グルメチェックインアプリ「SynchroLife(シンクロライフ)」が大幅アップデート——飲食店情報のキュレーションで世界展開を目指す

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2014.2.5

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東京のスタートアップ、エーアイパシフィックは5日、グルメ・キュレーション・サービス「Synchro Life(シンクロライフ)」の大幅アップデートを発表した。SynchroLife は2012年10月にローンチしたモバイルアプリで、気に入った飲食店にチェックイン・格付けを行うことで、自分と似たような食の嗜好を持つ人々や飲食店をフォローできるのが特徴だ。今回アップデートされるのは iOS 版のみで、Android 版については4月のアップデートを予定している。

RettySnapDishmiil など、グルメアプリも出尽くした感が否めないが、ここで改めて挑戦する意気込みと戦略について、エーアイパシフィック創業者で代表取締役の神谷知愛(かみや・ともちか)氏に話を聞くことができた。

目指すは、食の Gunosy(グノシー)

自分の好みにあった情報をキュレーションしてくれることで、テック界を最も賑わせているのは、ニュース・キュレーション・アプリだろう。これまでに THE BRIDGE でも GunosySmartNewsNewspicks などをしばしば取り上げている。これらのアプリの肝は、ユーザの嗜好を学習してキュレーションの精度を高めてゆくアルゴリズムだが、SynchroLife では、この考え方を飲食店情報のキュレーションに取り入れた。

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代表取締役 神谷知愛氏

最初は Facebook ログインしてもらうのですが、自分のソーシャルネットワーク上の近い友人が、必ずしも、似たような食の嗜好を持っているとは限りません。飲食店を訪問した際、SynchroLife を使ってチェックイン、お店を格付けしてもらうと、その情報をもとにユーザ同士のシンクロ率(嗜好の類似度合い)が表示されます。シンクロ率の高いユーザのキュレーションした飲食店情報を検索すれば、自分の嗜好に合った飲食店に出会えるわけです。

例えば、所用で不案内な場所を訪れて、食べログやぐるなびで飲食店を探すのが億劫なとき、友人に Facebook や電話で良さそうなお店を教えてもらう、というシーンはよく見られる。このプロセスをシステム化しようというのが SynchroLife の試みで、位置情報を元にした検索機能を使い、今いる場所で自分の嗜好に合いそうな飲食店を簡単に見つけることができる。

Gunosy がニュースでやっていることを、グルメでやろうと考えたのです。嗜好を軸に、お店の情報がキュレーション表示される「シンクロフィード」がまさにそれで、今回のアップデートで追加しました。なんとなく行きたいお店を見つけたいときは「シンクロフィード」、今すぐ店を探したときは検索機能を使ってもらうことで、他のグルメアプリとは違った飲食店との出会いが提供できると考えています。

嗜好というアナログなものを数値化し、いかにしてユーザの欲する情報に結びつけるかは、大きなテーマだ。食が人間の三大欲求の一つであることを考えれば、読みたいニュースを集めてもらうよりも、自分の味覚に合う飲食店を教えてもらうことの方が、市場の可能性は大きいのかもしれない。

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マネタイズをどう実現するか?

synchrolife3神谷氏は、SynchroLife のマネタイズ方法もいくつか明らかにしてくれた。SynchroLife の飲食店情報は食べログの API を利用しているが、SynchroLife ではチェックイン時の飲食店の格付け情報が含まれている。年内にも、飲食店に自店舗の情報を編集するインターフェースを公開し、格付けしてくれたユーザに対して、お店から特典情報をプッシュ通知できるようなしくみを考えているようだ。

このしくみのコンセプトは、どことなく THE BRIDGE のスタートアップ・データベースにも似ていて(スタートアップ・データベースでは、特典情報の通知はしないが…笑)、読者の中にもおられるだろうが、登録されたスタートアップは率先して自社の情報を登録/更新してくれている。SynchroLife が作ろうとしているデータベースにおいても、飲食店に同じようなモチベーションが働くことが期待できる。

さらに、大手の飲食店チェーンなどとタイアップし、当該の店舗にチェックインすると、特典クーポンを付与するしくみも検討している。SynchroLife は飲食店の情報登録だけでなく、Foursquare のように、GPS データや撮影した写真のジオタグなどから、そこにチェックインしたことを重視する設計となっているので、実店舗訪問のエビデンスにもなるというわけだ。

それ以外にも、いくつかのアイデアがあるようだ。構想中ということで詳しくは明らかにされなかったが、「同じ釜の飯を食う」という表現がある位、食の嗜好が合う仲というのは、いろんな意味で〝シンクロ率〟が高いことを示唆している。神谷氏はこの点に大きなビジネスチャンスを見出しているようだった。

グルメのキュレーションで世界を攻める

現在は、日本語版のみが提供されている SynchroLife だが、グローバル展開の開始を視野に入れている。

シンガポール、インド、フィリピンなど、アジアの英語圏から着手し、世界各国のグルメサイトのAPIと連携させ、120カ国でのローンチを考えています。日本語サービスである SynchroLife の海外版を作るのは難しいと思っていたのですが、英語版を中心に据え、日本語版をその英語版のローカライズだと意識することで、頭の中をスッキリ整理することができました。そう考えれば、英語版/日本語版以外の各国語版展開も、スムーズにできると思います。

海外のレストランではメニューに写真が付されていることが少ない。食品サンプルも日本独自の文化だ。食べ物を写真に撮ってシェアするのもアジアにしか見られないが、このあたりは、旅行者の利便性を向上する点からも、ぜひとも世界中に浸透してほしい消費者習慣だと筆者は考えている。

synchrolife4程度の違いはあっても、少なくとも、自分の嗜好にあった飲食店を見つけたいというのは、世界の人々に共通する欲求だと思うんです。

アプリを使って、飲食店の雰囲気や料理を伝えるには写真が必須だが、SynchroLife では写真の見せ方や UI に徹底的にこだわっている。グルメのキュレーションの便利さが世界的に認知されるようになれば、消費者習慣さえ変えてしまい、欧米にある飲食店の店先にも食品サンプルが飾られる日が来るのではないかと妄想してしまった。

この分野で、SynchroLife が好敵手と捉えているのが、シンガポールの Burpple だ。Burpple はユーザ数を公表していないが、115カ国、3300都市で利用され、これまでの投稿数は15万件(2013年10月現在)に上る。和食がユネスコの無形文化遺産に登録された昨今、食に対する日本人のこだわりを、SynchroLife がアプリという形で世界を驚嘆させてくれるのを期待したい。

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