次なる大ブーム「映像コンテンツ」において、動画共有アプリは金脈か?それともただの落とし穴?

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Movie-reel動画共有アプリの勢いが増している。VineやInstagramはさておき、アジアのユーザの中でどんなアプリが話題になっているのか見てみよう。

最近、eコマースや食べ物分野などバーティカル系のものについてよく書いているが、この他に注目が高まっている分野は動画共有だ。シンガポールでは、動画共有アプリSnyppitが52万1000米ドルの資金調達を発表した。このラウンドをリードしたのはJungle Venturesで、アメリカやイスラエルのエンジェル投資家も参加した。

Snyppitを設立したAlon Soblhs氏は、Facebookのアジアモバイルパートナーシップのヘッドを務め、Mig33でプロダクト部門のバイスプレジデントを務めた経験を持つ。Snyppitは、単純に7秒の動画を作って共有するアプリだ。これはVineとよく似ていて、押すと録画が始まり指を離すと停止する仕組みで、フィルターを付けることができる。また、他の動画にいいね!をしたり、コメントをすることもできる。

Snyppit

なぜ動画共有が重要か?

動画共有において大事なこととは何だろう?今日の消費経済において、ユーザが何かに注意を向ける時間はどんどん短くなってきているし、創作性やコンテンツの質への要求も高まっている。もし自分自身のストーリーを6秒(もしくは15秒)以内で語ることができなければ、チャンスを失うことになるだろう。

こういったことから、ブランドや多くの人が動画の作成をストーリーを伝える新しい手段として見直し始めている。動画は言葉や文章に意味を与える役割を果たす上に、ブランドや名称に顔や声などのイメージを付け加えることもできる。そしてデジタルという形式で、誰もがストーリーを伝えるというさらに大きな発信力を備え持つことができる。すでにビデオコンテンツを採用して自分たちのブランドの認知度を広め、オフィスの裏側での活動を見せている企業もある。

コカ・コーラハイネケンが良い例で、両社はクリエイティブな動画を用いてブランド価値を高めている。こちらはVineでのPumaの映像。

高性能のカメラが搭載されたスマートフォンが普及したことと、自分の生活を記録し動画クリップを高速・高品質のネットワーク経由で共有することへの関心の急速な高まりによって、同市場が急速に成長している。近い将来、成長が止まったり勢いがなくなるという兆候はまったく見られない。

レッドオーシャンかそれともブルーオーシャンか?

動画が次の大ブームとなることに疑いはないだろう。Facebook(Instagram video経由)、Twitter(Vine経由)、Google(YouTube経由)などの大手は、この巨大で儲かりそうな市場のシェア争奪戦を繰り広げている。

動画共有に最近強気で進出したテクノロジー大手3社の他に、この市場で長らく事業を展開している既存企業も数社ある。今年初めにInstagramとVineがリリースされる前はViddyとSocialCamがこの分野で最大手だった。Viddyではユーザが15秒の動画を記録、編集、シェアできる。

同社は2700万のユニークユーザや、 Snoop Dogg氏やMark Zuckerberg氏のような有名人ユーザがいること、Twitterの共同所有者Biz Stone氏からシードファンドを獲得することができたという。 一方、Autodeskに6000万米ドルで昨年買収される前の時点でSocialCamの動画には制限がなく、4200万を超えるアクティブユーザがいた。

また、Colorのことを覚えている人はいるだろうか? リアルタイムの動画共有アプリで、このスタートアップに4100万米ドルを投じたSequoiaのような主要投資家もいて、数日のうちに急降下したものだが・・・。

ここアジアでは、シンガポールを拠点とするSnyppiの他、韓国発のBbも動画を作成して友人とシェアすることができる。

こうしたスタートアップはVineやInstagramのような、当初から何億というユーザにアクセスできる企業に勝ち目があるのだろうか?アジアのブルーオーシャンに戦いを挑んでいるのか、それともサメのいる海でただもがき泳いでいるだけなのか?自らニッチを開拓することができるのだろうか?

こちらはInstagramでのBURBERRYの映像。

市場のポテンシャルは巨大だが、金銭的な価値は不透明

Vineにある動画を見ると、なかには見るに堪えないものもあることがすぐに分かる。それでも開始後3~5年のあいだで短い動画クリップのシェアは写真投稿と同じように広がっていくだろう。こういった意味で、スタートアップがレバレッジを効かせる機会は多いといえる。

アジアのモバイル市場が堅調なのは誰もが認識していることだ。Bubble motionのThomas Clayton氏は先日、アジアは世界で群を抜いてモバイルサービス加入者が最も多いと述べた。画像共有サービスも東南アジアでは人気だ。特にタイで人気を博しており、「Instagramユーザーが活発な国はなんと、タイである。」とHuffington Postに書かれるほどだ。まだそこまでの勢いは無いものの、動画共有サービスでも同じことが起きるのを皆が待ち望んでいる。しかし現在、ほとんどの動画共有アプリは直接利益を得るビジネスモデルでは運営されていない。

1つ確かなのは、アジアのスタートアップは期待が大きい一方でそれに対する反動も大きいことである。例えば、機関投資を受けることが難しい(シリコンバレーのバーに大勢が詰めかけているが誰も何も買わない、皆将来の成功話だけで盛り上がっているだけだ、というジョークが存在するほどである)、インフラの欠如、価格にシビアな顧客が多く存在する等、アジア特有の理由が挙げられる。

しかしながら、アジアでのスタートアップは欧米にはまだ無い利益モデルを確立できる可能性を秘めている。LINEを例にしてみよう。当時チャットアプリとして圧倒的なシェアを誇っていたWhatsAppを日本発のLINEが打ち負かし、莫大な利益を得るようになるなど、誰が想像できただろう?

FacebookやTwitterのようなテックの巨大企業が、アジアや東南アジアでの動画共有市場を制覇したいと思っているのなら、 SnyppitやBbなどのスタートアップにとって強力な相手となることは間違いなく予想される。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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