VRソーシャルルーム「cluster」、ユーザ体験の浸透に向け自社コンテンツ制作のため4億円を調達——XTech Ventures、GB、KDDIが参加

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クラスターの経営メンバーと、シリーズ B ラウンドに参加した投資家の皆さん
Image credit: Cluster

【18日14時15分更新】2018年9月からサービス名表記が「cluster.」から「cluster」(ピリオド無し)に変更されたため反映。

VR(バーチャル・リアリティ)で最大数千人規模のイベントを開催できるサービス「cluster」の開発・運営を行うクラスターは12日、シリーズ B ラウンドで4億円を調達したと発表した。前回シリーズ A ラウンドに続くラウンドとみられる。このラウンドに参加したのは、XTech Ventures、グローバル・ブレイン、KDDI。

また、XTech Ventures のジェネラルパートナー手嶋浩己氏が、クラスターの社外取締役に就任することも明らかにされた。今回の調達を受けて、公表されているものだけで、クラスターのこれまでの累積調達額は約6.5億円に上る。クラスターでは調達した資金を使って、VR のユーザ体験の浸透に向け自社コンテンツ制作のためスタジオを開設する。

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8月に開催されたバーチャルタレント「輝夜月(カグヤルナ)」のライブイベント
Image credit: Cluster

cluster を使った〝バーチャル興行〟は好評を博しているようだ。8月に開催されたバーチャルタレント「輝夜月(カグヤルナ)」のライブイベントでは VR 入場は5,000円、一般パブリックビューイングは3,000円でチケット販売された(ソニー・ミュージックレーベルズ SACRA MUSIC が主催)。7月に開催されたバーチャルタレント「ファイ」のライブイベントでは、打ち合わせ、出演者の控え室、舞台監督からの指示など、裏舞台まで cluster 上で実施し披露したという(Phi Channel が主催)。

クラスター CEO の加藤直人氏によれば、大きなもので月に1〜2回、小さいものであれば毎週のように cluster 上でイベントが開催されているとのこと。イベントの主催自体には費用がかからないので主催者にとってのハードルが低く、これが事業ベースでも実験ベースでも手軽にイベントを開催してみようという主催者のモチベーションにつながっているようだ。

(cluster 上で)音楽ライブをやりたい、みたいなことを言っていたが、それが実際にやれるところまでこぎつけた。でも、ただのメタバースみたいなのになりたいとは思わない。(中略)

宇宙旅行とかバーチャル上の体験を売り買いできるマーケットプレイス、バーチャル体験の Amazon になりたい。(加藤氏)

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「ときのそら」のライブイベント(プライバシー保護のため、画像の一部は加工されています)
Image credit: Cluster

事業モデルの観点からは、VR を使ったイベント興行は、売り方がソーシャルゲームに似ているように感じるとも語ってくれた。ソーシャルゲームは一般的に1〜2年の開発期間をかけ、最低でも数億円程度のコストを要する。世の中のユーザが受け入れてくれるかどうかは、当たるも八卦当たらずも八卦。ソーシャルゲームに比べれば、バーチャルタレントやバーチャルタレントを使った興行は、ソーシャルゲームよりは短い期間と小さな工数でトライアンドエラーを回せる。ソーシャルゲームの波は、バーチャルタレントを使った VR イベントの方へ向いてくるのかもしれない。

もともと夢見ていた、バーチャルタレントのイベントができるようになった2018年は、ボーナスステージだと思っている。こういうもので、しっかりお金が回るということを周りに見せられたという実感がある。

ボーナスステージの間にしっかりといい体験を作りたい。大勝負がかかってくるのが来年年明け以降かな。日本初や世界初の体験を作るのが好きなので、それに共感してテンション高くついてきてくれる社員と共に頑張っていきたい。(加藤氏)

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