関西の起業家たちが語った、スタートアップの始め方〜第19回Monozukuri Hub Meetupから【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2018.9.24

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本稿は、京都を拠点とするジャーナリスト Sasha Kaverina 氏による寄稿を翻訳したものである。

イベントの模様を撮影したビデオはこちら

Monozukuri Hub Meetup」は、 は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータ「Makers Boot Camp」が主宰している。


 

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Image credit: Tugi Guenes

自分のアイデアを本格的なビジネスにしようと考えているときは、どんなアドバイスも貴重だ。Makers Boot Camp と Kyoto Startup Summer School(KS3)は、自分のビジネスを作るのに必要な要素の中から、このミステリーを取り上げるべく3人のスタートアップ創業者を招いた。自身のベンチャーのために、レッスンのノートをとってほしい。

京都にスタートアップエコシステムを築こうとする挑戦に、これまで素晴らしいスピーカーを数多く招いてこれたのは幸運だった。大きな夢を持ったテック起業家は世界を変えるアイデアを市場に出す方法を教えてくれたし、投資家は資金調達の成功に必要な秘訣を教えてくれたし、ビジネスコーチはビジネスの前進に必要な自信を、我々の異文化チームに満たしてくれた。

これらすべての知見を使って、何から始めてみるべきか?

言うまでもなく、コミュニティにおける最も重要なタスクの一つは、経験豊富な起業家から集めた知識を、意欲のある起業家へと引き継ぐことだ。我々は常に、世界中の起業家の才能と学生のイノベーティブな精神を奨励するよう常に努力している。今回、Kyoto Startup Summer School 2018 の一部として、Makers Boot Camp と KYOTO Design Lab(D-lab)が Monozokuri Hub Meetup を共催した。17カ国から来日したパッション溢れる学生たちは、起業家精神を学びながら京都の地元スタートコミュニティに没頭した。

京都工芸繊維大学の KYOTO Design Lab 特任准教授で、 Kyoto Startup Summer School のチーフオーガナイザーである Sushi Suzuki(鈴木篤史)氏は、世界中から学生、ワークショップのファシリテイター、講義を集めた。京都のスタートアップエコシステムを披露するには絶好の機会だったと思う。シリコンバレーについては多くのことが書かれてきたが、小さいながらも成長するスタートアップシーンについての記述を目にする人はほとんどいない。日本では特にそうだ。今回はミートアップとパネルディスカッション形式にしたことで、いつもの講義形式を抜け出し、イベントに来訪した地元の意欲のある起業家をより多く巻き込むことができた。

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2018年3月、Monozukuri Hardware Cup でピッチするスマートショッピング代表取締役の林英俊氏
Image credit: Masaru Ikeda

今回の Monozukuri Hub Meet-up は、Makers Boot Camp のマーケティング責任者である Sabrina Sasaki 氏のオープニングスピーチで始まり、彼女はスタートアップが直面する困難について焦点を当てた。

我々のタスクは、不足している必要リソースをスタートアップが手に入れられやすいようにし、プロトタイピングや大量生産を支援することだ。

我々のポートフォリオの一つであるスマートショッピングのスケールアップに要したのは、わずか1年だった。来月には、ハードウェア製品1万台の初期ロットをもうローンチしようとしている。

いかなるスタートアップコミュニティのメンバーも、互いに助け合い、そのハードワークを賞賛しあわないといけない。スタートアップの功績は、私に大きな喜びを与えてくれる。彼らが毎日のように積み重ねてきたハードワークの集大成を具体的な成果として目にすることになるからだ。(Sasaki 氏)

シルバーエッグ・テクノロジー(大阪):レコメンドエンジンの大家(たいか)

 

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シルバーエッグ・テクノロジー CEO の Thomas Foley 氏。彼は人工知能技術のスペシャリストだ。
Image credit: Tugi Guenes

最初のキーノートスピーカーは、人工知能(AI)を使ったレコメンド機能を提供するシルバーエッグ・テクノロジーの Thomas Foley 氏だ。同社のミッションは、個々の顧客が欲するものを予測する技術を、社内に持たない中小企業にサービス提供することだ。1998年のインターネット時代の初期に設立され、2016年には東京証券取引所に上場した。同社の AI 技術は現在、日本のトップの数百ものウェブサイトでレコメンデーション体験を提供している。シルバーエッグを始めるまでの道のりは、同社の創業者たちにとって大変なだったに違いない。

