シリコンバレー発の写真集約サービス「Cooliris」は、スマホのフォトアルバムを置き換えられるか?!

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飽和する写真アプリ市場で、世界75カ国でナンバーワンiPadアプリに輝き、iOSだけで300万ダウンロードを記録する「Cooliris」が提供するのはおしゃれなフィルターでもなく、写真を瞬間的に共有できる機能でもない。昨年7月にiPhoneとiPadアプリをリリースした彼らが目指すのは、スマホのフォトアルバムを置き換えることだ。3月中旬、シリコンバレーから来日していたCEOのSoujanya Bhumkarを含むCoolirisのチームに話を聞くことができた。

Flickrなどの写真サービス、またFacebookやInstagram、さらにはどこにも共有されていないスマホのフォトアルバムの写真など、ありとあらゆる場所に散漫する写真を一箇所にまとめて、かっこいい3D Wallのインタフェースで閲覧できる。また、それらの写真でアルバムを作成して特定の人たちと共有することも可能だ。家族だけで子どもの写真を共有したり、趣味のクルマ好きの仲間とだけ楽しむアルバムをつくって盛り上がることができる。

Coolirisは、非ユーザに対して提供するユーザエクスペリエンスもよく考慮されている。アプリを持っていない相手に写真を共有すると、相手にはEメールが届けられる。Eメールに記載されたリンクを辿ると、スマホブラウザでも写真の閲覧やコメントなどのやり取りができる。特殊な技術を使うことで、ウェブでもリロードすることなくコメントや写真が更新されるため、アプリに劣らない体験が生まれる。一度体験してしまえば、その後のアプリへのダウンロードコンバージョンはきっと高いだろう。

Coolirisチームの物語は4年半以上前にさかのぼる。当時は、まだiOSやAndroidといったスマートフォンのエコシステムが存在せず、デスクトップが主流。最初のプロダクトはデスクトップ専用の写真アプリで、累計ダウンロード数は5000万件。ここで培ったノウハウを新たなデバイスに最適化してパワーアップしたのがiPadとiPhoneアプリだ。同アプリはユーザの多い国順に、米国、日本、中国、ロシア、韓国で人気だという。ユーザ登録ベースで見ると、最近は中国が日本を抜いているという。というのも、Coolirisは中国で1.6億人が使うと言われるSNS「Ren Ren」、またロシアでも現地のIT企業「Yandex」と組んでいるからだ。

今回の日本への来日の目的にも、日本における現地パートナー探しがあった。パートナーに求めることは?と聞いたところ、CEOのSoujanyaはこう答えてくれた。

「お互いにとってプラスに働くパートナーであるか。既存サービスとのシナジーや、また相手がメディアセントリックであるかも大事なポイントだ。あとは動きが早いかどうか。市場が動くスピードについていけるパートナーが望ましい。消費者は待ってくれない。」

この場合のメディアは、写真はもちろんのこと、今後対応が予定されている動画なども含まれる。Coolirisは現在無料だが、今後はフリーミアムモデルを導入する予定だ。ストレージ容量ではなく、追加機能などでアプリ内課金を行っていく。起業家に求められる素質は何より“パッション”だと言われるが、18人から成るインターナショナルなチームはまさにその塊のように感じた。今後も彼らの動向に注目していきたい。

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