泊まれなくなったホテルの宿泊権利を売買できる「Cansell」、DGインキュベーションやカカクコムらから4,000万円を調達

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東京に本拠を置くスタートアップ Cansell は、ホテルの宿泊予約の権利売買ができる「Cansell」を提供している。同社は16日、DG インキュベーションカカクコム大和企業投資イノベンチャーから4,000万円を調達したと発表した。同社は調達した資金を、正式公開に向けたサービス開発のエンジニア採用、認知拡大へ向けたマーケティング施策の実施、サポート・運用体制に強化に使うとしている。

Cansell は、映画専門のクーポン共同購入サービス「ドリパス」(その後、ヤフーが買収)でプロダクトマネージャーを務めた山下恭平氏らが2016年1月に設立し、2016年9月にサービスをプレビューローンチした。

Cansell では、宿泊予約をしたものの、そのホテルへの宿泊予定が無くなってしまったユーザが宿泊権利を出品、他方、宿泊するホテルを探しているユーザがそれを購入する。出品者は宿泊しないものの宿泊料をホテルにそのまま支払い、不要になった宿泊権利を、元の購入金額より割り引いた金額で Cansell に出品する。出品者にとっては、<ホテルや OTA に支払った宿泊料 − Cansell で転売した金額 − Cansell の手数料> が手元に残り、OTA やホテルにキャンセル料を支払うよりも結果的に割安に、また、購入者にとっては、Cansell 上に出品された宿泊権利を OTA などでホテルを予約するより割安な金額で購入できることになる。この取引の成立をもとに、宿泊権利は購入者から出品者への名義変更がなされ、購入者が泊まれるようになる。

Cansell はまだ正式サービスに移行していないが、プレビュー版としての4ヶ月間の運用期間に12件の販売取引が実行されていて、本稿執筆時点で9件の宿泊権利が販売されている。共に創業から6年目を迎える同業では、イスラエル発でニューヨーク拠点の Roomer の場合で販売中の掲載件数400件前後、イスラエル発でロンドン拠点の CancelOn の場合で600件前後と共に3桁台で、ビジネスとしてやっていくには、このあたりがブレイクイーブンの最低ラインということになるだろう。ユーザに認知してもらうまでには一定の時間がかかるだろうが、他社との提携や積極的なマーケティング戦略により、販売件数の増加に期待したいところだ。

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