Foley 氏は、次のように振り返った。

日本で仕事し始めて結婚した頃、働いていた子会社が失敗し行き場を失ってしまった。妻が事業を始めたがっていたので、私は幸運だった。我々は妻が営業を、私がソフトウェアを担当することに決めた。

シルバーエッグ・テクノロジーが公開され、世界最大の金融新聞の一つである日経に取り上げると、何千人というユーザが初日からウェブサイトを訪れ、同社のサーバはクラッシュした。

忘れられない体験だった。

Foley 氏は笑った。

Foley 氏からのアドバイス:成功への秘訣がもしあるとしれば、それはリスクと苦悩への準備をするべきということだ。心の底から自分を信じなければならない。

NOTA(京都):資金不足のカリフォルニア生活から日本での成功

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洛西一周氏は、高校生の頃からユーザフレンドリーなソフトウェアを開発してきた
Image credit: Tugi Guenes

成功した創業者たちの多くは、倒産の危機に直面したことがあるものの、それをうまく切り抜けて、より堅固な財務基盤を再び見つけている。NOTA の洛西一周氏は、好きなことをしてお金を稼いでいる幸運な人々の一人だ。彼は高校2年生のときスクラップブックソフトウェア「紙copi」をデザインし、合計250万ドルを売り上げた。

2007年、彼は意欲に満ちた起業家としてカリフォルニア州パロアルトに移転。彼は新たなベンチャーを始めることを決心するも、まもなくして、そこには友人も銀行口座も住む家も無いことを知った。洛西氏のスタートアップは彼がアメリカでの学びを得て日本に戻った後、2010年にしばらく活動を休止した。NOTA の現在の基幹プロダクトは、URL をコピーするだけでユーザのクリップボードにスクリーンショットを共有できるクラウドアプリ「Gyazo」だ。

 

NOTA がどうやって成功できたかを尋ねると、洛西氏は「ドッグフーディングだ」と語った。ドッグフーディングとは、ある組織が自社のプロダクトを持つ状況を示すのに使われるスラングだ。

大変厳しい時期を送っていたが、必要性を確信できる、そして、自分たちにとっても欲しいと思えるモノを作ることができた。

もう一つのキーポイントとして、スタートアップはこれを考えるべきだと洛西氏は語る。

素晴らしいエンジェル投資家を見つけたとしたら、その人はお金と経験の両方を提供してくれるだろう。

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アトモフ(京都):クレイジーなアイデアをソリューションにする

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4K 画像を表示できるデジタル窓を制作する京都のアトモフ
Image credit: Tugi Guenes

最後に、アトモフ CEO の姜京日氏が世界初のスマートなデジタル窓「Atmoph Window」の秘話を共有してくれた。Atmoth Window は数百もの世界中の美しい景色を届けてくれる。2004年、ロサンゼルスでロボット工学の学生だった姜氏は、住んでいた部屋から見える限られた光景にストレスを感じていた。

毎日、ブラインドを下げて部屋を暗くしていたものだ。

10年後、姜氏はパートナーで共同創業者の中野恭兵氏に加わり、ユーザが旅をしてインドアから自然とつながれる方法を再発明した。

Kickstarter でクラウドファンディングをローンチ後、アトモフは簡単に製造コストを賄う10万ドルの目標を達成することができた。彼の Kickstarter での経験は楽しいものだったが、日米間の時差に阻まれて大変骨の折れるものだったという。調達金額は十分ではなかったが、アトモフは最近の Makers Boot Camp からの調達をはじめ(2018年)、複数の投資家からの資金調達に成功している。

姜氏は微笑みながら、こう語った。

Kickstarter でクラウドファンディングを実施する前は、アトモフこそ、このプロダクトを必要とする唯一の存在だと言ってくれる VC と話をしていた。現在は世界中にデジタル窓を出荷しており、他業界とも提携関係を構築しつつある。

彼がくれたアドバイスは、とにかく始めてみようというものだ。

どんなにコンセプトがクレイジーであれ、プロトタイプを見せて、パッションを持って投資家を口説いてみよう。

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京都工芸繊維大学の KYOTO Design Lab 特任准教授で、 Kyoto Startup Summer School のチーフオーガナイザーである Sushi Suzuki(鈴木篤史)氏とのパネルディスカッション
Image credit: Tugi Guenes

ゲストスピーカーのプレゼンテーションの後、Suzuki 氏のモデレートによる実り多いパネルディスカッションへと続いた。パネリストたちは、お金の集め方、コピーキャットとの対峙の仕方、投資家の口説き方、興味津々の聴衆からの質問に答えた。

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