東欧で展開するUberとYandexのジョイントベンチャーが、ウクライナでサービスを提供しない理由

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Яндекс.Такси вездесущий via Flickr by Peri Scope

Uber と Yandex が東欧の6ヶ国をカバーする新たなライドシェアリング企業をついに立ち上げるという重大な合併ニュースの興奮が落ち着きつつある現在、この案件が持つ微妙なニュアンスについて少し掘り下げてみる価値がある。

この提携により、Yandex の世界的な足場がどのように拡大されていくのかということは以前も取り上げたが、新たなジョイントベンチャーが展開するいくつかの国をつぶさに見ていくと、不思議なことにある国が抜けている。それは、4,500万の人口を有するウクライナだ。

今回の新たな Yandex-Uber 連合は、今は一時的に「NewCo」と呼ばれているが、いずれ適切な名称が付けられる。この会社は、Uber と Yandex.taxi の両社がすでに進出しているロシア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、カザフスタンでサービス展開する予定。他方、アルメニアとジョージアについては、Uber のプラットフォームにとって全くの新規市場となる。

それでは、表面上は両社による広範な計画にうまく適合しそうなウクライナでサービスを提供しないのはなぜか?そう、すべては政治問題が関わっている。

Uber は昨年6月、ウクライナ・キエフで事業を開始し、Yandex.taxi は11月にこれに続いた。しかしながら、ウクライナとロシアの政治的緊張が高まるにつれ、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は5月に Yandex を含む多くのロシア系テック企業に制裁を課した。数週間後にはウクライナ保安庁(SBU)が、キエフとオデッサにある Yandex のオフィスに対し、同社がロシアの治安当局のために不法にウクライナ人のユーザデータを収集した容疑で捜索に入った。Yandex のウクライナでの冒険的事業が切り上げられて間もなく、Uber は現地での料金を引き上げたとされる

以上の話はともかくとして、NewCo の59.3%の持分は Yandex が保有する。そのため、Uber はウクライナにて自社ブランドで単独操業を続けることになる。この国で Yandex が支援するジョイントベンチャーを運営するのはあまりにもリスクが大きいのだ。

大きな声では言えないが、Uber がロシアの大手テック企業と組む決定をしたことで、もしこのようなツイートがこの国の国民感情を代表しているようなら、同社はウクライナの顧客からそっぽを向かれるかもしれない。

(親愛なる @Uber さんへ:念のため言っておきますが、ロシアの Yandex と合併するのなら、ウクライナで多くの顧客を失いますよ)

そうなれば最終的に、昨年ウクライナでローンチし Uber のクローン企業的存在であるエストニアの Taxify などにとっては朗報となる可能性がある。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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