2016年の日本国内 IPO を振り返るーー上場は83社でマザーズが6割、主幹事は野村證券とみずほ証券が並ぶ

by ゲストライター ゲストライター on 2016.12.29

240105_101666379922895_4508047_o編集部注:本稿はベンチャーユナイテッドのチーフベンチャーキャピタリスト、 丸山聡氏が運営するブログ「No Guts, No Growth.」からの転載記事。同氏に許可を頂きこちらに掲載させてもらった。

business chart showing financial success at the stock market
Image Credit business chart showing success / safari_vacation on Flickr

毎年恒例にしていたはずが、昨年はなぜかやっていなかった IPO の振り返りをしたいと思います。ちなみに前回2014年はこちら

2016年は2月24日に東証マザーズに上場した株式会社はてなから、12月27日(本日)東証 JASDAQ スタンダードに IPO した株式会社ティビィシィ・スキヤツトまで、全部で83社(TOKYO PRO MARKET を合わせると86社)が IPO しました。(上場承認されたものの、オークネットと ZMP は上場承認を取り消しました)

去年が92社(TOKYO PRO MARKET を合わせると98社)だったので、やや減少していますが、2014年が77社(80社)だったので、そこからは増えています。

これまでの推移をグラフにすると

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※日本取引所グループなどのウェブサイトから情報を収集し、筆者作成と、いちおうアレを明記しておきます。直近で一番 IPO が多かった2006年が188社(過去2番目の多さで、過去最高の IPO 数は2000年の203社)でしたので、昨年、今年はだいたいその半分くらいの水準となっています。

ちなみに過去のものについてはこのあたりを参照ください。主幹事証券別をグラフにしますと

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※ TOKYO PRO MARKET を除く

野村證券が最多かと思いきや、同数でみずほ証券が並びました。これはけっこう珍しい感じかなと。
野村證券がマザーズ10社、東証本則4社、JQS 4社だったのに対して、みずほ証券はマザーズ8社、東証本則3社、JQS 7社と、JQS への上場が多かったのが特徴的で、市場環境も含めて新興企業の上場もありましたが、JQS への上場を選択する企業を one mizuho で幅広くアレしたのが、要因かもしれませんが、私のただの妄想かもしれません。

っていうか、JR 九州の主幹事が複数社なんで、この集計がちょっと変わってくるなー。。。そこどうするかな。ま、ひとまずそのあたりはそういう数値だと思ってください。

同数での1位の次は、大和証券15社、SBI 証券13社、SMBC 日興証券12社となっております。(SMBC 日興証券は JR 九州の主幹事の1社でもあるようなので、それをカウントすると13社っていうことに。。)
特に SBI 証券は2014年5社→2015年8社(と上場取り消し1社)からさらに上積みして13社となってきています。SMBC 日興証券も SMBC 日興となって早5年。

2015年は20社の主幹事を務めましたが、今年は12社(13社)になっていて、引き続き、ここ数年のなかでは高水準です。また、今年は東海東京証券が5社となっているのも特徴的です。

SMBC フレンド証券、いちよし証券と1社ずつとなっていて、三菱 UFJ モルガンスタンレー証券は JR 九州の主幹事の1社ではあるので、このグラフ的にはいませんが、それをカウントすると1社になります。

続いて市場別をグラフにするとこんな感じです。

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マザーズへの上場会社数が全体の65%を占めています。昨年もマザーズは61社(のほかに取り消し3社)で全体の66%を占めいましたが、今年も同水準です。ちなみに2014年はマザーズは45社(のほかに取り消し1社)で全体の58%を占めていました。

また、JASDAQ については2016年は14社の上場があり、2014年10社→2015年11社から増加しました。

一方で、東証以外の取引所への上場については2016年は名証2部に2社が上場したのみ(福証への重複上場はありましたが単独上場ではその2社のみ)となっており、2014年と同じ(2014年は名証2部とセントレックス各1社)でした。

2015年には福証 Q ボードや札証アンビシャスへの上場もありましたが、今年はどちらも単独上場はなかったようです。

東証本則市場への大型上場は、2014年がリクルートホールディングスを筆頭に、西武ホールディングス、ジャパンディスプレイ、すかいらーく。2015年が日本郵政グループ3社、2016年が LINE と JR 九州という顔ぶれで、2016年についてはそれ以外の企業は500億円以下での IPO となっている感じで、IPO 相場全体としてはちょっと低調になってきているのかなぁという印象です。(ちゃんと集計していないので、なんともではありますが)

今年も IPO したての企業でいろいろとにぎわせる出来事もありましたし、逆に上場承認された企業のなかで事情によって上場承認を取り消すという会社もありました。

そうした出来事が起きるたびに、IPO の審査プロセスにおいて確認される項目は増えてくるというところもありますし、まだ地裁の判決ではあるものの IPO 直後に粉飾が発覚した企業に関して証券会社の責任から賠償が命じられるという事案も出ています。

監査法人についても、いろいろとありましたのでより監査は厳格化されていくものと考えられますので、なんとなくこれから数年の IPO については、昨年をピークとしてやや減少していくような感じになっていくのかもしれないなぁという気はしております。

もちろん証券市場自体が活況でなければ、公開時の株価などは低く抑えらえることにもなりますので、ちょっとそのあたりも含めて、これから先の IPO 市場の動向については、そのプロセスも含めて一層の注視が必要な時代になってきたなと投資関係者として思うわけです。

特に直前期や申請期の業績や公開時の時価総額(と PER )、公開後の株価推移と出来高についてはよくみていきたいところ。

もちろん起業家にとっては、そうした動向に左右されないくらいの事業と利益の成長を実現するということが求められ、上場後にさらなる成長が見込めることも重要ですし、それとともに法令遵守などの意識も高めていく必要があるという、至極ごもっともな話なのかもしれません。

ということで、毎度思っていることなんですが、上場承認されたらIPOではなく、上場日の午前9時に取引が開始されるまで IPO は何が起こるかわからないので、上場日に取引開始されたらIPOだっていう意識でいきたいとことです。この特集は来年に気が向いたらまたやりたいところです。
では、また。
※いちおう確認しながらやってますが、データに誤りがあるよって気づいたりしたプロ筋の方はこっそりご連絡いただけるとすごく助かります。

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