シミュレータの活用でAIの教育を50倍以上効率化する「ATLAS(アトラス)」、β版をローンチ——2020年までにレベル4自動運転実現を目指す

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Ascent Robotics の技術を使って開発された自動運転車(コンセプトイメージ)
Image credit: Ascent Robotics

東京を拠点とする Ascent Robotics は、日本の道路環境で レベル 4 自動運転(加速・制動・操舵を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない完全自動走行状態)を実現させるソフトウェアを開発している。同社は20日、ロボット AI(人工知能)教育環境「ATLAS(アトラス)」をβローンチした。

ATLAS は、VR ヒューマンインターフェイス、3D シミュレーション環境、深層強化学習アルゴリズムを統合した、シミュレーターベースの自動車・産業用ロボット向け AI 教育環境だ。AI の教育にリアルデータと擬似データの双方を用いることで、リアルデータのみを使用した場合と比べ、50倍以上の効率で教育が可能だという。

Ascent Robotics では ATLAS の優位性を武器として、市場の競争が激しくなる 2020年までにレベル 4 自動運転の実現を目指す。DeepMind、Waymo、Uber らが主戦場とする欧米と比べ、日本やアジアでは道路環境が大きく異なることから、Ascent Robotics では、特に道幅が狭く人通りが多い日本の道路環境に対応可能なレベル 4 完全自動運転車を早期に作ることで、世界的にもこの分野で先んじることを期待している。

ATLAS 3D シミュレータ空間で、自動運転用 AI を教育しているところ
Image credit: Ascent Robotics

Ascent Robotics は2016年9月、カナダ出身の技術者で Salesforce や Pasona Tquila で上級職を歴任した Fred Almeida 氏らにより設立。日経 Robotics の報道によれば、既に日本の大手自動車メーカー1社と契約関係を締結しているという。プレステの生みの親である久夛良木健氏も、社外取締役として名を連ねる。

日本の国内自動車大手メーカーの動向を見てみると、自動運転の分野においては、トヨタ、マツダ、ホンダなどが概ね2025年頃をメドとしたレベル 4 自動運転技術の確立を目標に設定している。Ascent Robotics の技術の実用導入が実現すれば、大手メーカーの技術開発を数年以上前倒しできる可能性がある。

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