バックオフィス・クラウドソーシングの「Gozal(ゴザル)」がCAVなど4社から約1億円を調達、会社運営に必要な諸手続を半自動化できる機能を追加

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会社設立や社員の社会保険加入に必要な手続など、バックオフィス業務のクラウドソーシング・サービス「Gozal(ゴザル)」を提供する BEC(ベック)が、サイバーエージェント・ベンチャーズ(以下、CAV と略す)、ベンチャーユナイテッド、セゾン・ベンチャーズ、ウェブマーケティング会社の Speee から約1億円を資金調達したと発表した。BEC にとっては、2014年末に CAV の Seed Generator Fund から1,000万円を調達して以来、ほぼ1年ぶりの調達となる。

また、今回の調達とあわせて、BEC は Gozal の機能の大幅アップグレードを実施した。2015年3月に正式ローンチした(βローンチは2014年8月)Gozal は、これまで士業7分野=弁護士(法律事務所)、弁理士(特許事務所)、公認会計士(会計事務所)、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士=に質問や相談ができるクラウドソーシング・プラットフォームとして機能してきたが、今回、会社設立や社員の社会保険加入手続など、企業が必要とする諸手続をテンプレート化し、ユーザが Gozal の指示に従って必要項目を入力し、その内容を士業7分野の専門家にレビューしてもらえる機能を追加した。

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BEC の創業者で CEO の高谷元悠(たかたに・もとひろ)氏は、標準化可能なワークフローをテンプレート化することでコストを下げる一方、相談やレビューを専門家に依頼できることでサービスの品質を担保できることを強調した。なお、Gozal では、ユーザの希望に応じて、手続作業一切を専門家に〝丸投げ〟で依頼することもできる。

今回アップグレードされた Gozal には、例えば、会社のプロフィール欄で社名を変更すると、自動的に商号登記の変更手続をユーザに促す通知機能が追加されている。ユーザは Gozal のプラットフォーム上で必要な項目さえ入力や変更をすれば、それに応じて必要となる諸手続が Gozal から知らされるしくみだ。この機能により、ユーザはどういった手続が必要かを意識せず Gozal 任せにすることができるようになる。

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リニューアルした Gozal では、処理したい手続(タスク)がトップメニューから選べる

興味深いのは、この必要手続を自動的に通知する機能は、予め Gozal 上にプログラムされているのではなく、士業7分野の専門家の提案をもとに Gozal が自動学習していく作りとなっている点だ。通常、この種の機能をリリースする場合、想定されるシナリオをパターン化し、それをもとにシステムを作り上げることになるが、Gozal はパターンを自動学習するため、シナリオの完全なパターン化を待たずに機能をリリースすることが可能になった。ありがちなシナリオの抽出漏れにも対応することができ、ユーザが Gozal を使えば使うほど、かゆいところに手が届くしくみに育っていく。BEC はこの機能と実装方法について、特許を出願中だ。

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専門家との相談チャット画面

この分野には、「​会社設立 freee」を展開する freee や、会社運営タスク代行「マキトリ」を展開する Bizer などの競合がいるが、彼らとの差別化について、「タスク(必要手続)を選ぶという行為そのものがハードルが高いため、前述した必要手続の自動通知機能により、Gozal は労務手続などに詳しくない人にも使いやすいものに仕上がっている」と、高谷氏は自信を見せた。

Gozal の想定ユーザは、中小企業やスアートアップなどの企業経営者が中心だが、将来的には、一部情報項目を従業員が自ら入力できようにし、経営者の入力手間を最小限に抑えるような機能も計画しているとのこと。また、セゾン・ベンチャーズの親会社にあたるクレディセゾン(東証:8253)とは、共同で新たなサービスを開発することも視野に入れているとのことだった。

Gozal には約1,000社の企業がユーザとして登録しており、作業を依頼される側の士業7分野の事務所の登録数は200事務所。これまでに300件以上の案件をマッチングさせており、Gozal を経由した手続手数料の流通総額は2015年10月末時点で200万円を突破している。

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