは通常の仕事の計画をすべてGoogle Docsで行っている。一方、私たちのパートナーはExcelのスプレッドシートとプロジェクト管理システムを活用して計画を立てていた。しばらくしてから、私たちはそれに目を通し、プロジェクトを成功させる項目がすべて含まれているかを確認しただけだった。

彼らがそのシステムに「ロックイン」した後は、彼らは通常通りのプロセスを実行しプロジェクトを遂行した。「やり方」ではなく「何をするか」に重点を置けば、最終的に大企業をあなたのスタートアップにとってうまく協業できるパートナーにすることができるだろう。

教訓その6:契約書類は早期に整える

法的な契約書類の手続きは、スタートアップのCEOの仕事の中で最も厄介なものの1つだ(ゴミ箱を空にすること、そして朝の4時にサーバーがダウンするという非常事態の次に厄介な仕事だろう)。契約書の詳細をなめるように見て、致命的な落とし穴がないかを探しても、自分のアプリが良くなるわけではない。

そしておそらく、私と同じように、あなたもこういう作業は苦手だろう。私はこの苦痛を軽減するための方法をいくつか見出した。

      ・まず、前もって同意された主なポイントを記した簡略の契約書を作る。これは署名をすれば、基本同意書として扱うことができる。この書類は数ページ以下で分かりやすい英語で記されるべきだ。この基本同意書があれば、プロジェクトに取り組み注力することができると同時に、法的書類のために時間をかけることもできる。
      ・経験豊かなメンターをチームに入れて、契約内容や法的書類の詳細を見てもらう。私のスタートアップFrenzooには幸いにも、契約に関する経験が豊かで相談役/サニティチェック役として助けてくれる数人のエンジェル投資家がいる。メンターは、投資家チームもしくは顧問チームに弁護士の1人か2人を入れることも助けてくれる。役立つアドバイス:これは、アーリーステージのスタートアップにとって大きな強みとなる。

教訓その7:予算を確保すること

スタートアップはバーンレートのことを考えるが、大企業は予算と人員を考える。大企業はプロジェクトのマーケティングをしてくれるのだろうか?もしそうなら、どのくらいの予算が、誰によって、どこで用意されるのか?

大企業はプロジェクトの仕事の一部を担当しようとしているのだろうか?そうだとすれば、誰が割り当てられ、勤務時間の何%を費やすのだろうか?
あなたのプロジェクトに経営資源がきちんと配分されているかを確認すること。

もし配分されていなかったら、丁重に訊ねてみよう。もし彼らが確信していないなら、適切な数字を提示して、そこから話し合いをしよう。「最大限の努力」ではなく、きちんとした経営資源を持てば、プロジェクトが成功するチャンスは高まる。

教訓その8:頭と心の調和はとれているのか?

Frenzooが仮想世界コミュニティの運営を手がけていた頃、特殊効果やポストプロダクションを手がける企業のWetaと私たちは提携した。『ロード・オブ・ザ・リング』や『キング・コング』のような作品の数々の大ファンとして、私はこの提携に大喜びしたのだった。

Wetaが関わる、スチームパンク的なSF世界を舞台とする「Dr Grordbort」のブランドを宣伝するコンテストにおいて、私たちは協業することになっていた。問題はどこにあったか?それは、私たちの消費者、主に女性たちはそのジャンルにあまり関心がなかったことだ。協業自体はうまくいったにもかかわらず、私たちのサービスへの定着度が上がったり、Wetaのブランドがさらに人気を獲得したりはしなかった。

教訓はなんだろうか?要するに、提携をするのは、感情的レベルおよびビジネスレベルの両方において本当に理に適っている場合に限るということ。

理性と感情が1つになっていれば、追求する価値はある。幸運を祈る!あなたの体験もぜひ聞かせてほしい。コメント欄からご意見を。もしくはTwitterで。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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