#StartupAsia Tokyo 2014 Day2: 日本のスタートアップ・シーンはバブルか?

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これは Startup Asia Tokyo 2014 の取材の一部だ。

2014年に後半に入って以降、アーリーステージでも億円単位の資金調達が増えてきた。バリュエーションがシリコンバレーのレベルに近づいたと、諸手を挙げて喜んでいていいのか。はたまた、バブルがバブルと呼ばれる所以のように、いつかは弾けて無くなってしまうことを想定して、逃げ切る必要があるのだろうか。

この問いに対する正確な答えは誰も持ち合わせていないが、数多くのスタートアップ投資を実行している投資家、複数回のラウンドの資金調達を着実にクローズしてきている起業家なら、我々より正確にトレンドを読んでいるかもしれない。彼らの見解を聞いてみることにしよう。

このセッションに登壇したのは…

  • nanapi 代表取締役 古川健介氏
  • freee 共同創業者兼CEO 佐々木大輔氏
  • Infinity Venture Partners(IVP)パートナー 小林雅氏
  • Globis Capital Partners(GCP)チーフ・ストラテジー・オフィサー 高宮慎一氏

…の4人で、モデレータは Incubate Fund ゼネラルパートナーの本間真彦氏が務めた。

日本のスタートアップ・シーンはバブルなのか?

セッションの冒頭、本間氏はまず、このセッションのタイトルにもある、そもそも日本のスタートアップ・シーンがバブルの最中にあるのか、という疑問から切り出した。

この問いに、IVP の小林氏と GCP の高宮氏は、それぞれ投資家立場から、肯定的な意味でバブルであると答えた。

バブルの定義にもよるが、スタートアップのバリュエーションが適正価格よりも高くなっているという点では、バブルだと思う。しかし、(起業を活性化させようという)国策の意向が反映されて、産業革新機構をはじめとするところから、市場にお金が流れて来ているからだ。これは国策としては正しいと思う。(IVP 小林氏)

資金が供給過多で、マクロで言うとバブルかもしれない。かつての Web2.0 の時代のバブルと今回が違うのは、実体の無いものに高いバリュエーションがつけられているものもあれば、メルカリのようにシリアルアントレプレナーが作ったサービスで数字を出せているアプリもある。投資家は以前よりも見極めが求められるかもしれない。(GCP 高宮氏)

一方、起業家の立場からはどう見えているのだろうか。freee 佐々木氏と nanapi 古川氏が答えた。

現在の状況がおかしいという感覚は無い。例えば、海外には多い SaaS が日本には数少ない。現在は、タンクに水は溜まったのだが(資金)、その水の行き先が決まっていない(SaaS に代表される投資先)という状況。そういう意味では、スタートアップ・シーンはまだ未熟なのだと思う。(freee 佐々木氏)

起業家仲間とよく(現在の状況が)恐いよね、という話はする。例えば、nanapi が2010年に資金調達したときは、バリュエーションが高くて非常識だ、ということも言われたことがあるが、今では、なぜそんなに低いバリュエーションで調達したのか、と言われることがある。起業家仲間からは、「行けるときに行っちゃえ(調達できるときに、高いバリュエーションでも調達しちゃえ)」という話もあるし、「後々のイグジットのことを考慮して、今は調達しない方がいい」という意見もある。(nanapi 古川氏)

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スタートアップ・シーンをよくするために、投資家・起業家・市場は何をすべき?

資金を調達する観点では、日本のスタートアップ・シーンの市場環境は恵まれていると入れるだろう。ここからさらにステップアップを図るためには、どのようにすればよいのだろうか。

マザーズなどは、世界的にも簡単に上場できてしまう市場だ。そして、個人株主が多い市場なので、資金の流動性が高いことから、上場してからうまく使いこなすノウハウが必要。上場はイグジットでありつつも、その後、それをうまく使いこなす必要があるだろう。(高宮氏)

マザーズに置き換わるようなプライベート・エクイティが出て来ると、より大胆な経営ができるようになると思う。株価を気にしながら経営をやっていると、やはりビジネスがやりづらいだろう。上場した経営者がどんどん引退すればいいと思う。引退した彼らが投資家になったり、メンターになったりしているのがシリコンバレーの実情。そうすれば、もっとスタートアップ・エコシステムが活性化するのではないか。(佐々木氏)

適切なタイミングで上場するのがいいと思う。プライベート・エクイティで必要額が調達できるのではあればそれでいいし、それが難しければ上場して広く資金を募るのは選択肢。

海外の投資家から見たときに、中国とかアメリカとかの方が市場が大きい、というようなマクロな見方をされると、それで終わってしまう。日本のスタートアップ・エコシステムの特徴を、海外の投資家に理解してもらう必要がある。そのために、Infinity Ventures Summit に彼らを呼んだりしている。(小林氏)

これからの日本のスタートアップは、日本の市場だけでどうにかしようというのは、無理があると思う。世界と戦って、世界で勝てるようにする努力がスタートアップに求められるだろう。日本の市場が恵まれすぎているからだ。

日本市場は相応に魅力的なので、典型的な日本のスタートアップは日本から始めてしまうけど、敢えて海外からやってみる挑戦が必要。そこで、nanapi では海外向けのメディアを始めてみたのだが、これは非常に大変だ。(古川氏)

総じて言えば、海外と日本の間のバウンダリーを超えて、グローバルな視点でビジネスを展開すべきということだろう。

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これからの3年間、日本のスタートアップ・シーンはどう変わるか。どんな準備をしているか。

変化の激しいスタートアップ・シーン。トレンドを作り出す当事者である投資家や起業家であれ、将来を予測することは難しい。これからの3年間、スタートアップ・シーンはどう変わっていき、彼らは何を目指すのだろう。

適切なタイミングまでは、プライベート・エクイティで資金調達を続け、骨太な状態で上場を狙いたい。(佐々木氏)

メディアとコミュニティを畝医しているが、これら両方をグローバルで成功さえ、それぞれ1億人位のユーザを獲得したい。日本からグローバルに出られているサービスはまだ少ないが、オランダなどからはグローバルに成功できているサービスも見受けられる。おそらく、Twitter のようなシンプルなサービスに可能性があるのではないかと思う。(古川氏)

投資とは直接的に関係ないかもしれないが、起業家を増やす活動を多くやっていきたい。現在、学生向けのワークショップをやっているが、そこの参加者が起業するケースが増えているようだ。起業家の姿を学生に見せる活動を積極的にやっていく必要がある。そうすると、AnyPerk の福山太郎氏のような事例も生まれてくるだろう。(小林氏)

古川氏の話にあったように、確かにオランダでできて、日本でできないということはない。グローバルな市場で戦えるプロダクトを作る起業家を支援していきたい。もはや、VC が提供する資金もコモディティ化している。起業家に選んでもらえる良きパートナーになれるよう、VC も変わらなければならないと思っている。(高宮氏)

日本のスタートアップ・シーンの国際化が進むことは不可避だ。それならば、その流れを積極的に受け入れ、果敢に世界に挑戦することこそ、日本のスタートアップ・シーンに活路を見出す結果につながるだろうというのが、4人に共通した見解だった。

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