グローバル展開をするTencent(騰訊)のWeChatアプリ、グローバルユーザー数は上昇中[インタビュー]

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【翻訳 by Conyac】【原文】


中国のTencent(騰訊)は、WeChat(微信)を「最も重要なアプリ」、中国最大手のウェブ企業で「10年来見たこともない」ような、また中国のウェブプロダクトにはなかったサービスだと言っている。そして、WeChatは中国最大手のソーシャルメディアゲーム企業のTencentが提供するサービスで、同企業にはインスタントメッセージサービスのQQとQZoneで5億人以上のユーザがいる。熱く語るのは、TencentのWeChat国際事業部のディレクターJustin Sun氏だ。

WeChatのユーザー数は2億人を少し超えるほどで、TencentのQQよりも少ないかもしれないが、このWhatsapp似のグループメッセージアプリWeChatには「国際的な人気を得る大きな可能性がある」と彼は言う。そして、これは新しいことだ。彼いわくその人気はすでに始まっていて、「数ヶ月前まではユーザのほとんどが中国人だった」が、今はそうでもないと言えるほど、中国人以外のユーザが世界各国に急速に広がっている。

アップデート:正確に言えば、WeChatのユーザは今もほとんどが中国人であるが、最近外国人ユーザが増えたことで中国人ユーザと外国人ユーザの比率差が縮まってきている。この記事のタイトルも若干曖昧だったので、修正を施している。)

現時点ではユーザの実際の内訳は公表されていないが、Justinは本社のある深センのオフィスから、今は「アジアに力を入れている」ことを認めている。Justinはさらに次のように述べている。

「(WeChatの)大きな市場は香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムです。(中略)アメリカ、アラブ諸国でも成長しています」。

中国国外での成功をはかるツールとして、WeChatと競合サービスの公式Facebookページで表示されている「いいね!」の数を比べてみるのもいいかもしれない。Whatsappには210万人、Kakaotalkにはわずか4万5000人、そしてWeChatはKakaotalkより少し多い12万2000人が「いいね!」と言っている。

WeChatの正確なグローバルユーザ数が公表されていなくても、中国のウェブプロダクト(同アプリは中国語で『Weixin』として知られている)が国外でインパクトを与えているのには驚きだ。しかもソーシャルサービスでだ。これまでUS BrowserCamera360などのアプリを見てきたが、より広範なサービスが躍進したことはなかった。

言語に関しては、アジアへの注力が「その他の国にサービスを提供しないという意味ではありません。例えば、アラビア語にも対応していますし、トルコ語やその他の言語にも目を向けています」とJustinは言う。だが、サービスの拡大は数多くの言葉を翻訳するだけではない。

サービス拡大のためのパートナー

TencentはWeChatの海外オフィスをまだ開設していないが、同社は1ヶ国ずつ現地パートナーと提携して取り組んでいる。提携パートナーは業務支援を提供したり、最近クアラルンプールでおこなわれたプロのモデルを使ったプロモーションと同じようなPR活動(写真上)を支援する。「私たちはまず自分たちで行動し、パートナー企業との密接なビジネス提携を維持していこうと思います」。だが、WeChat事業のために正式に海外オフィスを開設するという決まった計画はないようだ。

それでも、同社は海外での事業展開を新しいことだとは見ていないようだ。Justinは「WeChatはグローバルサービスという位置づけです。そしてTencentも国際企業で、国外からの投資家が数多くいます」と指摘する。さらに、同社はカリフォルニアにゲーム開発スタジオを持っている(が、このスタジオはWeChatチームではない)。

Facebook、Twitterなどのサービスに公開

中国のソーシャルサービスによる海外進出が珍しくないかのように、WeChatは中国国内外のユーザに同一のサービスを提供することで海外での事業拡大を目指している。といっても中国語の「Weixin」という名前とFacebookのようなサポートシステムがないことは別としてだが。だが、中国のウェブ業界にとっては励みになる展開だ。中国のウェブ業界はガラパゴス諸島、つまり大きく風変わりで多難なウェブの世界と感じられることが多く、すべてがまったくの孤立状態のなかで進化する。まあ、多少のカンニングはあるけれども。

そのため、WeChatはTencent自身がここ数年強調しているように、同サービスがオープンプラットフォームであることを強調している。Justinは「私たちは、Facebook、Twitter、Instagramと繋がりオープンでなければなりません。彼らと同じ戦略を持たなければなりません。つまり、オープンであることです」と強く語る。

WeChatはプラグインを用いてオープンにしている。ウェブブラウザがアドオンを使うのと同じようなものだ。だから、WeChatはFacebookを統合したことで「実際に同サービスを利用する」「利用しない」、もしくは「プラグインを完全にアンインストールする」というオプションを閲覧者に与えている。さらに、その他のアプリはユーザがWeChatを通じてちょっとした情報の共有を簡単におこなうことができるようにするWeChatのAPIを利用することができる。

TencentとWeChatは、国外ユーザからのフィードバックにもオープンであることを強調している。WeChatのスタッフはeメール、Facebookファンページ、その他さまざまなアプリストアに寄せられるコメントを通じてフィードバックに耳を傾けている。

ゲームと収益化

LINEやKakaotalkなどのライバル企業は、スタンプの販売ソーシャルゲームを導入したりと収益化に躍起になっている。そして、Whatsappはほんのわずかな年会費を徴収している。WeChatに関しては、Tencentは収益化を考えていないし、今は「重要ではない」とJustinは言う。Justinは、同社の巨大なIMサービスQQの誕生について触れ、同サービスが長年におよぶユーザー獲得を通じて成長した後に、バーチャル通貨からソーシャルゲームに至るすべてで収益化をはかったと語った。

Justinは、どんなアプリでもどんなゲームでもWeChatと連動することができ、ユーザはWeChatアプリを通じて情報を簡単に共有することができると言う。だがそれは、Tech in Asiaが考えるにWeChatから最終的に生まれる本格的なソーシャルゲームプラットフォームとは違うだろう。だが、それは時間が経てば分かることだ。WeChatは「来年、ゲームにもっとオープンになる」とJustinは考えているが、それが次の特徴と認めたわけではない。

同アプリの次のアップデートについて、Justinは新たな機能が加わると約束し、「毎月新しいアイディアが生まれる」。だから、WeChatのサービスは「さらに幅広く」なると語った。

WeChatにどんな機能があったらいいだろうか?どんなサービスがあれば、Whatsapp、もしくはFacebook Messengerをやめて友達同士で新しいサービスに乗り換えようと思うだろうか?

【viaTech in Asia】 @TechinAsia

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