Facebookの次なる布石は「グループ資金調達」?ーーブロックチェーン活用と独自通貨の発行から考えられる新たな戦略

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.5.15

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<ピックアップ : Facebook Plans to Create Its Own Cryptocurrency>

Facebookが独自の仮想通貨の発行を準備していると、経済情報を発信するライブ動画ニュースメディア「Cheddar」が報じました。

報道内容によると、約1年前からFacebookはブロックチェーンを使った仮想通貨プロジェクトを構想。現在、同プロジェクトはMessengerの開発担当を行い、同社VPを務めるDavid Marcus氏が主導しているそうです。

Marcus氏が過去に電子決済サービスPaypalを開発していたこともあり、Messenger上で仮想通貨を活用する手法を探っているとも報じています。

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仮にFacebook上で仮想通貨を利用できるようになった場合、世界20億ユーザーが気軽に仮想通貨取引を行えるようになります。また、Messengerでの活用を軸にプロジェクトを進めていることから、友人同士間の取引に重きを置くことが考えられます。

仮想通貨の特徴として、海外送金の手数料を圧倒的に抑えることが可能となり、既存通貨の信頼性が安定していない、アフリカのような第三世界での利用需要が高いでしょう。

こうした背景をもとに、筆者が想定する仮想通貨の利用シーンとしてはグループ資金調達が挙げられます。グループ資金調達について語るには、民泊プラットフォームAirbnbに買収されたTiltのサービスが好例でしょう(買収後はサービスを閉鎖)。

Tiltは誕生日や飲み会、友人へのサプライズプレゼントに必要な資金を集めるための小口クラウドファンディングキャンペーンを簡単に立ち上げることができるサービスでした。SNS上でキャンペーンページをシェアし、友人からの小口集金を手軽に実施できます。

クラウドファンディングサービスとしてはKickstarterやIndiegogoが代表として挙げられますが、どれも数百万円の大口資金調達をメインに扱っています。一方、Tiltは、大型調達を必要としない小規模の福祉、社会活動キャンペーンや、友人間のミニイベントの集金を支援するプラットフォームとして大きく成長しました。

最も大きな特徴は、グループサイズのキャンペーンに特化していた点です。不特定多数に向けた大口調達目的のキャンペーンでは、支援者同士のコミュニティが発生しません。しかし、友人同士のように繋がりの強い数人規模の集団を対象にしたグループ資金調達キャンペーンの立ち上げを支援することで、サービスをリピート利用してくれるエンゲージ率の高い利用者集団をいくつも囲い込むことができます。

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Facebookが、こうしたコミュニティ志向の小口クラウドファンディングの手法を真似る可能性には2つの理由があります。1つは、まさにFacebookのミッションである、ユーザー同士の繋がりの深さを強めるプラットフォームを作る方向性と一致するからです。

たとえば、アフリカで小さな事業を立ち上げたい人が、米国のユーザーから仮想通貨で資金調達を行うパターンが考えられます。先進国と発展途上国を結びつける新たな架け橋となりますし、これまで出会う機会のなかった人を結びつけることで、グループ単位のコミュニティ創生のきっかけとなるでしょう。少額であるからこそ手軽で、少人数であるからこそお互いを深く理解できます。

2つ目は、APIを通じてFacebook上で作成されたキャンペーンを様々なウェブサイトに拡散させることで、仮想通貨クラウドファンディングを通じた新たなユーザー獲得戦略を描くことができるからです。

事実、Tiltは自社APIを開発し、Microsoftが自社製品を貧困国へ寄付するためのキャンペーンにこのAPIを活用していました。こうしたMicrosoftのCSR活動の一環として、善意の気持ちを持って集まった支援者たちは、新規顧客になり得ます。Facebookも仮想通貨を使ったキャンペーン展開用APIを開発することで、新たなユーザー獲得の道が開けるでしょう。

ここまでグループ資金調達の可能性について簡単に述べてきました。一方、仮想通貨の利用を通じて得られる、顧客データを使った広告事業への展開も確かに考えられます。

従来のFacebook広告事業は、一連のCambridge Analyticaに絡んだユーザーデータの流出と悪用問題で、市場から非常に冷たい視線で見られているため、非常にやりづらくなっています。

しかし、Facebookが発行する独自仮想通貨を普及させることで、どんな属性のユーザーが、どの商品をFacebookを通じて買ったのかというデータを、ブロックチェーンを通じて安全に管理、運用することができるようになります。

こうしたユーザーの購買データを活用して、より安全性の高い広告事業を作り上げる戦略を採用することが想像できるでしょう。ブロックチェーンを使い、データ保守性を高めることで、市場からの評価も上がるはずです。

Facebookが、どのようにブロックチェーンと仮想通貨を使うのかに関しては、続報が発表されるまでわかりません。しかし、目先の収益ではなく、まずは本記事で紹介したTiltの事例のようなコミュニティ志向の道を選び、忠実にミッションに沿った戦略を提案するFacebookの姿に期待が集まるのではないでしょうか。

多様な使い道があるからこそ、これから発表されるであろう、ブロックチェーン及び仮想通貨の活用プランに注目が集まります。

via Cheddar

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