#StartupAsia Tokyo 2014 Day2: 日米のトップアクセラレータは、アジアのスタートアップを取り込めるか?

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これは Startup Asia Tokyo 2014 の取材の一部だ。

日本も、アジアも、それ以外の市場でも——世界のスタートアップ・シーンは、シリコンバレーを向いている。しかし、スタートアップ・ブームが爆発するためには、世界各地でにハブが形成される必要がある。

日本やアジアのスタートアップ・エコシステムを活性化するために、日米のトップ・アクセラレータには何ができるのだろうか。

このセッションには、

  • Y Combinator パートナー Kevin Hale 氏
  • 500 Startups ファウンダー兼パートナー Dave McClure 氏
  • Movida Japan 代表取締役社長兼CEO 孫泰蔵氏

…の3人が登壇し、モデレータは、BEENOS マネージング・パートナーの前田ヒロ氏が務めた。

日本やアジアのスタートアップ・エコシステムは、シリコンバレーのそれに比べて成熟していないと言われる。その理由は何か、その問題を改善するには何が必要なのだろうか。

Movida Japan の孫泰蔵氏は、個人的な意見だとことわりつつ、自らの経験を振り返ってコメントした。

日本のエコシステムが始まったのは1996年の頃、ちょうど私が学生で23〜24歳だった。その時期に事業を起こした起業家が成功して、投資家になった。これでちょうどワンサイクル。日本のエコシステムは形成されつつあるところで、シリコンバレーを追いかけているところだ。

500 Startups の Dave McClure は、シリコンバレーのエコシステムは特異なもので、世界の他の場所ではこのようなものはまだ存在しないと指摘した。それゆえ、500 Startups の戦略は、起業家にシリコンバレーに来させるのではなく、投資家である 500 Startups の方から世界へと出かけてゆくのだ。

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エコシステムを構成する要素の一つである、投資家のクオリティについては、どうなのだろうか。日本やアジアの投資家は、シリコンバレーのそれに比べて勝っているのだろうか。

日本で投資家と言えば、金融業界や銀行の子会社がその多くを占めて来た。しかし、最近30代前半の人達がエンジェル投資を始めるようになった。これは興味深い動きだと思っている。(孫氏)

ディスカウント・キャッシュフロー分析とかは旧来の投資会社においては重要だったかもしれないが…(Hale 氏)

スタートアップにとって、もはや資金の確保はクリティカルなことではない。むしろ、プロダクトデザインや顧客開発など、オペレーション経験の方が重要だ。(McClure 氏)

起業家もビジネススクールなどで経営を学ぶよりも、インキュベータのアクセラレーション・プログラムなどを通じて他の起業家から〝起業のいろは〟を学ぶことができるだろう。

日米のスタートアップ・エコシステムの環境の違いにまつわる、さまざまな話題に話が及んだところで、モデレータの前田ヒロ氏は、話をこのセッションの主テーマである「日米のアクセラレータが、日本やアジアのエコシステムをどのように取り込めるか」に戻した。

起業に関わる多くの情報は、英語で出されている。例えば HackerNews。これをシェアすることで若い人々を起業へといざない、成功や失敗の経験をシェアしょうというものだ。今日の10話みたいなコーナーもある。こういうのをローカル言語に翻訳してみるといいかもしれない。(Hale 氏)

私はキャピタルゲインで得た資金を、ファンドに注ぎ込んでスタートアップ・エコシステムに還元している。しかし、楽天、ヤフー、NAVER、Tencent(騰訊)など、いわゆるインターネットの大企業は、自分達の帝国を作ろうとするので、新しいサービスを何でも自分達で作ってしまう。彼らはスタートアップを買収しようとしない。そうすると、投資家はイグジットを見出せなくなるので、エコシステムが形成されなくなってしまう。大企業にはスタートアップを買収することを考えてほしい。(孫氏)

シリコンバレーでも、エコシステムは意図的に形成されたものではなかった。しかし、イグジットができなくなってしまったら、投資家は投資をやめてしまうだろう。でも、実際には Tencent とか大企業のスタートアップの買収を始めているれど。(McClure 氏)

日本には Paypal マフィアFairchild マフィアのようなものがないという前田氏の指摘に対し、Dave McClure はクックパッドの穐田誉輝氏の名前を挙げ、日本にも成功した起業家が投資家となるエコシステムが形成されつつあることに期待を示して、このセッションを締め括った。

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